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2014年12月09日11:09

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リーダシップと影響力


宮崎清次氏(はとバス元社長)のお話しです。
藤尾秀昭「一流たちの金言」(致知出版)より。

リーダーシップの勉強を始めようと私が思ったのは、30年以上の前のことです。

「都庁で管理職になった頃、現役を退いたソニーの井深大さんの講演を聴きに行ったんです。そこで井深さんは1時間ほどリーダーシップの話をされましたが、私にはよく分からなかった。

すると終了後に、ある女性が手をあげて
『失礼ですが、いまのお話はよく分かりませんでした。
わたしのような主婦にでも分かるように話をしてくれませんか』といったんです。

司会者が大慌てでしたが、さすがは井深さんですね。
ニッコと笑って、こんなお話をされました。

ソニーの社長時代、最新鋭の設備を備えた厚木工場ができ、世界から大勢の見学者が来られました。
しかし一番の問題だったのが便所の落書きです。
会社の恥だからと工場長にやめさせるよう指示を出し、工場長も徹底して通知を出した。

それでも一向になくならない。
そのうちに『落書きをするな』という落書きまで出て、私もしょうがないなと諦めていた。

するとしばらくして工場長から電話があり
『落書きがなくなりました』と言うんです。

『どうしたんだ?』と尋ねると、
『実はパートで来てもらっている便所掃除のおばさんが、カマボコの板 2、3枚に、
“落書きしないでください
    ここは私の神聖な職場です“
と書いて便所に貼ったんです。
それでピタッとなくなりました』と言いました」。

井深さんは続けて、
「この落書きの件について、私も工場長もリーダーシップをとれなかった。
パートのおばさんに負けました。

その時に、リーダーシップは上から下への指導力、統率力を考えていましたが、
誤りだと分かったんです。

以来私はリーダーシップを“統率力”と言うようにしました』
と言われたのです。

リーダーシップとは上から下への指導力、統率力が基本にある、それは否定しません。
けれども自分を中心として、
上司、部下、同僚、関係団体・・・・
その矢印の向きは常に上下左右なんです。
だから上司を動かせない人に、部下を動かすことはできません。

上司を動かせる人であって、初めて部下を動かすことができ、
同僚や関係団体を動かせる人であって、
初めて物事を動かすことができるんです。

よきリーダーとはよきコミュニケーターであり、
人を動かす影響力を持った人を言うのではないでしょうか。

リーダーシップは時と場合によって様々に変化していく。
固定的なものではありません。
職場においては時に中隊長よりも、下士官のほうが力を持つことがある。
ヘッドシップとリーダーシップとは別のものです。

あの便所においては、パートであったおばさんこそがリーダーだった。
そうやって自分が望む方向へ、相手の態度なり行動なりが、
変容することによって初めてリーダーシップが成り立つのです」。



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