ネッド・ローレムは1928年生まれの米国の作曲家。
管弦楽曲からピアノ・室内楽曲まで幅広く手がけているが、特に歌曲には人気がある。
ローレムはピアノ・ソナタを全部で3曲作曲しているが、ジュリアス・カッチェンのDecca Recordings(1949-1968)に、ピアノ・ソナタ第2番の録音が収録されている。
ローレムのピアノ協奏曲は4曲あるが、第4番のコンチェルトは左手のピアノのために作曲されたもので、初演・録音はカッチェンの友人でピアニストのゲイリー・グラフマンが行っている。
グラフマンは、右手の故障で左手だけで演奏活動をしていた時期があったので、おそらくローレムがグラフマンのために作曲したのだと思う。
初期の頃のローレムの作風は、現代音楽作曲家としては保守的で、無調音楽のような前衛性はなく、叙情性のある旋律と美しいハーモニーを随所に織り込んだ聴きやすい曲が多い。
ただし室内楽曲はかなりひねりがきいてクセがある。
若い頃パリに数年間住んでいたローレムは、プーランクやドビュッシーなどの音楽の影響を受けていると言われる。
歌曲を聴いてみると確かにそういう雰囲気のする曲が多い。
評判どおり歌曲は叙情的だがシンプルな旋律が美しい。
フランス近現代音楽を好む人なら、ローレムの作品をそれほど抵抗なく聴けるとは思うが、作風も時代によってかなり変遷しており、後期になるほど初期のようなフランス音楽的な薫りが薄まっているようである。
オススメゲーム
困ったときには