江崎英子コミュの【完全】『傷だらけのめぐり逢い』【解説】

◎あらすじ◎
　両国・深川の裏街道を傘下に収める「闇の長兵衛」をマークしている隠
密同心は、その手下のならず者達に目をつけられた娘、おさとを助ける。
そのおさとを連れていた信次のいた集団に潜り込んだ音次郎だが、通され
た船宿の主人・成蔵（＝闇の長兵衛？）の正体がつかめない。

　一方、一味に潜り込まんとする音次郎にこてんぱんにされた信次を介抱
した十蔵とお吉。米問屋の伊勢屋に勤めている姉、おすみに会いにきたと
いうおさとだが、信次とともに連中に目をつけられているため、身動きが
取れないと踏んだ十蔵が伊勢屋へ赴くが、おすみは半年前に軽い男にひっ
かかって店を辞め、今は七間町の岡場所に身を沈めているらしい。

　そこで音次郎は一計を案じ、おすみがいるとされる夕月楼にお吉を送り
込むが、すでに店替えされた後だった。しかもそれを察して脱走した(笑)
お吉を追った長兵衛の手下が、おさとの姿を発見してしまう。音次郎とと
もに桔梗屋に乗り込んだ手下達の攻勢に追い込まれるお吉・信次・おさと
だが、十蔵が駆けつけて事なきを得る。

　音次郎は桔梗屋から逃げ出した信次とおさとを勘解由の屋敷へ行くよう
に指示し、闇の長兵衛一味と一戦交えるが、絶命した長兵衛を名乗ってい
た男は長兵衛配下の蝮（まむし）の成蔵で、捜査は一旦振り出しに。

　信次とおさとは勘解由の屋敷へ行かず、風車小屋へ身を潜めていた。何
が何でもおすみに会いたいおさとに根負けした信次は、自らおすみの居場
所を聞き出そうと動き出す。お吉の助けもあっておすみを連れだした信次
だが、姉妹が再会を果たしたのもつかの間、おすみは殺害され、信次とお
さとは手下に拉致されてしまう。

　そこで音次郎は大きな賭けに出た。闇の長兵衛が落とした印を届けると
お吉を使いに出させて一味をおびき出し、行きつけの親父が闇の長兵衛で
あることを暴きだし、一味を成敗。

　おすみの遺骨を抱いて田舎へ帰るおさとともに江戸を去ることになった
信次。軽口をたたき合いながら歩いて行く二人の後ろ姿を、隠密同心は笑
顔で見送るのだった――。

　　　

【解説】　何も知らずに出てきた純朴な少女を助けたことから、一人の男
の運命が大きく動き出した。突拍子もない少女の行動に翻弄されつつも、
その純粋さが、男の心を動かす構成は見どころあり。

　二人をフォローしながら正体不明の「闇の長兵衛」を追う隠密同心だが
奴らの顔の広さと機動力に何度もピンチに陥るのも見もの。

　今回の話は音次郎とお吉ちゃんが表で、十蔵旦那が裏。胡蝶姐さんと内
藤の御前はお休みです。

　　　

★ファッションチェック★
・大部分は、くすんだ青地に桃色の両子持（りょうこもち）縞文様の着物
に、紫と黄色が交互に配色されている帯。髪型は銀杏返しで前髪を垂らす
定番スタイル。

・岡場所へ潜入する際は白地にくすんだ桃色の割付文様（点文様）に、桃
に近い紫地に薄い桃白色の古典亀甲文様を模した帯。髪型は銀杏返し。こ
れ見よがしなおちょぼ口がおもしろいです。

・討ち入りシーンはいつもと変わらず。ただし、行列のシーンでは前髪か
ら耳の前に髪を垂らしており、いつもと違う雰囲気になっている。

　　　