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福祉って・・・何?コミュの長時間の車いすは「虐待」 読売新聞

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長時間の車いすは「虐待」
施設スタッフ 「座らせきり」体験


車いすに座るのも心配な状態から、自分ではしをもって食事ができるまでに生活が改善した倉持チカさん(東京都北区・さくらの杜で) 体を自由に動かせないお年寄りや、障害を持つ人たちが、長時間、車いすに座ったままでいることが、どれほどつらいことか。それをスタッフらに体験させ、改善への取り組みを進めている介護施設がある。「座らせきり」について考えることで、介護全体への意識も変わってきたという。(内田健司、写真も)

感謝を励みに
 「ありがとうございます」。東京都北区の老人保健施設「さくらの杜(もり)」で過ごす倉持チカさん(94)は食堂でいすに座り、自分で昼食をきれいに食べ終えると、付き添っていた作業療法士の秋元美穂さんらに声をかけた。場がふっと和んだ。その表情から、この間まで、車いすに座ることすら大変だったとは、とても想像できない。

 隣接する東京北社会保険病院を倉持さんが退院し、この施設へ入所したのは1年半ほど前。歩行は困難で、入院中に胃に直接栄養を送るチューブを取り付ける手術を受けたため、全面的な介助が必要だった。

 いすに座らせようとしても、体を後方に倒し、そのまま滑り落ちそうになってしまう。それを防ぐため、移動時などには、座る部分と背もたれの傾きが、それぞれ簡単に調整できる車いすを使用した。

 施設では入所者の6割近くが車いすを利用。倉持さんらには、ベッドでの寝かせきりにならないよう、できるだけ車いすへ乗ることを勧めたり、車いす上で時々尻部分を持ち上げたりするケアはしていた。

50分で降参
 そういう介助だけでは不十分と、多くのスタッフが気づくきっかけになったのが、施設で開かれた今年3月の「シーティング技術」などを学ぶ研修だった。シーティングとは、理学療法士らが利用者の体の状態に合わせて、車いすの機能などを調整することをいう。講師の日本シーティング・コンサルタント協会の吉川和徳理事長が「(自由に動けない人に対する)座らせきりは虐待と言ってもいいほどだ」と強調。講義の間、何人かのスタッフを車いすに座らせ、滑り落ちそうになっても姿勢を直すことを禁じた。

 座った姿勢を自分で変えられない利用者と同じ体験をさせるのが狙いだったが、50分を超えるころから、スタッフは次々と「もう勘弁してくださーい」などと音を上げた。

 介護士の吉田恭子さんは、長時間車いすに座り続けることの苦痛を知り、「座っている利用者が苦痛を感じていないかなど、意識して注意するようになった。トイレ誘導の際にも、さりげなくお尻に赤みができていないかを見ることの大切さもわかった」と話す。

表情豊かに
 倉持さんらへのケアも変わった。食事や集団体操など生活の場面ごとに、いすに座っている時間も考えた細かな計画を立て、実行するようになった。多職種のスタッフ間の連絡を密にし、引き継ぎの報告が今まで以上に徹底された。

 表情が豊かになったのは倉持さんだけではない。他の利用者の家族からも「自分から体を動かすようになった」「話をするように変わった」などの声が寄せられた。看護主任の権守よし江さんは「座り方を考えることで、スタッフ全員の意識が変わった。今まで以上に利用者の気持ちを理解しようと考えるきっかけになった。それが利用者の表情を変えたのかもしれない」と話す。

 日常のケアに忙しく追われる多くの介護現場では、よりよいケアをしたいと思いながらも、車いす上での座り方にまで常時目配りする余裕がないのも実態だ。

 同協会の吉川理事長は「寝かせきりよりはいいからといっても、何も注意を払わないで座らせたままにすることは、本人にとって大変な苦痛だ。それをもっと多くの人たちに知ってもらいたい」と話す。

(2007年11月6日 読売新聞)

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