システムバイオロジー(Systems Biology)と構成生物学(Synthetic Biology: デザイン生物学・合成生物学:和名表記,まだ定着してません)に関するコミュです。
ポストゲノム時代の現在,構成分子のハンティングや単一遺伝子の機能解析ではダイナミックで複雑で生命現象を理解できない,ということが強く意識されるようになってきています。
そこで,分子同定後の研究の方向として,生体分子のネットワークや動的ダイナミクスに関する理論的・実験的解析が求められており,分子生物学と数理・工学の融合を通じて生命現象を捉え直そうとするシステムバイオロジーが立ち上がってきました。
さらに,ボトムアップなアプローチとして,ある程度素性のわかっている遺伝子・蛋白質を組み合わせ,理論的に導かれる動的ダイナミクスを生体内あるいはin vitroで再構成する構成(的)生物学synthetic biologyというムーヴメントも,2000年頃からアメリカを中心に起こってきています。
実際には,どの時代にも生命をシステムとして捉え直そうとするシステム論的見方は常に存在してきたと考えられます(19世紀末の有機体論,20世紀の一般システム論,サイバネティックス,数理生物学etc..)。したがって,システム生物学もまた,その一変奏であることは間違いありません。同時に,発達した分子生物学・分子遺伝学・コンピューター・制御工学などの時代状況を踏まえた現在的必然性を持っていることも見逃せません。
Synthetic biologyについても,遺伝子工学やtwo-hybridに代表されるキメラ分子デザインをその先駆的萌芽としてみることもできるため,完全に新しい動向であるとは思いませんが,現実にある種の新たな風潮として台頭しつつあることは見逃せません。
このコミュでは,こうしたシステム生物学とsynthetic biologyについて,最新の動向,意義や問題点,思想史的背景,研究会のお知らせや研究室の紹介など,幅広い情報交換と情報提供の場として利用して頂ければ,と思っております。
よろしくお願い致します。