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スピリチュアリティーの学際研究コミュの医療におけるこころの研究法2

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2.文献調査
?文献研究がなぜ必要か

前回は、事象を純粋に観察するには客観的な態度が必要である、というお話をしました。
みな誰でも個性を持っています。つまり主観的な感じ方や考え方があって、同じものを見ても違ったふうに見えています。自分が気に入ってるものには注目しますし、判断するときには、自分の過去の経験に照らし合わせて情報を補っていくという、心理的なメカニズムがあるから、それは当然のことなのです。心理学用語では、それをスキームとかシェーマと呼びます。誰もが持っている認知の枠組みのことです。これが強すぎて融通が利かないと、偏見や先入観を形成してしまいます。そのために、よくないものだ、もっと純粋に物事を見なくては、本質に迫るためにはないほうがよいと思われることもありますが、これをはずしてしまうことはできません。またはずしてしまったら、膨大な情報の洪水の中でフォーカスすることができなくなって、効率的な情報処理が行われず混乱してしまいます。この認知の枠組みを柔軟に広げていくことが重要なポイントです。それには、様々な経験にこころを広げていくことが重要となります。
一人の人が経験できることは限られていますので、そのためには他人の経験を拝借させていただくこととなります。これは日常的に皆さんがなさっていることです。テレビを見たり、こうやって雑誌を読むことも含まれます。そのときに重要なポイントは二つあります。ひとつは未知な情報に接したときに対する態度です。もうひとつは情報の信頼度です。
これらは二次データですから、その情報を発してる人の解釈が入っていて、伝えられる形にまとめるために、生の情報からかなりのものを情報提供者の都合と好みで捨てています。そのことをまず覚えておいてください。ですから、NHKでやってるから、厚生労働省の推奨だから正しい、とも言い切れないのです。実際に様々な問題生じていることが、歴史的にも明らかになっています。
しかし、矛盾するようですが、こころを開いて、偏見なく情報を得ようとする態度がまず必要です。というのは、あまりにも自分の信念が強いと、それにあわない情報は、悪気やごまかしではなく、見えてこなくなってしまうからです。たとえば、昔は牛乳はカルシウムが豊富で健康的だし成長に不可欠だと思い込まれていました。骨粗しょう症の予防にも乳製品の摂取が薦められていたほどです。そのように思い込んでいると、ニュージーランドやオーストラリアといった、乳製品の摂取量が高い国に最も骨粗しょう症が多いという疫学的な事実や、乳製品に含まれるたんぱく質の影響で、ミルクから摂取されたカルシウムは骨からカルシウムを奪い骨粗しょう症の予防どころか促進してしまうというメカニズムはなかなか認められませんでした。また、予防には運動が最適であるのですけれども、指導する看護士が運動嫌いな人ですと、食事のことしか言及しないということにもなりがちです。自分で気がつかないところで、かなり大きな先入観がありますので、それを自覚して、いろいろな情報にも耳を傾けるよう心がけていきましょう。
同時に、様々な情報の中で信頼できるものとそうでないものを見分ける能力や、批判的に判断する態度も重要となってきます。そのためにはまず、たくさんの情報に接すること、良質の情報に接することが必要で、そのような経験から、信頼できる情報を見分けるセンスが養われていきます。これは、どのようにしてよい研究論文を見つけるかということにもかかわってきますので、あとで詳しく説明いたします。
今まで見てきたように、人間はまず偏見を持ったものであるということ、それによって情報処理がスムーズになっているのだけれども、ときにはそれが有益な情報を見逃す原因になってしまうということをお伝えしました。文献研究が必要な理由はそこにあります。
何か研究をしようと思い立ったときや思いついたときに、そのことをほかの人がやってないだろうかと調べてみると、たいていの場合、同じようなものやもっと優れたものを発見します。もし発見できなかったとしたら、独創的な創造性の高い天才か、情報検索が甘いかのどちらかです。文献研究は、自分の思い付きをほかの人はどのように扱っているかを知るために必要です。もし優れたものがあれば参考になりますし、なかったら、そこでオリジナリティーを発揮して価値のある研究ができるということになります。というわけで、研究には文献研究が欠かせません。心の問題を扱うときにもやはり文献は助けになります。

?文献研究・検索の実際

それでは、信頼できる有益な文献はどのようにして手に入れることができるでしょうか。
インターネットや英語が駆使できる人は、最先端のホットな情報を、誰でもただで手に入れることができる時代になってまいりました。世界最大の医学系科学論文のサイトでMEDLINEというのがあります。それではたとえば、キーワードにSPIRITUALITYとうちこむだけで、なんと3000もの英語論文が検索されてきます。とても読みきれないので、さらに絞り込んでいくつかのキーワードを掛け合わせたり、興味ある論文を書いている著者を名前で検索したりという次の作業が必要となってきます。文献には必ず参考文献というのがついてありますので、そこから更に探していくという方法もよくやります。
そういうのは苦手だという方は、医学図書館を利用されるのもひとつの方法です。最新論文は、専門雑誌の最新号を読むことでえられますので、トレンドを知ることができるでしょう。大きな図書館にはたくさんの専門雑誌がありますし、またキーワード検索で単行本なども探すことができます。
よい情報を得るためには、その発信元が信頼できるかどうかが重要ですので、興味深い内容であっても、週刊誌やテレビといったマスコミを通じたものは必ず原典に当たって確認する作業が必要だと思います。インターネットの情報検索も玉石混交の状態ですので、発信元を確認してください。有名な研究所や大学病院などであればそれなりの信頼性はありますが、個人のサイトではその信頼性にかなりのばらつきがあります。たとえば、趣味の方や学生などでも、いろいろなところから引用してコピーペーストしてもっともらしいホームページを作成することも可能ですので、注意してください。もちろん個人のものでもすばらしいものはたくさんありますが、研究の参考にするのであればやはり権威のある出所を押さえることが必要です。書籍も年間ものすごい数が発行されています。活字になるとつい信頼できると思ってしまいがちですが、本に書いてあるから大丈夫とは言い切れないのが事実です。

?批判的読み方・おさえるべきポイント

図書館であるいはネットから面白そうな文献を探してきたとしましょう。自分の信念に近いことだと無批判に読んでしまいがちですが、距離を置いて冷静に判断する客観的な態度が必要です。それは、クリティカルシンキングとかクリティカルリーディングと呼ばれる態度です。このような態度は、何でも疑ってみるということですから、人が悪いとかいやらしいと感じる方があるかもわかりません。確かに、信じることは美しいことです。それは人や物事の良さや可能性を信じるというときに発揮されて、みなが幸せになっていく気高い態度です。しかし、何に対しても盲目的に信じると、さぎにあって散々な目にあったりして、自分にとって大切な人にも悲しい思いをさせてしまうことにもなります。
事実をしっかり認識することは、ストレス耐性に関連するSOCの重要なひとつの要素でした。人を信じる態度と、クリティカルシンキングは実は矛盾しないのです。つまり、クリティカルに、一つ一つの情報を丹念に調べることによって、信頼性が増し、有益な情報を選択していって、確信を持って受け入れることができるようになるからです。
次に、クリティカルシンキングとはどういうことか説明します。
先ほどもお話しましたが、それにはまず、人間は間違いをおかすものだ、見たいようにしか物事を見ていないという前提を思い出すことから始まります。その上で、情報の確からしさを確認するチェックポイントはいくつかあります。まず発信元の確からしさです。専門雑誌に掲載されている論文であればたいてい大丈夫でしょう。中でも最も信頼できるのが、複数の専門家によって査読された原著論文です。総説や報告などはそこまでの信頼度はないのですが、参考にするには問題がないはずです。論文についている参考文献表も有益なデータとなるでしょう。
次に論文を読むときの注意事項です。全体的に論理的で合理性があるかどうか、枠組みがしっかりしているか、先行文献のレビューは十分で妥当か、仮説に対して一貫しているか、方法は適切であるか、結果を導くためのサンプル数は十分か、データ処理や使用した統計手法は適切であるか、結果が客観的に記述されているか、考察は論文から直接導き出されたものであるか、などいろいろなポイントがありますが、これらはそのまま、よい論文の書き方になるので、節を改めて説明することにいたします。
このような判断は、実はたくさん論文を読んで訓練していなければできない、なかなか高度なことです。臨床現場で働いているために文献研究に時間のとれない方たちは、とりあえず専門誌に載ってる文献はよしとしてすすめていかれてかまわないと思います。

?文献調査のまとめ方・メタ分析

参考文献はもちろんたくさん読めば読むほど精度が増してきますが、それについやす時間とエネルギーには限りがあります。そこで参考となるのは、研究者によって書かれたレビュー論文やメタ分析の資料です。これは、印刷された世界中の重要文献を検索し、クリティカルに読み、その結果をまとめた論文のことです。文献調査の好きな方は、このような研究法もあるので挑戦してみられたらよいかもしれません。ただ、研究者の書かれた論文をクリティカルに読みこなし整理するには、かなりの分析力と時間エネルギーを要します。
データの重要性ということから言えば、生のデータが一番重要であるということを申し上げました。臨床現場でせっかくの貴重な情報を得ていらっしゃる皆様には、その経験から報告や論文を書くほうが価値のあることだと思います。
今までのことをまとめますと、よい研究をするには、客観的であること、そしてそのためには文献調査が必要であるということになります。さらに、臨床現場で生のデータを扱うことの価値と重要さに関して述べてまいりました。具体的な方法のひとつとして、次回は質問紙調査法について説明しようと思います。


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