江崎英子コミュの【完全】『隠密同心射たれる！』【解説】

◎あらすじ◎
　馴染みの店「桔梗屋」で和気あいあいとしていた小弥太・十蔵・お吉だ
が、外へ出た小弥太が突然狙撃された。向かいの屋根に怪しい影を見つけ
た十蔵は追いかける。椿の花を目印に後を追った十蔵とお吉だが、狙撃し
た実行犯は殺害されてしまう。

　小弥太の傷は深く、体を動かすことはおろか出血が多すぎて手術すらで
きない。そんな小弥太のもとへ、南町奉行所定町廻り同心、大野がやって
きた。彼の話だと、大筒備え場が襲撃され、銃などが盗まれたところに居
合わせた小弥太も大野を手伝っていたという。

　しかし、その大野も一味に狙撃され十蔵の目の前で死亡。体がどうにか
回復した小弥太の口から、今をときめく明石検校（※注）の名が出てくる。
お吉がその屋敷を張っていると、腕に傷を負った一人の男が出てきて、小
弥太のいる診療所に入ってきた。一方十蔵は、大野が捕らえて島帰りをし
た罪人の中から、身元引受人の口入屋に届け出のない上州無宿の新吉とい
う男の存在をつかむ。

　明石検校の周りを探索していたお吉は、明石の駕籠が元若年寄の堀田大
善の屋敷に入るのを目撃。堀田らが盗んだ銃、弾薬を使って将軍暗殺を二
日後に企んでいることを知ったお吉だが、堀田の手のものに捕らえられて
しまう。

　一方小弥太を襲った盗人が新吉であると悟り、大野配下の岡っ引きのも
とへ赴く十蔵だが、診療所の娘、お志乃の口添えで解き放したことを知り
彼女に問うが新吉の行方はわからない。

　小弥太はすぐに手術をしないと傷口が壊疽を起こす危険性がある。お吉
が戻らないこともあって、十蔵は小弥太に銃を渡し「お前だけでも生き抜
いてくれ」と言い残し、お吉の行方を捜しに出る。小弥太の手術は無事成
功したが、お吉や新吉の行方は、手掛かりすらつかめない。

　そこへ、新吉とその一味が診療所に襲いかかってきた。一瞬のすきをつ
いて銃を放った小弥太の機転でその場は切り抜けたものの、新吉は重傷を
負う。その新吉の案内でお吉が捕らえられている堀田の屋敷に乗り込む十
蔵だが、お吉が捕らえられている牢の罠にかかり、一転窮地に。ところが
そこへ小弥太が、爆薬を持ってやってきた。そこで形勢は逆転。一味を成
敗するも、その直後、新吉がしかけた爆薬で堀田の屋敷が爆発した。

　数日後、傷の癒えた小弥太は、十蔵、お吉、お志乃とともに新吉の墓参
りに。悲しみをこらえて明るくふるまうお志乃の後姿を黙って見守るのだ
った。

　　　