西郷隆盛、私が一番尊敬をしている人です。
内村鑑三「代表的日本人」は新渡戸稲造「武士道」、岡倉天心「茶の本」と並び、日本人が英語で日本の文化・思想を西欧社会に紹介した代表的な著作です。
初版は英文で明治24(1891)年刊行。現在、鈴木範久訳により「代表的日本人」が岩波文庫より発行されています。
内村鑑三は5人の日本人を紹介しいていますが、トップにくるのが西郷隆盛です。
1.西郷隆盛
2.上杉鷹山
3.二宮尊徳
4.中江藤樹
5.日蓮上人
明治維新を語る時、欠かせないのが西郷隆盛さんで、西郷さんがなければ明治維新はなかったといわれます。
内村鑑三は、
「維新は西郷の維新だった。もちろん木戸、大久保、三條、岩倉もいたが、西郷がいなければ維新の成功はなかった」
と述べている。西郷の存在が、最後のところでみなの支えになっていたのだと言います。
「板垣死すとも自由は死せず」で有名な板垣退助はよく言われたそうです。
「維新の三傑といって、西郷隆盛、大久保利通、木戸孝充の三人を並べていうが、なかなかどうしてそんなものではない。西郷と木戸・大久保の間には、零がいくつあるかわからぬ。西郷その次に〇〇〇〇〇〇〇〇〇と、いくつ零があるか知れないので、木戸や大久保とは、まるで算盤のケタが違う、といったものじゃ」。
政治的才能とか、知識とかいう点ではいざ知らず、人物ということになれば板垣伯のいわれたように、西郷〇〇〇〇大久保〇〇〇〇木戸〇〇〇〇ということになるのではないかと思う。 ・・・・以上、大森曹玄「山岡鉄舟」(春秋社)より。
「敬天愛人」。 西郷隆盛さんが座右の銘としていた言葉です。私は西郷さんの大ファンです。
とてつもない器量の大きさ、身を処する潔癖さ、何にもましてその徹底した無私の心、威張らない、腰が低い等々、純情、純粋、普通の人間を超えた大きさ・・・・西郷さんは、私に人間としてあるべき究極の姿を示してくれているようです。
そうした西郷さんの人となりを知っていただくために、西郷さんのエピソードを集めてみました。
百姓になりきっていた西郷さん
薩摩に帰っていた西郷さんが、ある日、近くの畑で一日中汗にまみれて働き、夕方、馬を曳きながら家に帰る途中のこと、突然、ものかげから一人の少年武士が現れ、
「おい、老爺(おやじ)! これを修繕してくれ」
と鼻緒の切れた下駄を差し出した。
身分制度のきびしい薩摩では、武士が下駄の鼻緒を通行人や商人に、平気で直させる風習があった。
西郷は、
「へぇ、じきに直して進ぜますから、しばらくお待ち下され」
とていねいに修繕した。
「おまちどうさまで」
と差し出すと、少年武士は、
「のろまだな、こんなことぐらいもっと早くするもんだ」
とお礼も言わずに行ってしまった。
翌年のある日、西郷が知人のところで碁を囲んでいると、その席へうやうやしく茶を運んできた少年がいた。
その顔を見た西郷は、笑いながら声をかけた。
「覚えておるかい。去年の今頃、畑からの帰り道で、下駄の鼻緒を直してあげた老爺(おやじ)じゃ」
少年は肝をつぶさんばかり驚いて、
「知らぬこととはいえ、ご無礼の段、何とぞお許しくださいませ」
と、平伏した。
西郷はそれを手で制し、
「あのとき、わしは土百姓に相違なかったのじゃ。あやまることはない」
と大きく笑いながら、
「ただ、あのときは、いくら武士でも、人を使ったら一言ありがとうのお礼ぐらいはいわぬといかん、と思ったことを覚えているよ」
とつけ加えたということである。
日常における西郷さんの「えらぶらない」人の好さと包容力が出ており、何ともいえない魅力とスゴサを感じます。「能ある鷹は爪を隠す」です。
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