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2015年10月16日09:12

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言志後録「読書は尚友である」

【現代語訳】
孟子は、読書することは、古人を尊び、友とすることだと説いた。経書を読むのは、厳しい先生や父兄の教えを聞くのと同じである。歴史書や諸子百家の本を読むのも、直接賢明なる君主や賢い宰相、英雄、豪傑と交際するのと同じである。だから読書に際しては、心を清明にし、所有の人物より卓越した気構をもって相対しなければならない。


【原 文】
孟子、読書を以て尚友となす。故に経籍を読む、すなわちこれ厳師・父兄の訓を聴くなり。
史子を読む、またすなわち名君・賢相・英雄・豪傑と相周旋するなり。
それ、その心を清明にして、以てこれに対越せざるべけんや。
(言志後録144)



【解説】
尚友の友とは友を尚(たっと)ぶことを意味し、尚友とは書物を通して昔の賢人を友とすることである。従って尚友を古人とすれば、現在われわれが交わっている友の中でも、道の上からいって、自分より一歩も二歩も先んじている友のことを、畏友(いゆう)という。

昔から、「その人を知らんと欲せば、まずその友を見よ」と言われる。付き合っている友だちを見ることによって、その人の志操をうかがうことができるのは事実だ。
では、人の品格を判断するにはいかなる標準があるだろうか。

まず第一には、その人がいかなる人物を師として仰いでいるかである。師は導きの星である。師が抱いている志の高さが、大方そのままその人の志の高さになると思うと、師を見ることでその人の人品が推し測れる。

第二には、その人がいかなることを人生の目標としているかである。
元コスモ証券副社長の豊田良平は、師として仰いでいた元京都大学総長の平澤興をほぼ毎月のように訪問していた。そのとき、いつも平澤には、
「豊田さん、日本一の男になりなさいよ」
と励まされたという。志操の高さが人を決める。そんなことから豊田は、「志は気の帥なり」(孟子)(志は気の将帥である。志が高ければ、自ら気力も湧いてくる)を座右の銘としたという。

第三は、その人が今まで何をしてきたかである。食べるために、なりふりかまわずやっていたか、それとも男には妥協できない一線があると、節義を通して来たか。その人の経歴は多くのことを語ってくれる。

第四は、その人の友人を見ることだ。「類は類を呼ぶ」とは古今の真理だ。友人関係にその人の価値観が現れている。だから友人を見ることで、その人の品格を推し測ることができると言えよう。

いま五つの基準を挙げたが、いずれの基準とも深くかかわっているのは、一番目の「いかなる人を師として仰いでいるか」である。二番目の生涯の目標を決める場合も、師の価値観が大いに影響しているし、三番目の愛読書も、師からこの本を読んでおいたほうがいいと推薦される本から自ら定まってくる。

四番目の過去の経歴も、師に会うまでは紆余曲折もあるだろうが、心の師に出会えば迷いはなくなってくる。また大きな出来事は師に相談するだろうから、判断に誤りがなくなってくる。

五番目の友人も、結局は「道の友」になるから、同じ師を仰ぐ場合が多い。
「朋遠方より来るあり。また楽しからずや」
道友だからこそ気脈が通じるし、お互い啓発し合い、切磋琢磨る仲だからこそ、話しも弾む。

・・・・・以上、菅原兵治「佐藤一斉の言葉」より。




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