2009嵐芸祭 テーマ『カイジュウ』
重大な事実をお伝えしなければならない。
6月―京都嵯峨芸術大学は大学生活に慣れてきた一回生を始め、多くの学生で賑わっている。それぞれがそれぞれの授業、制作、クラブ活動に勤しむ中、こうした報告をしなければならないのは非常に居たたまれない。
しかし、事は重大だ。
春先、嵐芸祭実行委員会は学校中庭に渦巻く不穏な空気を察知した。見た目には変わりない中庭。そこで実行委員会は地下探査機、通称「タマダ」を派遣し、地下調査に乗り出した。そして、驚くべき映像を撮影することに成功した。
そこには、何かの「卵」が映し出されていた。
驚愕の事実に揺れる嵐芸祭実行委員会。さらに調査を進めていると、ある実行委員が叫んだ。
「こいつは学生の不安や不満を吸収して巨大化している!」
この卵は学生が日々感じている不安、不満、怒り、悲しみそういった負のエネルギーを取り込んで成長していると言うのだ。
歯止めの利かない巨大化。地下深くにあるため、誰も手を出す事が出来ない。
「タマダ」が観測したデータを元に計算すると、その卵から何かが生まれるのは、嵐芸祭当日であることが判明した。
負のエネルギーを取り込んで成長する卵―
それが鳥や亀の卵であるはずがない。
得体の知れない卵から生まれる「何か」。
それを、「カイジュウ」と呼ばずして、何と呼ぼう。
一体、今年の嵐芸祭はどうなってしまうのか…。
困ったときには