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【 方針 】
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以下、ポール・コーエンと選択公理に関連する説明をごく簡単に記述します。
【 概要 】
ポール・コーエン(Paul Joseph Cohen; 1934年4月2日-2007年3月23日)はアメリカ合衆国の数学者。アメリカ数学会(American Mathematical Society: AMS)より第10回のボッチャー記念賞(Bôcher Memorial Prize)を解析学での功績により1964年に(29か30歳の時点で)、そして数学の“ノーベル賞”とよく比喩されるフィールズ賞(Fields Medal)を論理学での功績で2年後の1966年に(31か32歳の時点で)受賞した。
ツェルメロ=フレンケルの公理系(Zermelo-Fraenkel axioms; ZF)に代表される公理的集合論(axiomatic set theory)において、どちらかと言えば恐らく不完全性定理の証明の方でより有名なクルト・ゲーデル(Kurt Gödel)が、1939年に「選択公理(Axiom of Choice: AC)」がZFの公理のいずれとも矛盾なく整合することを証明した。つまりこれは選択公理を証明に使うことが何ら問題ではなかったということを意味している。しかしこの時点では選択公理がまだ完全な“公理”とは言えない。なぜならもし選択公理がZFの公理系から導くことができればそれは公理ではなく定理だからだ。
この点をはっきりさせたのが他でもないポール・コーエンである。彼は20代後半から30歳くらいにかかる1960年代前半に選択公理がZFの公理系とは完全に独立であり、つまり導くことができない、正真正銘の「公理」であることを証明した。別の言い方をすれば、喩え選択公理が偽であったとしてもZFにおいては何ら矛盾は生じない。選択公理はZFの他の公理を用いては証明も反証も不可能であることが証明されたのである。
なぜたった一つの公理である選択公理が、数あるZFの公理とは扱いを異にされこんなにも特別視されるのかにはやや複雑な事情がある。それはZFの公理やそこから導き出せる結果(命題)が人間の直観で自然に捉えられるのに対し、選択公理の力を借りることで、人間の論理的感覚ではややもすると不可解で奇異な命題を証明できてしまうことがあるからだ。
一つの例を挙げるならば「バナッハ=タルスキーのパラドックス(Banach–Tarski Paradox)」が有名だろう。これは3次元空間内の球をある一定の方法で(有限で重複部分のない破片に)分割して、回転などの操作を施すことで元の球と“同一(identical)”な球を2つ作り出せるという定理だ。この伝でいけば、新たに作られた2個の球は各々元の球と“同一”であるわけだから、その2個にそれぞれまた同じ操作を繰り返せば倍の4つの、オリジナルと“同一”な球が出来上がるわけである。この操作を無限に繰り返せば無限にオリジナルと同じ球が出来上がるという仕組みだ。この定理は選択公理を使うと証明できるが、余りに非直観的なためパラドックス呼ばわりされている。ちなみに、さらにこれを発展させて「“妥当”で、大きさが異なる2つの物体は互いに、一方を分割すれば他方の物体へと組み合わせて形成することができる」という形でも証明できる。よく"A pea can be chopped up and reassembled into the Sun"(エンドウ豆を細かく切って組み直せば太陽が作れる)という表現が使われるが、バナッハ=タルスキーのパラドックスを(厳密ではないが)簡潔に説明する際によく用いられている。
さらに、選択公理についてではないが、コーエンはゲーデルの初期の成果と併せて、ゲオルク・カントール(Georg Cantor)が1877年に最初に提唱、研究し、後の1900年にダフィット・ヒルベルト(David Hilbert)が「ヒルベルトの23の問題(Hilbert's Problems)」の第1の問題として掲げた「連続体仮説(Continuum Hypothesis: CH)が選択公理同様、ZFは勿論、ZFに選択公理を加えた公理系(ZFC)を用いても証明も反証も不可能な命題であることを強制法(forcing)と呼ばれる手法を用いて証明している。
【 著書 】
[ 1 ] Cohen, Paul J., 'Set Theory and the Continuum Hypothesis', W. A. Benjamin, Inc., New York-Amsterdam 1966 vi+154 pp.
[ 1 ]はどうやら絶版のようですが、Dover Publicationsから復刻版が2008年に出版されています。(参考: Amazon.co.jp - http://
【 参考 】
[ ポール・コーエン ]
日本語: http://
英語: http://
[ 選択公理 ]
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英語: http://
[ バナッハ=タルスキーのパラドックス ]
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[ 公理的集合論 ]
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[ ツェルメロ=フレンケル ]
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[ クルト・ゲーデル ]
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[ 連続体仮説 ]
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[ ゲオルク・カントール ]
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[ ヒルベルトの23の問題 ]
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【 関連用語 】
[ 1 ]
ポール・コーエン
Paul Cohen
Paul Joseph Cohen
選択公理
Axiom of Choice
バナッハ=タルスキーのパラドックス
Banach–Tarski Paradox
[ 2 ]
公理的集合論
Axiomatic Set Theory
ツェルメロ=フレンケル
Zermelo-Fraenkel
クルト・ゲーデル
Kurt Gödel
[ 3 ]
連続体仮説
Continuum Hypothesis
強制法
Forcing
ゲオルク・カントール
Georg Cantor
ヒルベルトの23の問題
Hilbert's Problems
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