それは死に顔、あるいは死相とでもいうべきもの。
わずかに口が開かれ、そこからはすでに生命の源のようなものは抜け出てしまったあとのよう。
その瞳はどろりとして幽鬼を思わせます。にもかかわらず、彼らは一様に若く、美しくさえあるのです。
ときにはエロティックな姿態で挑発していることさえあります。
マルレーネ・デュマス(Marlene Dumas,1953−)は死にこだわり続け、そのキャンヴァスに現われるのは人間存在への絶望感、そしてなにかを執拗に暴きたてようとするポルノグラフィー的表現です。
両者の狭間を揺れ動きながら、デュマスの絵は女性的な過激さと繊細さで現実の過酷さを見せつけてくれます。
あるいは現実の裏側にある美と醜を。それが現在、世界的に最も注目を浴びているアーティストのひとり、マルレーネ・デュマス(1953−、南アフリカ生まれ、アムステルダム在住)です。
身近な人物やマス・メディアに流通する写真や映像メディアを題材とした、独特の繊細で鮮烈な人物像を創造する彼女の作品は、自身が育ったアパルトヘイト下での経験をベースに、差別や偏見、そして民族やセクシュアリティ、ジェンダーなど、現代社会が抱える複雑で多様な問題を喚起しています。
初めて彼女の絵を見たときに、なんて暴力的で繊細で淫靡なんだろうと思いました。
まだ、日本ではそれほど知られていないようです。
彼女の絵のメッセージ性に感化された一人としてコミュを作成しました。
マルレーネ・デュマス 東京国際美術館 死とエロス フランシス・ベーコン
ブロークン ホワイト