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2012年06月09日20:30

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映画にダマされた時代

最近、映画館は郊外型のシネコンばかりになってしまった。
その煽りを食ってか街中にあった単館型の映画館はどんどん潰れていってしまった。

僕もよく行くのはシネコンだ。
だけど、一番映画を観た時代、それは僕の場合、中学から大学までなんだけど、その頃は当然ながら街の映画館へ観に行っていた。

で、その頃の映画を思い出してると、あの当時は夢があったよな〜と思う。
といっても、作品そのものに言ってるわけではなくて、
あの当時の、映画に対する仕掛け、要は配給会社の宣伝の仕方に夢があったと思うのだ。
それはなぜかというと、あの頃、僕たちは彼らが仕掛けるウソの宣伝に何度も何度もダマされていたからなのだあせあせ

ダマされて、なぜ夢があると思うの?と思うかもしれない。たしかにたしかに。
実際、当時は腹を立てていたものだ。でも、なぜだろう。ダマされてもなぜか楽しいワクワク感があったのだ、あの頃の映画の宣伝には。だから、ある種、喜んでダマされていたのかもしれない。
まあそれは今だから言えるんだろうけどねあせあせ

例えば「東宝東和」という映画配給会社がある。
有名なんで聞いたことある人も多いと思う。最近は「メン・イン・ブラック3」や「バトルシップ」なんていう超メジャー映画を送り出している。

ところがこの会社、70年代の後半から80年代前半にかけては、いかにお客をダマして映画を観に来させるかという事に命をかけていた(笑)時代があったのだよexclamation

きっかけは「サスペリア」(’77)だったそうだ。
当時、他の配給会社の映画が次々とヒットして、これといって人気作がなかった東宝東和は青色吐息だった。それで何とかしようと考えた。とにかく人を映画館に連れてくるための話題を作らなければ!と思ったんだね。

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それで「サスペリア」を売り出すときに思い切って仕掛けた。
最初に考えたのは『決してひとりでは見ないでください』というキャッチコピー。これ覚えてるでしょう?あの当時は角川映画を始めとしてキャッチコピー全盛だったからね。

で、これだけでもインパクトあったんだけど、このとき東宝東和はもっと仕掛けた。『この映画の音響は驚異の超音波、「サーカム・サウンド」で上映』!』とか『上映中、ショックで倒れた人に備え映画館に看護婦を待機いたします!』さらには『もし上映中にショックで死んだ方がいた場合のために「ショック死保険」に入りました!』などと次から次へと煽る煽るあせあせこれが新聞や雑誌のマスコミに大きく取り上げられ、結果的に「サスペリア」は大ヒットとなった。

もっとも、「超音波サーカム・サウンド」というのは全くのでっちあげの言葉で普通の音響だったし、看護婦を待機というのも、最初にやった東京の試写会の時だけ。「ショック死保険」は入ることは入ったけど、おりるかどうかわからない怪しいものだったとかたらーっ(汗)

とにかくハッタリだけだったのだ。しかし、それによって当の映画はヒットしたものだから、ここから東宝東和のワルノリは加速していく。
「サスペリア」のヒットにより、翌年「サスペリア2」が公開されたが、これって1作目とは全く関係のない作品で、そもそも「サスペリア」より2年も前に作られてお蔵入りしていたヤツを「2」として引っぱり出して公開するという厚顔無恥さ(笑)
それでも、それなりにヒットしたのだからしてやったりという感じか。

そのあとに仕掛けたのが「オルカ」(’77)
これを当時ヒットした「ジョーズ」や「グリズリー」のように動物パニック映画として当ててきた。だけどこの「オルカ」って観たことある人ならわかるけど、全然パニック映画じゃないからね(笑)どっちかというと人間とシャチの男気あふれる闘いの物語。しかもシャチのほうに肩入れしちゃうというあせあせ(飛び散る汗)そういう哀しい物語なのにポスターがこれだよ。まるっきりパニック映画ですなあたらーっ(汗)
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この当時って、とにかくパニック映画が流行っていたから、なんでもかんでも強引にパニック映画にしていた感がある。サム・ペキンパーの「コンボイ」のポスターも、なんとなくそれっぽい。^^;
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その後、東宝東和の仕掛け路線はホラー映画にシフトした。
「ファンタズム」(’79)では試写会の上映中に宣伝部員が頭巾をかぶってスクリーン横から飛び出して観客を驚かせる『ビジュラマ方式』。
「サンゲリア」(’80)では本当の霊柩車にお客さんを乗せて試写会まで送ったそうだ。

フォト  フォト
(しかし、よくよく考えてみると、仕掛けをしていたのは東京の試写会だけで、地方の映画館は全く関係なかったなあ。でも、こういう「イベント」がスポーツ新聞や雑誌に取り上げられて、それを観た僕たちが「なんか知らんけどスゴそうだ!」ってんで何にも考えず観に行っちゃってたんだな〜。クソ〜、やられたわ〜げっそり

で、いよいよ伝説の「サランドラ」(’84)になるわけだ。
これは公開前からかなり話題を呼んでいた。まず、キャッチコピーが怖かった。

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『全米38州で上映禁止!戦慄の<ジョギリ・ショック>がやってくる!!』
全米38州で上映禁止というのも何やらスゴそうだけど、ポスターに載っているどデカい包丁の横にある「ジョギリ・ショック」というのが本当に怖そうじゃないか。
よく見ると、横に『ご注意ください!あなたの目が破けます!』なんてコピーまであるしげっそり
これはもう相当コワい映画なんだな、と思うじゃあないですか。
で、当時友達とビビリながら観に行った。目が破けたら、どうしようなんて考えながら。

2時間後。上映終了。狐につままれたような顔をして出てくる観客の顔が…
そうなのだ。これがねー、まったくのインチキ映画だったんですね。
ジョギリとかいってたデカい包丁なんてただの一度も出てこなかった。
(正確にいうと一瞬だけキラリと出るらしい。しかしそれは東和がフィルムに手を入れたという今では考えられない勝手なことをしたもの。あと『全米38州で上映禁止』と言うのは、単純に38州で上映されてなかったということらしいたらーっ(汗))

それで、映画館から帰る道で、ぼーっとしながら考え、そして「またやられた!むかっ(怒り)」と気づくわけである。またしても巧妙な宣伝にダマされた〜と思うんだな〜。
しかし、さすがにこの1件は怒った人も多かったみたいで、映画館内にあった「ジョギリ」の立て看板がボコボコにされて捨てられていたところもあったそうである。
気持ちはわかる(笑)

「サランドラ」事件と同じくらい伝説の「メガフォース」事件というのもあるあせあせ

「メガフォース」は’82年の夏休み映画だった。無国籍の最強軍隊であるメガフォースが南アフリカの小国に進出するゲリラ戦車部隊を倒すため立ち上がると言うアクション巨編。製作費87億円という鳴物入りの作品だった。

まず、この映画は5月頃に情報が発表された。その時の宣伝用ポスターがこれである。
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これを見て心躍らせたのがメカ好きのSクンだった。
「見てみろよ、このデカい装甲車。横のバイクに比べると何十倍あるんだろ。カッケーなexclamation絶対観にいくわ!目がハート」と一目ぼれ。
その後、雑誌「スターログ」などに紹介されたり、テレビで異常にカッコいいCMが流れたり、情報が小出しにされる度に期待はうなぎのぼりグッド(上向き矢印)

そしていよいよ夏休み。満を持してSクンといっしょに観に行った。ワクワク揺れるハート

上映開始。メガフォース出動!


フォト ←実際の映像      Sクン「え?」

まあ僕はなかなか面白かったですけどねあせあせあの板金加工した軽トラックみたいなメガフォースからアニメ合成のレーザービームがぴゅんぴゅん飛び出すさまはファンタジーを感じました。最後、バイクに乗った隊長が敵に追い詰められ絶体絶命のピンチのとき、いきなりバイクから翼がにょきっと出て、空に飛んで行った姿(もろ合成)には拍手を送りたい気分でしたよ。

ただ、Sクンの落ち込みっぷり、そして涙目の怒りっぷりはハンパなかったですけどねあせあせ(飛び散る汗)


いやいや、でももうここまでくると東宝東和が仕掛けてくる脱力感もクセになるというかね。
このブレない姿勢が素晴らしい・・・わけないわっexclamation ×2(笑)
今でこそ、笑いのネタにしてるけど、当時は「貴重な小遣いがまた…」って歯ぎしりしてたもんだ。

その後、東宝東和は「ランボー」や「ターミネーター」シリーズなど、まともな作品が売れて、次第にこういうハッタリはやらなくなった。

でも、冒頭に言ってたように、この時代にあった映画の仕掛け方はある意味、夢を与えてくれたな〜とも思う。「CM観てすごく面白そうなんだけど大丈夫かな。またダマされないかな」と思いながら映画館へ向かうときのドキドキ感。一種、見世物小屋的な役割りが映画館にまだあった時代だった。この感覚って特にこの頃、中高生だった人たちにはわかってもらえるんではないだろうか。名作を観るのとは、また違う楽しさを教えてくれた気がするよ。
現代の、なんでも情報がネットなどで得られる時代にはわからないだろう。
(というか、今の時代にこんなことやったらクレームの嵐だろうな^^;)

本当は、この東宝東和以外にも「ジョイパック・フィルム」という負けず劣らずの配給会社があって、その話しもしたかったんだけどな〜。

すごかったんだから。
超ヤラセなのに前年の「グレート・ハンティング」ヒットの二番煎じで『本物の殺人現場が写されている』という宣伝をしてヒットをとばした「スナッフ」や、どう見てもポルノ映画なのにボカシ入りまくりで全年齢公開にしちゃった「フレッシュ・ゴードン」とかB級やC級映画ばかり配給していた会社。
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仙台では「青葉劇場」というちょっとマイナー感のある映画館がこの会社の映画を得意としていた。

今のすべて均一化したシネコンにはこういうちょっといかがわしい世界を垣間見せてくれるドキドキ感というのはないだろうね。
それはもちろん健康的でいいんだけど、うーん、あの頃の猥雑な映画館の雰囲気を知っている者としては、ちょっと今の子どもはかわいそうだな〜と思ったりもする・・・かな?あせあせ

 

 フォト ←こーいう綺麗なシネコンより

 フォト ←こーいう安っぽい映画館のほうがしっくりきます!^^
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コメント

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