以下、井原隆一「新編・言志四録」より。
人の物を乞うをば厭うことなかれ。我の物を人に乞うことはしてはならない。
(人が自分に物を求めたら与えるがよいが、自分が人に物を乞うことはしてはならない)。
★人に与えるは奉仕、慈悲の心からである。人に乞うは、依存心を絶って独立独歩の精神が欠けたことである。人の逞しさは依存心からの脱却からである。
人情、事変、或いは深看(しんかん)を做(な)して之れを処すれば、かえって失当(しっとう)の者あり。大抵軽看(けいかん)して区処すれば、肯綮(こうけい)にあたる者少からず。
(人間社会で起きるもめごとや事変をあまり深く考えて処理しようとすると、かえって失敗することがある。大抵は軽く考えて処理すると核心をついていることが多い)。
★深く考え過ぎるから、あれこれととりこし苦労までして頭も混乱してくる。
“困難に直面したら楽観主義になれ、順調のときは悲観主義になれ”の考えを持つ。化膿を信じれば楽観的になる。順調のときは心を引き締めるために悲観的になる。
凡そ遭う所の患難変故、屈辱讒謗(ざんぼう)、払逆(ふつぎゃく)の事は、皆天の吾が才を老せしむる所以にして砥礪(しれい)切磋の地に非ざるはなし。君子はまさに之に処する所以を慮るべし。徒(いたづら)に之を逃れんと欲するは不可なり。.
(我々が出会う、苦、悩み、変事、恥を受ける悪口、困りごとのすべては、神が自分の才能を老熟させるためのもので、自己形成の資となるものである。これらをどう克服すべきかを考えることが大切で、決して避けてはいけない)。
★成功者のすべてに共通しているのは七転八起の逞しさである。逆境に陥ればこれを飛躍の踏み台と考える。幾度か辛酸を経ることが大成への道とも考えるのである。
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