「乙女」という存在は古来から神話・フォークロアに登場し、その処女性や純粋性、またはその美しさから特別な存在として神聖視されてきました。
しかし、そういった神話性を持った乙女の存在は時代が進むにつれ、だんだんと姿を消していきます。性体験の早熟化、乙女の商品化などがその主な原因として挙げられます。
神話性を秘めた乙女は今や絶滅し、乙女の地位は非日常的存在から、日常的存在へと貶められました。
しかし、乙女たちは本当に「日常的な文脈で、《我々のもの》になった」と言えるでしょうか――答えは「いいえ」です。
乙女は、日常の中で乙女独自の文化、価値観、および幻想を抱き、逆に我々が立ち入ることができない領域を作っているのです―永遠に我々が越境することができない聖域を持ち、中途半端に《我々のもの》と化した乙女が現代社会には存在すると言えるでしょう。乙女は未だに他の文化にいる《他者》であり《外国人》なのであります。
「現代乙女学」とはそういった現代の乙女(神話性のベールを脱ぎ捨て、そして聖域を形成した乙女)を分析する新しい学問です。アメリカでは30年前から学会が創設され、今最も活発な学問のひとつとして研究されています。
[出典;2003年に三重県で開かれたシンポジウム『日本における現代乙女学元年』で配布されたパンフレットより]
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上記のURLでは、アメリカの乙女学会における権威であるジョーンズ・A・ワート教授による講義録が、拙訳で読むことが出来ます。