中江藤樹は41歳でその生涯を閉じた。
中江藤樹先生が亡くなって何年もたってからのお話です。
一人の武士が小川村の近くを通るついでに,藤樹先生の墓を訪ねようと思いました。
畑を耕している農夫がいたので,その武士は農夫に道を聞きました。農夫は自分が案内しようと言って先に立って歩いてくれました。
ところが,途中で農夫は自分の家に立ち寄って着物を着替え,羽織まで着て出てきました。
武士は心の中で,「自分を敬ってこのようにしたのだろう。」と思っていました。
藤樹先生の墓に着いた時,農夫は垣の戸を開けて,武士をその中に入らせ,自分は戸の外にひざまずいて拝みました。
武士はそこで初めて,先程農夫が着物を着替えたのは藤樹先生を敬うためであったと気が付きました。それで深く感心して,ていねいに藤樹先生のお墓を拝んだということです。
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