■ワイルドビースト■
著:ユウ
系列を含め1500人を超すチームのトップにいるのは
― 野獣と呼ばれる男 ―
"伝説の男"は"硬派な男"。
あたしが恋焦がれる"最強の野獣"。
「嫌いな奴にこんな事しねぇ」
低く小さな声があたしに届いた。
ブラックラブコメディ。
略してブラコメ。
■プロローグ■
エンジン音に地響きが鳴る。
スカイライン
アストロ
セルシオ
マーク?U
シーマ
BMW
RS
XJ
GSX
FX
CBX
Z-?U
……原チャリ。
数えるのが面倒な程の台数のそれらは、校門の前に集合し、そのエンジン音だけで校舎を揺るがす。
その中でも一際目立つのは、校門の真ん前に鬼止めされた、
黒のメルセデス。
興奮と焦りのざわめきの中、昇降口から校門まで歩いて行くと、開けられるメルセデスの後部座席の扉。
開けられた扉の向こうにいるのは。
大きく足を広げて
革のシートに深く座り
腕を組み
目を閉じる――…
…――野獣。
アッシュブラウンの短いソフトモヒカンは、頭の中央に向って立たせられ。
整えられた眉と茶色い瞳は、つり上がり。
筋の通った鼻の下には、薄く口端の上がった唇が存在する。
車に乗り込むと、一瞬だけその瞳は開き、こちらを捕らえる。
…あたしは思う。
あたしはこの野獣の事を知りたい。
困ったときには