おさびし山にちょっくらでかけることがしばしばある。
ムーミン谷のむこうにあるあのおさびし山である。
なにもかもが悲しげにみえるときとか
ひとりでひきうけなくてはならないことにむきあう必要があるとき。
とぼとぼおさびし山にむかう。
孤独だ、と嘆くとなんかへんにきどって
いるようだし。欝というのともすこしちがうし。
まわりにいる人に、いらぬ心配を与えたり、
こちらのもやもやを他者に投影してしまわないために。
「いま、わたし、おさびし山にいるの」
「ままはね、今、おさびし山にいるところなのよ」
とかいってみる。
するとだいたいの人はほほえみつつ、ほっといてくれる。
「裏の畑におります」という
あの書き置きのようなものかもしれない。
それに「おさびし山」というどことなくユーモラスな響きに共振して自分のじょうたいをつきはなしてみることができるし、
なによりおさびし山からは、おなかがすいた冬眠中の熊が村におりてくるように、いよいよこらえられなくなれば下山することも自分で見通せている。
おさびし山は誰の心の中にもほんとうはあるはずであって、
仕事場にあっても
恋人とすごす時間にあっても
学校にあっても
おうちにあっても
ちょっくらいって帰ってくることができる。
* * *
そんなおさびし山状態を共有する人たち。
ということでとりあえずつくってみました。
困ったときには