14才の二人の少年ウィリアムとアーサーを約4年間に渡って撮り続けたドキュメンタリー映画です。二人の夢はNBAプレイヤーになって金持ちになること。この映画はスカウトが二人を郊外の名門高校に紹介するところから始まります。様々な挫折と成功を繰り返しながら成長する二人の姿が169分かけてじっくりと語られます。
彼らだけに限らず成功する多くのNBA黒人プレイヤーは一部の例外を除いて家庭が貧乏であったという場合がほとんどです。バスケの才能は勿論必要なのですがそれ以上に重要なのが個人の性格であることがこの映画を観ていると良く分かります。低所得者の住む住宅街は概して治安の悪いところが多いため子供達がストリートバスケをするコートの中でコカインの売買がされることも映画の中で何度か出てきます。こういう誘惑に負けない性格と家族のサポートが無ければ成功は有り得ないのです。周りのプレッシャーも半端ではありません。日本人のように健康であれば・・・という甘いものではなく子供に対して過度の期待をかけてしまうところが凄いなぁと思いました。高校に入学しても学費を払えなかったり単位が足りなかったり、さらに雇用の問題などアメリカが抱える低所得者の生活の一部が浮き彫りにされているところがこの映画の凄いところで、彼らに比べれば日本の生活は恵まれているのだろうかと考えさせられました。バスケの試合のシーンも沢山あって、高校の試合がテレビ放送されたり体育館が満員に膨れ上がるところなんて羨ましいと思いました。今やNBAといえば世界をマーケットにするビッグビジネスですし、高校を卒業してすぐにプロ入りするアーリーエントリーと呼ばれる若者も沢山出てくるでしょう。それを考えるとスカウト合戦はもっと激しくなるんでしょうね。そんな大人の汚い部分もちょっとだけ垣間見える映画でした。
ドキュメンタリーなのだから当たり前と思われるかも知れませんが二人の少年が次第に大人になっていく姿を等身大に淡々と映し出すことはかなり難しいことだったろうと思います。それに二人の家族へのインタビューは必ずしもその家庭にとって聞かれたくないこともあったと思います。スタッフには頭が下がります。きっと一生ものの絆が生まれたのではないでしょうか。二人の今後が気になってしまい、ネットでちょっと調べてみたのですが、アーサーは映画が撮り終わった直後にIBA(International Basketball Association)というプロリーグと契約したそうです。ウィリアムは何をしてるんだろう。
見たことない方はバスケ好きじゃなくてもいい
映画です。バスケ好きは特に見るべし!
見たことある方はぜひ感想を。