蘭陵王(?〜573)<姓名は高長恭>は、北斉の皇族・将軍。
北斉の建国者・文宣帝(高洋)の兄である高澄の四男。
皇族の身分でありながら戦場に於いては陣頭で奮戦する無双の名将。
美しすぎる貌を仮面で隠して戦ったという伝説、
皇帝の猜疑を買って二十代の若さで毒殺された悲劇性で、
長く中国史上の悲劇の英雄として知名度は高かった人物でしたが、これまで魅力的な小説という宣伝媒体がなかった為、実際の人物、功績などはあまり知られていませんでした。
2009年9月、かねてより自身の小説などで名を挙げていた人気作家・田中芳樹氏の筆により、
小説「蘭陵王」が世に送り出され、今後のメジャー化に期待がかかる人物です。
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南北朝時代 北斉 仮面 美男子 陵王(雅楽) 竜堂続
【エピソード】
西暦564年、北周の軍20万は北斉の洛陽を陥とすべく侵攻。要衝の金ヨウ(土偏に庸)城を包囲した。
援軍の先鋒となった当時18歳の蘭陵王は500騎を率いて周軍を突破し城門に到達、開門を呼びかけたが周軍の策略を警戒した城兵はこれを拒んだ。
蘭陵王は自ら兜を脱ぎ捨てて顔を晒したところ、その美貌を見た城兵は
「蘭陵王殿下なり」
と認めてこれを招き入れた。
蘭陵王から援軍の知らせを受けた城兵は歓喜して「蘭陵王入陣曲」なる舞曲を作って歌い踊り、蘭陵王の武勇を賞賛した。
「蘭陵王入陣曲」は唐代に日本に渡り、雅楽「蘭陵王(略して「陵王」ともいう)の演題として伝えられる。
後にその武勲と名望を斉の皇帝(後主)に妬まれ、僅かな罪を以て毒を贈られて死を賜った。
夫人は皇帝の前で弁明する事を勧めたが蘭陵王は従容として服毒し果てた。
死に臨んで蘭陵王は自ら貸し出した借金の証文を悉く焼き捨てたという。
困ったときには