mixiで趣味の話をしよう

mixiコミュニティには270万を超える趣味コミュニティがあるよ
ログインもしくは登録をして同じ趣味の人と出会おう♪

EUREKA‐ユリイカ‐

EUREKA‐ユリイカ‐

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
詳細 2022年3月26日 01:23更新

貪 る ほ ど 映 画 を 観 て も

気 が つ く と い つ も

E U R E K A に 戻 る 

始 ま り は 全 て

コ コ か ら 始 ま る  

何 所 に 行 っ て も

始 ま り は 始 ま り や け ん 

■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□


初冬の匂いのする風が叢を切り渡っていく。
梢は、眼前に連なる遠いような近いような山の尾根を強く見つめて、
伸びた髪をその風になびかせる。
山は、高速度撮影で近づいてくる大津波のようでもあり、
行く手を塞ぐ開かない古城の大門のようでもあった。
だから梢は、死ぬのが怖い、と生まれて初めて思ったのだし、
その感覚はどちらが長く息をしないでいられるか、
兄と並んで水を張った洗面器に顔を沈めた時の
息苦しさにとてもよく似ていた。
その時、梢は直樹に勝ったのだった。
だがいまはもうその喜びは忘れてしまった。


■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□





沢井は三日間、咳をし続けた。
松岡とはあれきり顔を
合わせることはなかった。
留置所の中で沢井は奇妙な音を聞いた。
それは壁の向うから聞こえてくる
ノックの音だった。
初めは空耳かと思った。
だがやがて壁に耳を当て、
その音を聞くうち、
それが自分を励ましていると思い、
その励ましの音に応えて、
壁を叩いてノックを返した。
留置所を出る時、
さんざん咳をして
隣の人に迷惑をかけたから、
よろしく伝えてくれ。
と市川に云うと、
市川は怪訝な顔で、隣には誰もいない、
留置所にはこの三日間あんたひとりだった、
と答えた。
考えてみれば、
留置所のぶ厚い壁を人間がノックして、
隣に響かせることなどできるはずがなかった。
それでも沢井はその励ましのノックを
ずっと忘れないでいた。

コミュニティにつぶやきを投稿

loading

参加メンバー 57人

もっと見る

開設日
2005年5月16日

7289日間運営

カテゴリ
映画
関連ワード
関連ワードを登録しよう

編集から関連ワードを登録すると、コミュニティがmixiワードに表示されるようになります!