部屋の中では暖炉の火が静かにゆれている
「今晩は焼き肉よ」
母親は箱から溢れんばかりの、綺麗に霜降った肉を子供たちに見せる
うふふふふ
あはははは
笑い声はとても楽しげで、どこかあたたかい
いいなぁ
いいなぁ
少年は北風の中で背伸びをしながら窓の向こうの暖かなひかりを眺めていた
くちゃくちゃ
くちゃくちゃ
今日も寒々とした空の下少年はガムを噛み締める
これがあわよくば一切れの肉、いや牛タンだったなら
どれだけしあわせなんだろう
あぁ牛タンが食べたい
食べたい
たべたぁい
困ったときには