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2016年01月06日11:02

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毎日一度は誰かに親切にしよう



昔あるところに一つの大きな富んだ国があった。この国の王様に一人の賢い王子があった。この王子の欲することにしてかなわないことは一つもなかった。国中のいっさいの富をあげてこの王子の欲するままになった。しかし、王子は何が不足なのか幸福でなかった。そしていつも王子の顔には浮かない不満足そうな色があらわれていた。

王様は何不足のないはずの愛する王子が、どうしてこんなにいつも気むずかしい顔をしているのか解からなかった。ある日、王様は王子を呼んで「なんでもお前の欲しいものとて、かなわないことは一つもないのに、お前はなぜそんなに幸福でないのだろうね。何か心に秘密な悩みでもあるのかね」とやさしくたずねてみられるのであった。

王子は答えて「わたしにしようと思ってできないものはありませんから、別に秘密な悩みはある道理がございません。それだのに、わたしは人生にどうも輝くような喜びが感じられないのです。それはどういうわけでそうなのか自分にもわかりません」と言うのである。

王様は国中に布令を出して、王子を幸福にしたものは褒美の金は望み次第だ、と大懸賞付きで王子の幸福生活法を募集したのであった。

ある日一人の魔術師が王様のところへ来て、「王子様を幸福にして差し上げることのできるものは私です」と申し上げた。王様は、
「もしお前が王子を幸福にすることができるなら、なんなりとお前の欲しいものは取らせるぞ。だがその方必ず王子を幸福にできるであろうな」と仰せられた。

魔術師は王様のゆるしを得て王子を別室へともなって、白紙に白い絵の具で文字を書いた。そして、
「王子様、この紙を暗室にもって行って、ローソクの灯を紙の下へかざして、文字をあぶり出してお読みになり、その書いてあるとおりになさいませ。きっとあなたは今日からすぐ幸福になれます」と言うかと思うと魔術師は消えてしまった。

王子の手には明るいところでは読めないただの白紙が残っているだけであった。王子はさっそく部屋をまっ暗にしめきってローソクをともして、魔法使いに貰った白紙をその灯の上であぶりすかして見た。白い絵の具で書かれた文字は青色にかわって、次のようにあらわれた。
「毎日一度は誰かに親切にせよ」。

ああこれだ! これこそ幸福生活の秘訣であったのだ! 王子は魔法使いの教えにしたがって、その日からすぐ幸福になったのであった。

本当の幸福は自分の幸福を求めているあいだは、月を追いかけて走る子供のようなものだ。 走っても、走っても結局はその幸福をつかむ日は来ないのである。

他の人ために役に立ち、他の人からよろこばれ、他の人のよろこびを自分の心に反射して輝くところの喜びを味わわない限り、いかなる富豪でも――王様でも、王子様でも、本当の幸福にはなれないのだ。自己を与えることによってのみ自己は拡大する。与えることによってのみ自分のもっている宝の価値は十倍二十倍になって還ってくるのだ。

あのラジウムのように、人間は自分をどんなに与えきっても、どんなに他の人のためになっても、どんなに他を幸福にしてあげても、自分がそのために減ってしまうということは決してないのだ。それどころか与えれば与えるほど、こんこんとしてわが生命は湧き出て来るのだ。それは本来、わが生命は他の人の生命と一体(ひとつ)であるからだ。他の人の喜びのうちに本当は自分の喜びを見るのであるからだ。

・・・・以上、谷口雅春「生命の実相」第7巻より。



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