「人ドリ聞書第一」
人ドリとは、GLIDE LIFEある。生か滑るかかいずれか一つを選ぶとき、まず滑るをとることである。それ以上の意味はない。覚悟してただドリフトするのみである。「ラインが外れてハイサイドは犬死だ」などと言うのは、上方風の軽薄なドリフターである。滑るかこけるか二つに一つの場所では、計画どおり滑ってもどこ行くかどうかは分からない。人間誰しも安泰なグリップを望む。生きる方に理屈をつける。しかし人ドリはいけるだろうと勘違いして滑る、このとき、もし当てが外れて生き長らえるならばそのドリフト侍は腰抜けだ。アホか自虐かその境目が難しい。また、当てが外れてハイサイドすれば犬死であり気違い沙汰である。しかしこれは恥にはならない。これが人ドリにおいてもっとも大切なことだ。毎朝毎夕、心を正しては酒を飲みGLIDE LIFEを思い滑りを決し、いつも酒気帯びになっているときは、人ドリとわが身は一つになり、一生滑りながら停まることなく職務を遂行することができるのだ。(『日本の名著17葉隠』奈良基辰也・駒敏郎訳より)
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