東大寺正倉院に遺されている螺鈿紫檀の五弦琵琶。オリエントの香りを秘め衣の袖も軽やかに弾ずる遙けき天平人!
青によし寧楽(なら)の都に響き渡る楽の音はいかがばかりか・・・。都大路の木々の茂みよりより密かに洩れくる琵琶の音。今様の越天楽にも似たゆったりとした典雅な調べ。天平勝宝4年大和朝廷が一大国家行事として行った東大寺の大仏開眼法会(かいげんほうえ)。澄み渡る荘厳な合奏。笙、笛の幽玄の旋律。めくるめく想いで想像の糸を掻き鳴らすとき、そこには汲めども尽きぬ天平のロマンの泉が湧き出でます。
ところで、琵琶の源流は遠くササン朝ペルシャにあるとされています。もともと楽器の起源は宗教と不可分の関係にあり神への賛歌、生活の祈りをより一層効果あらしめるための祭具でした。琵琶も例外ではありません。
琵琶は古代ペルシャやエジプトよりインドを南下し、西域を経てシルクロードを通り中国に伝わりました。琵琶東伝の道筋は、シルクロードの往時のオアシス都市国家などの国々の生活風俗に溶け込み、喜びと悲しみを分かち合いながら形・音色を変え、異国の血を少しづつもらって東を目指しました。
2千年の時の流れに身を任せ、しばし留まり、あるいは一気に通り抜け諸国のオリエント民族の心を捉えていきました。オリエント民族や西域の人たちは今でも音楽は大好きです。でも今は琵琶という楽器は昔の形では日本以外残っていません。
いはば、昔日の彼方に忘れられていったシルクロードの蜃気楼の残像にも似た文化使節だったのかもしれません。幾多の変化と各地の面影を遺しながらようやく日本に辿り着いた琵琶。我が国独特の琵琶伝承文化を創造し今日の近代琵琶へと受け継がれているのです。
シルクロードの終着駅とも言われる正倉院に四弦が二面、五弦が一面、それに秦琵琶(ゲンカン)といわれるものが現存しています。中国からの舶来楽器は昔そのままに日本には残っていますが、本家の中国にはそのよすがすらありません。
現在お目にかかる中国琵琶は、ずっと明時代のかたちのものと言われています。我が国の先祖は和魂洋才で日本文化を作り上げてきました。外国の優れた物を取りいれ我が国独特の物に仕上げて和風化してみました。しかしながら、物まね上手で工夫好きの日本人もこの琵琶の形だけは変えませんでした。
いまも敦煌の壁画や唐時代の楊貴妃が弾いた形のものをわれわれも使っています。それは何を意味するのでしょうか。いいものは大事に何時までもそのままに遺していく日本人の気風、素晴らしいではありませんか。琵琶は日本の四季や思想土壌とマッチし、平家琵琶や現代の琵琶語りの伴奏楽器として活躍しています。
前置きが長くなりました。このコミュニティは、琵琶を見たことも聞いたことも無い方も大歓迎です。日本の文化のふるさと、シルクロードの好きな方、更に大歓迎です。「シルクロード」や「琵琶」のキーワードを肴に肩のこらない井戸端文化論?をワイワイ、ガヤガヤ、やりませんか!
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