「SeeDは世界中に花の種を蒔く」
スコールが淡々とした声で語りだした。
あまりに唐突な話題、しかもスコールの口にはおよそ似つかわしくない『花の種』という単語に皆ぎょっとする。
「そうすると世界中花だらけになる。一面、花の景色だ」
いつもならすかさずに口を突っ込むバッツやジタンでさえ絶句してしまっている。
そんな周囲に気付いていないのか、もとより気にとめてないのか、スコールは無表情のまま言葉を続けた。
「世界中の人が花を見る。花を見れば、皆優しい気持ちになる。世界中の人が優しくなれば、皆が仲良くなる。花で世界中を仲良くさせる……それがSeeDの本当の役目」
話だけ聞けばなんて素晴らしい夢なのだと感動してしまう。
たとえ夢物語に過ぎないとわかっていても微笑ましくなってしまうような話だ。
フリオニールの夢も一面野ばらが咲く世界だが、それだって素晴らしい。皆でフリオニールの夢を応援している。
が。
夢の話は確かに素晴らしい。尊い。立派だ。
が。
それを語ったのがスコールだというのが大問題なのだ。
抑揚のない、仲間内で一番低い声で、淡々と、無表情に、無感動な語り口で、スコールが語ったというのが大大大問題なのだ。
沈黙のステータス異常になったのではないかと思われるほど、長い沈黙。
最も早く快復したのはフリオニールだった。
「い……いい夢じゃないか、スコール。いや、SeeDの役割、か?……ともかく、素敵な目標だと思うぞ」
「スコールらしくないけどな」
空気の読めない発言をしたティーダの頬に間髪入れずクラウドの拳が飛んだ。
ごほんっ、とバッツが大袈裟な咳払いをする。
「うんうん、いい目標だな。俺は応援するよ!」
「素敵ね」
「俺も俺も!一緒に種蒔いてやるぜ」
ティナとジタンも口を揃えて賛同し、フリオニールも嬉しそうだ。
「僕もティナと一緒に協力するよ!」
「いつか見てみたいね、花がいっぱいの世界」
「そうだな。そんな世界も、あっていいかも知れない」
オニオンナイトの無邪気な申し出に、セシルも微笑みながら相槌を打つ。
ウォーリア・オブ・ライトも生真面目な表情を崩さないまま頷いた。
「……というのは建前だ」
「……うん?」
スコールは腕組みをしたまま、ゆっくりと真相を口にした。
「花を見て世界中が優しい気持ちになる……そうして戦意喪失した隙に乗じて、国に攻め込むのがSeeDの真の役目だ」
再びステータス異常沈黙。
場に言いようの無い空気が過ぎる。
今度一番に快復したのはバッツだった。
「(; ・`д・´)ナ、ナンダッテー!!(`・д´・(`・д´・ ;) ええええげつないだろSeeDぉぉぉ!」
「やめてくれ!やめてくれ!花をそんな血腥い目的のために使うなんて!」
「……怖い、話、ね」
「ちょっと!ティナを怯えさせないでよ!」
「まぁ……スコールらしいっちゃスコールらしいな……」
「うん、まぁ……そうだけど……ええっと……」
「…………俺はどんな夢でも、お前の夢なら協力する」
「花の種はどれだけ必要なのだろう?」
「ええ!?そこ真剣に考えるッスか!?」
「…………という嘘を元の世界で吐いたことを思い出した」
スコールが最後にそう付け足した時にはすでに、全員の体力は半分にも満たなかったとか。
クラウドとウォルは本気です。