致知出版社の「人間力メルマガ」(2016.2.21)
受刑者の悩み事相談にのったり、矯正のために面談や講話を行う篤志面接委員。
90歳を越えてなお女子受刑者たちと向き合ってきたのが副住職の西端春枝さんです。
心の通った受刑者とのやりとりが心に染み入ります。以下、『致知』2012年11月号より。
受刑者たちの素顔
西端 春枝(真宗大谷派淨信寺副住職)
──副住職としてどのようなことに取り組んでおられますか。
かれこれ23年も前から続いているのですが、女子刑務所の仕事をしているんですよ。
──篤志面接員ですね。
ええ。もっとも引き受けた当初は苦労しました。
5年、10年と続けるうちに、だんだんとこの仕事に使命感が芽生えてくるんですね。
──受刑者と接して、どのようなことを感じておられますか。
こんなことを言ったらご無礼かもしれないけど、自分は正しいと必死に思っている人が多いですね。
話を聞いていると、旦那がトンズラしたとか、離婚状を突きつけて家を出ていったのが悪いとかという具合に、罪を犯した原因を自分以外のところに求めている。
私にもいたらないところがあったのかもしれないとは、なかなか考えられないんですね。
だから、ものすごく苦しんでいて、そこから抜け出せずにいる。
それに対して以前の私は、相手の話に相槌を打つだけでしたが、思うところがあって、ある時から「あんたも悪い」とはっきり言うようにしました。
そうしたら、驚いたことに受刑者のほうが素直に頷くんですよ。
その時に思ったんです、彼女たちは本当のことを言ってほしいのだと。
心の底では自分が悪いと思っているから、「あんたも悪い」と言われると気持ちが楽になる。
──裏を返せば、そう言ってくれる人がいないということですか。
いままで誰も彼女たちと本気で向き合う人がいなかったのでしょうね。
確かに彼女たちは悪いことをしたわけですが、彼女たちにはまだ30年とか、50年近い人生が残っているんですよ。
ですから「幸せにならなあかんで、幸せになる権利を持っているんやで。素直になりや。出発点は自分も悪い。ここからやで……」
と話すうちに私も胸いっぱいになってくる。
するともう相手はみんな自分の子供みたいに思えてくるんです。
だからいろんな話を聞いて、真剣に応えてあげる。
周りからはそんなべらべら喋るなって言われているけどね(笑)。
ログインしてコメントを確認・投稿する