これほどまでに美しい文学でありながら、これほどまでにマイナーである作家も他にいないだろう。いまでは完全に忘れ去られた昭和初期の作家である。
女は髪を振り乱して真紅な海を泳いでゐる。
ふくれ上つた胸。軟らかい踝。爪は皆深く切つてある。
「いやよ。いやよ。そんな事をしちや。」
云ひ乍ら全く受動的である。
「そら、あの絵をごらんなさい。激しい草いきれの中に……」
(蛇がからんでゐる。熟れた茘枝の実がはじけて、朱い肉汁がしたたつてゐる。)
緋鹿子。翡翠。香料の旋風。
燈が消えた。停電である。
「また見えるわ。」
彼女は時々幻像を見る。綺麗な数字の配列である。
私の知る限りでは、奢覇都館1989年刊「耽美抄」が唯一の作品集なのだが、当時の掲載誌を持ってるとか、なにか情報をお持ちの方いらしたら御自慢を。
単に知ってる〜というだけの人も、誰それ?という人も、マニアックな文学なら何でもよいという人も、ぜひぜひ御集まりくださいませ〜。
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