【Locanda Delle Fate】
1977年というプログレ衰退期にたった一枚のアルバム『妖精』を残して解散した、幻のイタリアンシンフォニックロックバンド。
叙情性、スリル、ドラマ性全てに長けたファンタジック・ロックの傑作である。
冒頭波打つようなピアノに導かれて始まるのは、裏拍にアクセントするテーマをもち、緊張感と歌心が一体となったテクニカルな変拍子アンサンブルである。
サステインするギターと泡立つようなピアノの応酬、繰り返し部分でピアノのリフレインに重なるホーンの如きシンセサイザー、さらにはオルガンの調べなど、魅力的な音をふりまきつつ、きわめて牧歌的な中間部へと物語は進む。
緩急の変化の呼吸は絶妙である。
シンセサイザーによる豊かなテーマはギターへと渡ってゆく。緑の谷をわたる春風のように暖かく緩やかだ。後半再び、スリリングにして官能あふれるジャズロック的世界が躍動感たっぷりと示される。
けれんみたっぷりな技巧と豊麗なサウンド、若き情熱がバランスした、理想的なシンフォニックロックである。
タイ・キープだけではなく、打楽器としてアンサンブルの一員として活躍するドラムスのプレイがみごと。
【Mmember】
Giorgio Gardino(ドラムス、ヴィブラフォン)
Luciano Boero(ベース、ハモンドオルガン)
Ezio Vevey(ギター、ヴォーカル、フルート)
Alberto Gaviglio(ギター)
Michele Conta(ピアノ、チェンバロ、クラヴィネット、シンセサイザー)
Oscar Mazzoglio(ハモンドオルガン、ピアノ)
Leonardo Sasso(ヴォーカル)
ロカンダ・デッレ・ファーテ
困ったときには