子供の命について考えてみたくて、とりあえず作りました。
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長崎市に暮らす光武聡一郎さん(33)、綾(りょう)さん(32)夫婦の長男、 上総(かずさ)君(7)は2歳の時に小児がん(悪性腫瘍)を発症。
2006年1月、「余命2ヵ月」と知ったとき、両親は息子にたくさん楽しいことをさせてやろうと決心し、かけがえのない時間を全力で生きてきた。 12月9日、上総くんが亡くなった。驚いたことに上総くんの葬儀の日、綾さんは新たな命を産み落とした。息子を失った母親が、その悲しみの真っただ中で、新たな命を生み出す壮絶な体験。 精一杯生きた闘病生活、上総くんの死、新たな命の誕生。 両親はそのすべての取材を許してくれた。 映像から伝わる圧倒的な命のリアリティーには言葉を失う。 いじめによる自殺を始め、いま「命」をどう伝えていくかが問われている。 人間いつかは必ず死ぬ。しかし、「死」があるからこそ人の命は輝く。 この稀有なドキュメンタリーを通して「命」そのものを感じて欲しい。 昨年放送した番組は、大反響をいただき、テレビ朝日系列の「ものづくりネットワーク大賞」を受賞。そして今回新たな取材を加え、3月4日(火)、全国ネットで放送決定!
【番組内容】
長崎市の光武上総(みつたけ・かずさ)君は2歳で小児がん(悪性腫瘍の一種・横紋筋肉腫)を発症し、約3年半の入院生活、十数回の手術を繰り返してきた。そして2006年1月、「MDS」(骨髄異形成症候群)を併発、「余命2ヵ月」と診断された。両親は、治療を諦める代わりに、たくさん楽しいことをさせてやろうと決意した。取材はその2ヵ月後、「余命2ヶ月」の期限から始まる・・・
語り 斉藤由貴
ひこうきぐも様の日記より転載
カズは小学一年生。
人一倍元気で優しい、人前では調子の良い、でもほんとは少し恥ずかしがり。
「クレヨンしんちゃん」が大好きな男の子。母の事を『りょうちゃん』と呼ぶほどの、お母さん子だった。
この時「余命2ヶ月」。
『小児がん』を患っている。
主治医も最善を尽くした。
こうゆう状態での選択肢は2つ。
「今まで通り(あるいは今まで以上の)治療をこのまま病院で続けるのか、一秒でも長く家族と過ごせる時間を作るか」
圧倒的な答えは後者。
無論、カズの家族も病院を後にした。
家族はカズのために、ありとあらゆる楽しい事をした。
毎日笑顔で過ごせる様、楽しく遊んだという。
「余命2ヶ月」をとうに過ぎ、カズも2年生。
3ヶ月ぶりの学校。
クラスのみんなもカズの帰りを待っていた。
「カズ、会いたかったぜぇ〜」
運動会にも元気いっぱいの様子で参加。
みんなとは2回しか一緒に練習は出来なかったけど、一人で家で頑張ったダンスも、なんとかみんなについていけている。
「カズの前では絶対に泣かない。だって母ですもん。」
そう話していた母の目に光るモノ。
一生懸命、踊るカズ。
徒競走も玉入れも、みんなと一緒に頑張る、カズ。
その笑顔もまた光り輝いていた。
カズには夢があった。
「妹が欲しい。」
大好きな「クレヨンしんちゃん」を見てそう思ったのだという。
そんな願いを叶えるかの様に、母の体には新しい「命」が宿っていた...。(後に女の子を身篭っている事を知る。)
病魔は小さな体の希望さえも飲み込みながら、少しずつ少しずつ、蝕んでゆく。
父母は医師に病院へ呼ばれ、血液内の細胞レベルでの病気の進行が進んでいる事を告げられる。
「宣告後も元気でいれたから....少し夢を見ちゃいました。」
カズも次第に元気がなくなり、入院。
自分ひとりの力では血液中の酸素を作り出せなくなり、一日何度も輸血、抗生物質の注射をする毎日。呼吸もままならない。
2006年12月7日。
病院内でクリスマスパーティー。
看護婦さん、看護師さんが病院にいる子供たちの為に開いてくれた。
みんながひとつの部屋に集まる中、カズはベットから離れる事が出来ない。歩く事さえ出来なくなっていた。
そこにサンタに扮した先生。
「○○せんせぇ〜。」
「メリークリスマス、カズ。いい子にしてたか??」
袋にはカズの欲しかったおもちゃの大きな包み。
無邪気に包みを破るカズ。
「ありがとぉ〜。」
父も母も自然と笑顔になっていた。
「少し早いクリスマス。ほんとのクリスマスの日には、もっと素敵なプレゼントをあげるの。」と母。
母は臨月を迎えていた。
「カズ、お母さんのお腹には何がいるんだっけ??」
「『はな』ちゃん。」
「生まれてきた子には、『はなこ』と名づけるんだってカズは言うんです。」
その2日後。2006年12月9日。
事態は急変。
カズ、危篤状態。
意識は朦朧としている。
抱きしめながら必死で呼びかける父と母。
「カズ! 聞こえるか!!」
「うぅ〜....。あぁ....」
言葉にもならない、叫び。
命の淵を彷徨いながら、尚必死に生きようとするカズ。
カズは無意識にある行動をとる。
自分の右腕の袖をまくり、何度も何度も前へ出すのだ。
それはしんどくなった時に打つ、抗がん剤の注射を待っている仕草。
その腕には何度となく打たれた事を示す、いくつもの青黒い「あざ」。
「カズ、もう注射はいいんだよ。しなくていいんだよ」
それでもカズは何度も腕を前へ突き出していた。
その目はもう、そこにいる母の姿を捕らえてはいない。遠くを見つめてた....。
その日の午後、医師から「人工呼吸器」をつける指示が出た。
これはもうカズの声を聞く事が出来ない事を意味している。
父と母は必死に話しかける。
「カズ!! カズ!!!!!」
「あ....あぁ...」
母がカズの耳元に口を近づけ、囁いた。
「愛してるよ、カズ」
「あぁ.....オラも」
カズは最後の力を振り絞るかの様に、か細く小さな声で答えた。
さらに悪化するカズの小さな体。
呼吸はもうほとんど出来ていない。
心拍数は少しずつ落ちている。
「カズ!!! カズぅ!!!!!!!」
医師の必死の心臓マッサージ。
手応えはあまりない。
母はもう溢れる涙をどうする事も出来ない。
ただ我が子の名を、心の底から呼び続けるだけ。
その時だった。
母は近くにいた看護婦におもむろに『はさみ』を持たせた。
「自分の髪を切って。」
カズはお母さんに抱きつくのが好きで、抱っこの時はいつも母の髪を撫でていたのだという。
「カズに持たせるの。」
そういうと看護婦に自分の髪を切るよう、指示した。
戸惑う看護婦。
「はやくして!!! 間に合わなくなる!!!!!!」
その無造作に切られた髪をカズに握らせる。
医師はほんの僅かな可能性がある限り、心臓マッサージを止めなかった。
家族は名を呼び続ける。
「抱かせてください。」
最期の時は自分の腕の中で、と約束をしていたらしい。
医師は心臓マッサージを止め、カズの体に付いたたくさんのチューブ類をはずし、母の腕の中に委ねた。
「カズ、カズ....。」
返事はない。
「カズ、愛してる。カズ...。」
家族の叫ぶ声だけがこだまする。
「オラもって言ってよ、カズ.....」
家族に見守られる中、母の腕の中でカズは、その生涯に幕を下ろし
た。
その手の中にはしっかりと、母の髪が握り締められていた.....。
この話はまだ終わる事は出来なかった。
その2日後、母に突如、陣痛が襲い掛かるのです。
そして無事女の子を出産するのだ。
何という運命のいたずらなのだろうか。
短い期間に『生』と『死』を経験する事になるとは。
もちろん名前は『はなこ(花香)』と名づけられました。
おでこのあたり、カズにそっくり。
抱っこの時に髪を触るくせまで。
【番組DVDブック発売決定!】
母親の光武綾さんが執筆した手記と、番組DVDのセット。 番組内容は2007年に放送したローカル55分版になります。
2008年4月中旬発売予定。定価未定。
発行元・お問い合わせ: 長崎文献社 095−823−5247
番組の回し者じゃないですけど、貴重な映像は、必ず見た人の心を変えると思います。
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参加者の方がリンクできるようにしましたから、お子さんの命を助けたいと考えている
コミュニティーをどんどん貼ってください。
それが、私達にできるせめてものプレゼントだと思います。
誰にも痛みがなく、誰かの命が救えます。
【日本臍帯血バンクネットワーク公式HP】
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困ったときには