B5版、64ページで、能のストーリーをまんがにしたものです。「その1」は9作品、「その2」は6作品、「その3」は7作品、「その4」は5作品が収められています。それぞれの作品の前に文章があり、現代ではあまり使わない用語や、作品中に出てくる和歌の意味を解説したページもあります。
さて、能の台本を「謡曲」と言います。
台本ですから、舞台で上演されることを前提に書かれているのですが、これを「短編小説」として読んでも、なかなか面白いのです。
で、僕は、これを、舞台はひとまず置いておいて、謡曲から直接まんがにしたらどうなるか・・・っていうことをやってみたのです。
結果、舞台では、観客の想像に任される背景や衣装、神々の姿等々を具体的に描くことになります。
登場人物が言う言葉も、現代語に近いものにしました。
僕がこの作業を始めたきっかけは、1991年の映画「天河伝説殺人事件」のイメージソング「二人静」です。中森明菜さんが歌っていました。この歌ですが、静御前が義経を思う気持ちを歌詞にしていると思われますが、歌詞ではなぜ「二人」なのか、全く分かりません。
僕は、能「二人静」のストーリーくらいは知っていました。
当時、僕は女子短期大学のデザインの教師をしていて、コミックアート部というクラブの顧問をしていました。で、秋の大学祭に発行する「部誌」に毎年僕のまんがも載せていたのです。
で、この年の作品はこれにしました。
やってみたら、面白く、その後、毎年ではありませんが、断続的に能のまんがを部誌に載せていました。
退職するまでに、8作の能まんがを描きました。それと、下書きの段階で行方不明になってその後発見された1作の「下書き」がありました。
「その1」は、その「下書き」にペンを入れ、その他の作品でも改訂したいと思う箇所は書き直したり、書き加えたりして、文章ページを加えて1冊の本にしたものです。
収録した作品は、 『その1』が
・二人静(ふたりしずか)
・草子洗小町(そうしあらいこまち)
・菊慈童(きくじどう)
・鷺(さぎ)
・蟬丸(せみまる)
・定家(ていか)
・融(とおる)
・経正(つねまさ)
・国栖(くず)
『その2』が
・邯鄲(かんたん)
・殺生石(せっしょうせき)
・松風(まつかぜ)
・大仏供養(だいぶつくよう)
・春栄(しゅんえい)
・浮舟(うきふね)
『その3』が
・高砂(たかさご)
・清経(きよつね)
・春日龍神(かすがりゅうじん)
・玉葛(たまかずら)
・羽衣(はごろも)
・藍染川(あいぞめがわ)
・身延(みのぶ)
『その4』が
・藤栄(とうえい)
・弱法師(よろぼし)
・熊野(ゆや)
・天鼓(てんこ)
・大蛇(おろち)
です。
今後も、200以上ある能のストーリーを1作1作、まんがにして行きたいと思っています。
ご支援よろしくお願いします。