いよいよ夏、真っ盛り。
俺たちの、最後の夏が来た。
高鳴る鼓動を押さえ込み、いざ、夏の風物詩、甲子園へ。
トコロガドッコイ、20人がベンチ入りできる地方大会初日の前日、僕に渡された背番号20番。
エッ!?
自分今までずーっとこのチームのエース気取りだったんですけど。しかも、18人しかベンチ入りできない甲子園じゃ、背番号20番の僕は惜しくもベンチ入りできず、せいぜいアルプススタンドで応援しまくり、テレビで気まずいくらいのどアップで映るくらいだよー。
‥‥待てよ、いつもNHKで甲子園観てて気になってたんだけど‥‥“記録員”って何だろう??アレって誰でもなれるのかな??よし、ここは同じ3年7組の甲子園マニア、湖右士円球児に聞いてみよう。
ふんふん、あーそっちね、はいはい、あっ、甲子園の土が??ふーん、ってことはアレね。はいはいアリガトウじゃまた駅の柱んとこではーい。プチッ。
おいおいまじかよ、記録員って記録のつけ方さえ身につければ誰でもなれるのか。よし、明日から地方大会だけど密かに記録の勉強して記録員としてベンチ入りしてやるぜ。へっへっへっ。
−−−よし、甲子園出場も無事決まり、今日は甲子園ベンチ入りメンバー発表の日だ。守備固めで1回しか俺出てないし、選ばれねえよな。エラーもしたし。‥‥。やっぱり。おっと、そして俺が密かに狙って、勉強を重ねてきた記録員の発表だ。ドキドキ。
エッ!?何この記録員は僕たち野球部のアイドル的存在、浅倉東ちゃんで決定でしょ的な雰囲気。俺記録員狙ってるんですけど。エッ、湖右士円誰でも良いって言ってたし。やべー、早く俺のこの記録員への情熱みんなに伝えないと、東ちゃんになっちゃうよ。
監督「記録員は」
俺「ハイハイ、俺やります!俺、みんなのことベンチで見守ってやりたいんです!最後だから‥‥」
こうして見事勇気を振り絞り、記録員を勝ち取った俺。ベンチ入りメンバーからは東ちゃんじゃねえのかよばりの厳しい視線に晒され、みんなに作った背番号入りのお守りはキモイと捨てられる始末。でも僕は負けない!これも甲子園の神様が与えた試練なんだ。がんばれみんな!これで僕も、「おーっと、記録には定評のある山下、今日もベンチで記録のファインプレーだ!山下に任せておけば記録は間違いないでしょう」ってNHK解説員に言われることだろう。フッフッフッ。
こんな経験をしたことがある人のための、胸高鳴るコミュニティー。