新自由主義(libertarianism)とは、以下のような特徴を持つ政治的、経済的立場である。
?各個人の社会的自由、経済的自由は、他者の権利を侵害しない限りで最大限尊重されるべきである
?うまく設計された市場は、各主体の自発的な取引によって大きな価値を生み出し、どんな中央集権的権力よりもうまく経済的問題を解決する力を持つ
?「市場の失敗」は問題を引き起こす。政府は市場の失敗を解消、軽減するために多くのことを為しうるが、権限が肥大した政府が個人の自由を侵害する「政府の失敗」も同様に警戒すべきである
?政府の役割は、市場が円滑に機能し、最大限に力を発揮できるような制度設計と維持、及び市場ではうまく処理できない活動に限るべきである。政府が経済的自由を制限する介入や規制を行うことは望ましくない
※政府の役割の例として、
・財産権の定義
・契約の内容が守られると皆が信頼するようなルールの整備
・社会的に有益だが、市場に任せると誰も作らない公共財(都市間道路、警察消防機能等)の提供
・汚染に対する課税のような、外部性の内部化
・株式会社の情報開示義務付けのような、情報の非対称性の解消
・独占の制限のような、競争的市場の維持
などがあげられる
政府の果たすべき役割の具体的範囲や、社会的弱者救済の程度など、論者により意見の細部に違いはあるが、大枠としてこうした思想に共感、賛同することを当コミュニティの参加資格とする。
※なお、管理人はこうした立場を、日本語においては単に「自由主義」と呼ぶべきだと考えるが、(Liberalismと混同する恐れが無いため)、ここでは便宜的に新自由主義と呼ぶこととする。
日本において、新自由主義は日々批判に晒されている。新自由主義、リバタリアニズムを掲げるコミュニティですら、反・新自由主義が過半を占める有様である。さらに悪いことに、批判者のほとんどがそもそも新自由主義とはどういうものであるかを理解していない。
新自由主義はルールのない自由放任とは異なり、大企業の身勝手な言い分とも異なる、一貫した一つの立場である。新自由主義者は、政府が大衆の望むものを大衆の代わりに選んで与える温情主義を好まないが、社会的弱者の救済については否定せず(経済的弱者を支援することには正の外部性がある)、まっとうな新自由主義者の主張は自然権の擁護や福祉の増進と必ずしも矛盾しない。
当コミュニティの目的は以下のとおりである。
・新自由主義の本質を理解することで、無理解に基づく批判には理性的に反論し、意味のある批判は真摯に受け止めるまっとうな自由主義者の集まりとなる。
・自由主義者としての立場から、自由を破壊する諸制度、傾向に異議を唱える。また新自由主義的主張と、新自由主義の名を借りた企業/国家のエゴイズムを区別する目を養い、後者を批判する。
・「新自由主義」という言葉に重くのしかかった誤解や否定的ニュアンスを払拭し、より建設的な政治的、経済的論争の生まれる社会を実現するために協力する。
自由主義者のための読書リスト(2009年3月12日更新)
ミルトン・フリードマン『資本主義と自由』
ジョン・スチュアート・ミル『自由論』
ジョン・マクミラン『市場を創る』
ジャグディシュ・バグワティ『グローバリゼーションを擁護する』
ポール・クルーグマン『良い経済学 悪い経済学』
森村進『自由はどこまで可能か-リバタリアニズム入門』