- 詳細 2024年5月7日 04:59更新
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「惜しまじな、君と民とのためならば
身は武蔵野の露と消ゆとも...」
文久2年(1862)2月11日。
源頼朝公が征夷大将軍となり鎌倉に武士が政権を握る
という政府体制の幕府を歴史上初めて設立させた。
そして、武家が政治を掌握して以来670年目にして
初めて皇女が将軍に降嫁するという
歴史に残る出来事が、この日に執り行われた。
見目凛々しき若君の名は徳川家第14代将軍徳川家茂。
見目麗しき姫宮の名は仁孝天皇の第8番目の皇女和宮。
実兄である孝明天皇より諱である「親子」と内親王の
宣下を賜るという最上級の待遇での降嫁だった。
直宮の内親王は内大臣であった将軍家茂より
上位に位置するため夫婦の杯を交わすまでは
和宮が家茂よりも上座に座し、祝杯の後
夫君となった家茂の下座に座すという
徳川幕府開幕以来、前代未聞の婚儀となった。
その祝杯が悲運の始まりを告げる儀式だったのか。
その後、約260年の永きに亘り君臨し続けた
徳川幕府の瓦解をその御身にて受け止められ
徳川家の家名存続と平和的交渉に奔走し、
後に「貞操の権化」と謳われることとなる。
和宮親子内親王は弘化3年5月10日(1846年7月3日)に
仁孝天皇の第8番目の皇女として生母･橋本経子の実家にて
御誕生された。橋本家の家格は羽林家。
石高はこの時200石の中流公家であった。
しかし、そのとき既に父帝は既に崩御されており
生まれながらにして不運を背負っての御誕生であった。
朝廷と幕府。公家と武家が織り成す政局の渦に
巻き込まれ、やがて、その御身は
政権保持と攘夷確約を意図する最大の取引とされ
若くして多くの涙を流す運命となる。
和宮5歳の時より既に婚約済みであった
有栖川宮熾仁親王との関係を幕府の圧力により
無理矢理解消に追いやられながらも
なお、頑なまでに拒んだ関東下向。
だが時勢はそれを許さず実現されてしまった
徳川将軍家への降嫁。
そこに待ち受けていたのは、
前将軍の御台所であった天璋院敬子との軋轢。
いつまでも馴染むことの出来なかった
大奥での御所風と武家風の御風違いの生活。
そして結婚生活四年余りでの夫君家茂公の陣死。
実兄であった孝明天皇の突然の崩御。
その様な中にあった和宮にとって、
最も幸運だったのは夫君家茂公の人柄と
互いを想い合う夫婦としての
気持ちだったのではないだろうか...。
家茂公薨去の後は静寛院宮(ｾｲｶﾝｲﾝﾉﾐﾔ)と称し
それまで対立状態であった天璋院と共に
徳川家の存亡と家名維持に奔走される。
やがて、徳川幕府はその歴史に幕を閉じ
明治という新しい時代を迎えることとなる。
新帝となられた、明治天皇の叔母宮であり
成人している唯一の直宮の皇女という立場上から
皇族として厚い礼遇を承け、麻布市兵衛町の御用地に
和宮御殿を賜り天皇・皇后の行幸啓を再三承けられる。
麻布市兵衛町からは夫君が眠る芝 増上寺が眺められたため
和宮が上京に際し自ら望んだとも言われている。
その後は皇族として、また旧徳川将軍家の一族としての
生活を送り、曾ての宿敵で在った天璋院敬子とも
多くの交流を持ち、天皇 皇后が和宮御殿へ
行幸啓されるときには必ず天璋院を招待された。
明治10年(1877)9月2日。
脚気衝心の為、保養に出向いていた
療養先の箱根にて俄に薨去される。
激動極まる政局の渦に呑み込まれ
皇女という立場から政治の駆け引きとしての
重き運命を背負い、波乱に満ちた32年の短い生涯だった。
法名は「靜寛院宮贈一品内親王好譽和順貞恭大姉」
亡骸は予てよりの遺言通り芝 増上寺に眠られていた
最愛の夫君 家茂公の隣に埋葬された。
ここでは、皇女･和宮親子内親王について
色々と語り合えたらと思っております。。
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静寛院宮。徳川家茂。天璋院。徳川慶喜。徳川家達。
孝明天皇。仁孝天皇。明治天皇。敏宮淑子内親王。
近衛敬子。有栖川宮熾仁親王。橋本経子。庭田嗣子。
徳川家。将軍家。橋本家。五摂家。精華家。羽林家。
大奥。御台所。皇女。内親王。井伊直弼。阿部正弘。
公武合体。公武一和。皇女降嫁。尊皇攘夷。東福門院。
