AからZまでが名前の頭文字についた子どもたち。
登場と同時に次々と怪我や死に遭う。
ただそれだけの、あっけなくも悲惨な話が、マザーグース風の2行ずつ脚韻を踏んだ軽快なテンポのうたに乗って進む、エドワード・ゴーリーの代表作。
左ページに英語の原文、右ページに白黒のペン画、画の下にキャプションのような邦訳がついた、怖い絵本。
階段から落ちる、びょうを飲む、火だるまになる、線路で圧死、沼でおぼれる、オノでグサッ、ケンカのまきぞえ…。
26人の子どもたちは、実に26通りの事故や犯罪に遭って、死んでいく。
ここまで正面から当然のように子どもの死を陳列されると、いったいこれは何?と考え込んでしまう。
不幸の箱のような絵本なのに、繰り返し見たくなる。その魅力は、これら26人の子どもたちが、私たちの身代わりの人形(ひとがた)として悪魔払いをしてくれる、と思わせるからかもしれない。
危険に満ちた遠出の後でも、ふつう多くの子どもは戻ってくるのだが、一見平穏な日常が、紙一重で死と隣り合わせていることを、きゃしゃな手足、無防備で無垢な表情の、ゴーリー描く人形(にんぎょう)めいたこのちびっ子たちが、気づかせてくれる。
大人のための絵本作家として世界的なカルト・アーティストであるエドワード・ゴーリー。
子どもたちが恐ろしい運命に出会うさまをアルファベットの走馬灯にのせて独自の線画で描いたゴーリーの代表作。
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