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好田タクトふぁん倶楽部コミュのタクト流★よくばりヨーロッパの歩き方(3ヶ月ユーレイルパス活用体験記)

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今回は12年前にユーレイルパスを使って欧州を周遊した体験記、「タクト流★よくばりヨーロッパの歩き方」を紹介します。


最近は出国する日本人数が減っているらしい。燃油サーチャージの値上げや収入の頭打ちなどで海外旅行を控える人が増えているんだって。逆に訪日外客数は、先々月の7月現在、29か月連続で月別過去最高を記録している。
もうぼくも海外には行かなくなってきた。だから格安旅行の本やパンフレットも久しく見ていない。時々、電車で「H.I.Sがグー!」とエドはるみが下唇を突き出した車内刷りポスターを見るぐらい。
でもやっぱり海外には行きたいな。
シベリア文太に「ドケチノフ・セコセコビッチ」とあだ名されたぼくは、じつはかなりせこいヨーロッパ周遊旅行を、もう12年も前になるがしたことがある。
しかしそれは今振り返っても、すごく効率よくまわった旅だったと自負できる。とくに96年の夏、3ヶ月ユーレイルパスを使った計画を立て、ふるに動き回った期間。
もちろん、じっさいに住んでいる人や仕事、留学で現地の生活を体験した人からすれば、「まだまだ甘いな」って言われそうだけど、ここはひとつ、「3ヶ月ユーレイルパス活用術」に絞って、これからヨーロッパを周遊してみたいな、その計画のモデルケースにしょうかな、欧州旅行をしている気分になれるなという感じで読んでいただければうれしい。

ぼくは32歳まで海外に行ったことはなかった。
別に日本でもいいとこいっぱいあるし、言葉ができるわけでもないし、怖いし、生活に必要ないわと興味じたいそれほどなかった。なんやかんやと日常が忙しかったし。
ところが95年の1月、実家が阪神大震災にあい、今までかっこよく建っていたビルも家も街並みもみんな崩壊してしまった。NHKの「げんきくん」を辞め、神戸にいったん戻ってボランティアをしながら、
「もうなんもないなあ。人間は財産持って死ねないんやな。よ〜し、こうなったら海外に行ってぼくの芸が本当に通じるかどうか試してみよう。人間、生きているうちにやりたいことせにゃ」
「おまえ、じゅうぶんやりたいことやってるで」
と友達に言われながら、ほんと急に海外に行くことに決めた。
アメリカは銃持っている人がいて殺されたら嫌だけど、ヨーロッパはおしゃれで大道芸もやれそうだ。ぼくのやっている指揮者芸は本場ヨーロッパで演じるほうがいいんちゃうか。
かってにそう決め付けて、初めていく海外はヨーロッパ。95年はそれこそ無鉄砲にまわった大道芸の旅だった。
持ち物は「地球の歩き方・ヨーロッパ編」「ヨーロッパ1500円の宿・欧州30ヶ国ユースホステルガイド」「トーマスクック時刻表」「ヨーロッパ美術館ガイド」(ポケットサイズ)「オペラ・オペレッタ名曲選」の本、それにトラベラーズチェックとユーレイルパスとユーロパス、大道芸の道具、あと服を少し。カセットデッキが意外と大変で、また現地でも乾電池の値段が高くて閉口したけれど。
「ヨーロッパ美術館ガイド」(ポケットサイズ)の中身

荷物も多く、大道芸をするのが大きな目的だったので、気に入った場所があればけっこう長くそこに滞在した。それはそれで人とも出会い、手ごたえも感じていい思い出もいっぱいできたが、初めて行った海外の土地や文化に触れるうちに、それ自体に俄然興味がわき、
「今度来る時は、もっと計画を立てて、ほんとうに各国の隅々まで、あまり日本人が行かなさそうな所も行きたい!」
と痛切に思い、もう翌年の欧州周遊を考えるまでになっていた。

この頃のぼくは、毎年春は「野毛大道芸」、秋は「静岡大道芸ワールドカップ」というのに出ていた。だから95年も11月からあとは日本にいた。
この冬はバイトも最小限に押さえ(ほとんどしなかった?)、図書館に閉じこもって欧州に関する本を読みまくった。
西洋美術、鉄道、音楽、格安旅行術、有名なお祭り、あらゆる本が図書館にはある。それで予習し、96年度のオペラやクラシックコンサートのスケジュールをチェックした。金のかからないようにラジオ講座で独・伊・仏・スペイン・英語も聞き、しかしそれは録音されたカセットテープだけやたらとたまっていったが…。
そして各国の観光協会に行って情報を集め、超人気の「サヴォンリンナ祭」など夏のオペラ祭は売り出した3月には購入を済ました。
前年に宿泊でけっこう苦労したので、日本にいるあいだに各国のユースホステルの宿泊券をIBNという予約システムを使って購入した。やれる準備はだいたいやってみた。

もうこういうことを一日中調べて、計画するのがすごく楽しい、遅れてやってきた青春だった。

96年、春の野毛大道芸が終わって、さっそく日本を出た。
前年の95年はロシアの「アエロフロート」でモスクワ経由でパリに行った。帰りはローマからで、そのときにみんながあまりに自由に席に着くので聞いたら「この航空会社は早いもの順。好きな所に座って」。熊みたいなスチュワーデスは機内食もお酒も遠慮なしにバンバンくれる。ほんまええかげん。このときの半年間FIX日本ー欧州往復代金が7万円弱で、「もうこれ以上安いチケットはないだろう」と思っていたら、あった。
中華航空。
しかも羽田発。
なんか海外に出発する感じが全然しない。
でも日本ー欧州往復が5万8千円。
時々、墜落する。
でも落ちたあとしばらくは、慎重になるので比較的安全らしい。どうも他の航空会社の払い下げの飛行機を買うので性能に限界があるという噂も。
ぼくが乗る少し前にも死者をかなり出す墜落事故を起こしているので、このときは安全だったそうだ。それにこの安さは代えられない。
96年はこの中華航空で羽田をあとにした。

この年、パリ郊外のノンティールフェスティバルに呼ばれていて、交通費を現金でもらっていたのでかなり浮いた。一緒に出演したのはカムチャッカ有田さん。野毛大道芸で懇親にしていただいている、バランス芸の大家で大道芸の神様みたいな人だ。
フェスティバルが始まるまでの4月、5月のあいだ、前年の経験から大道芸がやれそうな場所、パリのポンピドーセンター前やバルセロナのランブラス通り、オスロのカール・ヨハン通りなどで大道芸をやっていった。同時にオランダのフェスティバルに出たり、各地で取材なども受けたりした。この2ヶ月は前年と同じような生活を送る。そしてノンティールフェスティバルの終えた6月途中からは大道芸はほどほどに、美術や音楽、お祭りを体験する旅中心に切り替えた。

利用した鉄道パスは、欧州17ヶ国の鉄道(一等車特急)を乗りまくれるユーレイルパス3ヶ月(6月19日〜9月18日使用)148,200円と5日用ユーロパス(5カ国・使用日はバラバラでもいい)33,500円×2枚を6月前半と9月に3ヶ月ユーレイルパスを挟むようにして使った。
今インターネットで調べたら、ユーレイルパスは「ユーレイルグローバルパス Eurail Global Pass」といって20カ国、新たにルーマニア・クロアチア・スロベニアも使えるらしい。値段はさすがに高くなって、3ヶ月用が大人246,600円、二人同時使用だと210,100円、25歳以下だとユース(二等車利用)160,400円になっていた。もちろん3ヶ月乗り放題。このパスで特急列車や船はもちろん、欧州にはすごく多い夜間(特急)列車にも乗れて、寝台やクシェットを利用しなくてもコンパートメントでじゅうぶん寝れる。座席を引き出せば簡易ベットみたいになるからだ。しかも翌朝には目的地に着いている。これで宿泊費と移動時間がかなり浮き、ユースや安宿と組み合わせれば、かなりの節約になる。

では、これから先は日記のように訪れた場所と行動内容、感想を書いていく。


【6月1日】5月終りからベルリンに滞在して音楽三昧をした。ウィーン・フィルと並ぶ世界最高のオーケストラ、ベルリン・フィルハーモニーがある。本拠地となっているフィルハーモニーの隣に、JGHベルリンという大きなユースホステルがあって、年配でも利用している。オリンピックの選手村だったのを改装してユースにしているところに泊まる。この日は、昼はベルリンフィルの定期で15マルク(900円ぐらい)で小澤征爾指揮の「アルプス交響曲」が聞けた。夜はベルリンドイツオペラのヴェルディ「アイーダ」を見た。人数削減なのか「アイーダ」は凱旋もほとんど人が出てこなく、音楽も軽くてけっこうちゃちだった。しかし2000円でけっこういい席が当日で入ったので文句は言えないかなあ。
宿泊で注意したいのは、ドイツでもバイエルン州のユースは27歳以下は不可らしい。ここはベルリンなので大丈夫。お年寄りもいた。朝食はバイキングなので昼のサンドイッチもこっそり作った。よく見ると、朝食券をチェックイン時に購入するのだか、朝食会場ではほとんどチェックされておらず、ぼくも2日目から券なしで朝昼食べれることができた。

【6月2日】朝9時にベルリンドイツオペラの当日半額券を狙った。
約3000円で「トリスタンとイゾルデ」のむちゃくちゃいい席が手に入った。真ん中の席は両サイドの人が立って待ってくれているので、早めに着席しないと迷惑をかけることになる。
ベルリンは「ベルリンの壁」が取り壊されて、東西ドイツが結びついて一番変わったと言われる町。プロ・オーケストラは8つあって、東京みたいにいつでもどこかで演奏会がある。オペラは3つ。本格派のベルリン国立歌劇場、過激な演出が売りのベルリン・ドイツ・オペラ、演劇に定評があるコミッシェ・オパー。どれも持ち味が違って見ごたえがある。ベルリン・ドイツは、朝の当日チケット売り出しを狙えば定価の半額で買える。国立歌劇場は、安い価格の公演日を何日かに一回設けている。町は白熊が人気の動物園、美術館、スポーツ観戦、歴史遺産、ショッピング街など、首都だけに見所はいっぱい。
昼は動物園でに行って、サソリやタランチュラなど世界一の昆虫館に目を白黒させられた。

【6月3日、4日】ミュンヘンに移る。チェリビダッケ最後の演奏会を連日にわたって聴いた。ミュンヘン・ガスタイク大ホール。前半はベートーベンのピアノ協奏曲。ピアノはアルフレッド・ブレンデル。ベートーベン交響曲第2番。手兵ミュンヘンフィル。

チャペルミュンヘンはバイエルンとも呼ばれているドイツ第二の町。ここの歌劇場、オーケストラもすばらしい。特にオーケストラはミュンヘン・フィルとバイエルン放送交響楽団、それに歌劇場管弦楽団がライバル関係で切磋琢磨している。ワーグナーに惚れて、国の財政が傾くぐらい音楽の具現化に費用を費やしたルードヴィヒニ世の遺産が(主に城だが)、近郊の町を含めてあちこちに点在している。
泊まるのは常宿にしていたアム・マーケット。市庁舎前では大道芸もした。

【6月5日】バイエルンオペラでヴェルディ「椿姫」を見る。
昼はアルテ・ノイエ各ピナコテーク(州立美術館)に行く。

【6月6日〜10日】パリへ戻る。この時期、パリ郊外のノンティールフェスティバルに呼ばれていた。飛行機代(交通費)を現金でもらっていて、ぼくだけ中華航空できたのでじっさいはかなり浮いた。一緒に出演したのはカムチャッカ有田さん。野毛大道芸で懇親にしていただいている、バランス芸の大家で大道芸の神様みたいな人だ。
6日に日本から来たみなさんと合流してクリスチャン・タゲさんのサーカス団と行動をともにし、タゲさんのお城のような家で生活をした。フェスティバルが終わると日本に帰るカム有田さんたちと別れ、またいくつかの場所で大道芸をした。

【6月10日】ド・ゴール空港へ有田さんを送ったあと、バステーユでパリ・オペラ座の「ノルマ」を見る。

【6月11日】バスチーユ管弦楽団のマーラーの交響曲第2番「復活」を聴く。指揮はジェームス・コンロン。オルセー美術館にも行く。

【6月12日】オランダのアムステルダムに行き、アムステルダム国立美術館を見て、昼のコンセルトヘボウ無料公開リハーサルを聴く。フェルメールの大回顧展、ゴッホ美術館、レンブラントの家、市立美術館(現代)などにいく。
ユースへの帰りアムステルダムの夜はなんかこわかった。麻薬が合法だし。ユースもあまりきれいではなかった。

【6月13日】好田はゴーダに寄ったあと、フェルメールの故郷デルフトへ行く。
ヨーロッパの夏は日がなかなか落ちないので、けっこううろちょろしてしまう。

【6月14日】デンハーグのマウリッツハウス美術館、ロッテルダムのボイマンス美術館、質の高いゴッホ収集で有名なクレラー=ミュラー美術館などにいく。夜はキリアンのバレエを見る。

【6月15日】ドイツのハンブルグでノンマイヤー(バレエ月間)のバレエを観る。トーンバンドなので音楽はテープだった。ヴェルディ「椿姫」を振付けていた。意外にすいていた。昼はハンブルグ美術館に行ってフリードリッヒ、ルンゲなどを見て感動する。

【6月16日】日曜なので街全体が華やか。ちなみにヨーロッパはキリスト教が中心だから、安息日はしっかり休むので店も閉まって歩行者天国になることが多いから、大道芸もしやすくなる。
昼は北ドイツ放送響のプロムシュテット指揮のシベリウスの交響曲を聴き、アルスター湖や運河を船で遊覧したあと、夜は再びハンブルグバレエ。マーラー交響曲第9番。きょうはオーケストラの生演奏だ。
ではここでハンブルグについて。
北ドイツ放送交響楽団が人気がある。特にヴァント時代。ハンブルグ国立歌劇場は、よく批評家ランキングでドイツナンバーワンになったりする。そしてここの歌劇場に併設されているバレエ団が大人気。ノンマイヤーという希代の振付家が斬新な作品を発表するからだ。おかげで毎年シーズン終了の5月か6月は、一ヶ月間、劇場はバレエ月間となってオペラは追い出される。ちなみに、オペラをはじめヨーロッパの音楽シーズンは、通常毎年9月に始まり翌年の6月に終わる。夏休みが2ヶ月あるなんて、日本の学生と一緒だね。もちろん、バイト(夏の音楽祭に出演)に精を出す楽団員は多い。町は港町なので、夜の駅とかは荒くれ野郎が多くて怖い。運河の観光船巡りはけっこう楽しい。

【6月17日】パリに戻り、バスティーユでパリ・オペラ座の「ノルマ」をもう一度見る。昼にルクサンブール宮殿近くでいい雰囲気の所があったので、大道芸していたらやたらとみんなが見る。しばらくしたらぼくの背にあった店から店員が出てきて「やめてくれ」と言われた。どうやらルイ・ヴィトンの本店の前だったみたい。

【6月18日】ミラノに行って、スカラ座で「フェドーラ」を見る。ここの立ち見は有志が仕切っていて、朝8時までに受け付けないと見れない。特にこの日はドミンゴ、バルツァ揃い組みだったから、前日の夜行で早朝に着くように動いた。受付のあとは開演まで時間がたっぷりあるので、ブレラ美術館のマンテーニャ「死せるキリスト」やサンタ・マリア・デル・グラツィエ聖堂のダ・ヴィンチ「最後の晩餐」、スフォルツァ城内のミケランジェロの遺作「ロンダニーニのピエタ」など、ミラノの主要な美術は全部見てまわった。

【6月19、20日】ベルリンに戻り、19日はベルリンフィルの定期、マズア指揮のドヴォルザーク交響曲第8番他を、20日はベルリンドイツオペラの「トゥーランドット」を見た。トゥーランドット姫はギネス・ジョーンズ。さすがに豪快で迫力があったが、大きな玉が上から降りてきてパカッと割れてトゥーランドット姫が出てきたあかつきにゃあ、思わず「桃太郎か?」と叫びたくなった。やっぱり経費節減か出演者が少なくて、最後の華やかなフィナーレも、なんか向こうに栄光の太陽に見立てた光の丸に姫とカラフ王子が向かっていくのだが、早く太陽に着きすぎてしまい、そこで足踏みしながら必死で歩いているフリをしていた。とにかくここのオペラの演出は笑える。
昼はダーレム美術館や東ベルリン美術館の島、現代美術館など主要な美術館はすべて行きまくった。今はベルリンの美術館群は再編成されているのだろうな。

【6月21日】この日は早朝からドイツ、スイス、オーストリア周辺のトーマスクック時刻表推薦の鉄道路線を行きまくった。もちろんICEという新幹線にも乗りまくって。黒い森とかライン川周辺とか、いい景色がけっこうある。夜はベルリン国立歌劇場で「フィデリオ」を見る。

【6月22日】スイスのチューリッヒ歌劇場で「サムソンとデリラ」を見る。バルツァとカレーラスの競演。チューリッヒ近郊も探索。

【6月23日】夜行に乗ってきて早朝ウィーンに着く。日曜朝9時の恒例礼拝堂のミサに間に合う。ウィーン少年合唱団の天使の歌声と演奏はウィーン国立歌劇場のメンバー。しかも無料(少しの献金は強要されるが)。ただしモニターでしか演奏姿を見れない。昼はウィーン美術史美術館とオーストリア・ギャラリーに行く。夜は国立歌劇場で「リゴレット」を見る。



【6月24日】この日は月曜なので主要な美術館はお休み。でも国立歌劇場がバレンボイム指揮でドミンゴが歌う「ワルキューレ」をやるので、早くから行かないとステップパラテレのいい位置での席が取れないかもしれない。と思い、朝早くからYHを出て国立歌劇場に行く。
やっぱり何人か並んでいる。でも思ったより少ない。心配していたことが…。
実は前年、ここウィーン国立歌劇場での「神々の黄昏」を見た。ちょっとがっかり。ぼくの隣の朝早くから同じように並んで仲良くなったドイツから来た老夫婦も「残念だ。ここは世界一のオペラハウスだが、ワーグナーの舞台は必ずしも世界一ではない」と言っていた。
しかしこの日の「ワルキューレ」は思った以上にいい舞台だった。ドミンゴにワーグナーは歌えないなんて口の悪い人がいたら、陳謝しないといけないかも。でも争奪するほどのものでもないかもしれない。

【6月25日】きょうも国立歌劇場の平土間後ろの立ち見ステップパラテレ(なんと300円!)の席のために並ぶ。今日の演目はヴェルディの「ドンカルロ」だ。この日の舞台は一転、すばらしかった。さすがウィーン国立歌劇場だった。昼はロンドン交響楽団の演奏会がコンツェルトハウス・グロッセザールで当日返し券2000円でやっていたのでこれも聴いた。曲はR・コルサコフ「シェヘラザード」他。

【6月26日】この日は国立歌劇場はお休みして、テアターでやるムーティ指揮の「コシ・ファン・トゥッテ」を見た。
じつはここウィーンには、史上最大の幻想画家ヒエロニムス・ボッスの「最後の審判」がウィーン美術アカデミー付属美術館にある。これは隠れた超目玉。
他に分離派館、オットー・ヴァーグナー派の設計した駅舎などの建物群、プラター遊園地、マジョリカハウスなど見所が多いし、音楽の都だけあって作曲家ゆかりの観光地がいたるところにある。それに稀代の建築家フンデルト・ヴァッサーの地元で、設計したアパートや焼却炉がある。日本でも大阪市環境局舞洲工場を設計したことで有名な人。(上の写真がそう)。
ぼくは昨年から国立歌劇場で立ち見をしているうちに、ここで音楽の勉強をしている日本の若者の何人かと仲良くなり、いろんなところを案内してもらったり、ご飯を一緒に食べるようになった。ぼくはウィーンではDON BOSCOという一泊700円の格安YHを常宿としていた。


チャペルではここで、タクト流【海外格安チケット入手術】を伝授するね。 

クラシック音楽をベースにした旅行本や紀行本は、写真集も含めればかなりの数が書店に並んでいる。どれも華やかで、セレブが好みそうな内容だ。お金がかかりそうな旅ガイドはそちらにまかせて、ここでは、超格安で済む、ユニークなガイドを目指している。

海外格安チケット入手術 【その心得】

1.《体力少々必要。》 現地会場での当日券(返し券も含む)に勝負をかけるので、午前中からの早出、並び、立見など体力と時間が必要。靴などは楽な格好でよい。おしゃれは気にしない。
2.《現地での出会いを大切にせよ。》 旅先で出会った人に、いろいろと助けてもらうことは多いはず。最新の情報が得られたり、ちょっとその場所を離れる時でも見ていてもらえたりすることもある。邦人も含めて、チケットを買うのに並んでいる時や、ユースホステルなんかで気の合う人と出会ったら積極的に友達になろう。常連を敵に回すとその歌劇場ではあとあと大変だよ。
3.《なせばなる。》 「チケットは必ずどこかにある」という信念を持って絶対あきらめない。たとえ本番が始まっても。
4.《学生になれ。》 ヨーロッパは学生にやさしい。コンサートも美術館も学生なら格安か無料。また会場当日チケットが優先的に売り出されることも多い。半年以上の日本人長期旅行者は、たいていバンコク経由で偽のIDカード(国際学生証)を造っていた。しかも日本人は若く見られる。ただし見つかっても知らないよ。
5.《明日はないと思え。》 有名歌手のキャンセル、プログラム変更は日常茶飯事。見られるときに見るのが鉄則


【6月27日】この日のウィーン国立歌劇場のプログラムはバレエだ。ストラヴィンスキーの「春の祭典」だ。「なんだバレエか」なんて言わないでほしい。ウィーンはオペラだけではなしにバレエにも精鋭が集まっているのだ。しかも演奏はウィーン・フィル(厳密には国立歌劇場管弦楽団なんだけどね)。やっぱり見ごたえあった。ユーレイルパス期間中なのに5日間も長居をしてしまったウィーンを夜行で離れ、一路スイスのサン・モリッツへ。

【6月28日】世界の車窓で常にベスト5に数えられるベルニナ線。なんと鉄道では世界で3路線しか認定されていない世界遺産にもなっている。先日8月29日には「世界不思議発見」でも取り上げられていた路線。そのベルニナ線、ベルニナ急行に乗った。95年にこの路線に圧倒され、一年中憧れ続けての再会。スイスのサン・モリッツからイタリアのティラノまで約2時間少しのあいだに1800メートルの高低差がある。そのあいだにめまぐるしく出てくる風光明媚な景色。いくつかの湖はすべて水の色が違う。白だったり、青だったり、黒っぽく濁っていたり。これは高さによって湖に流れる水の成分が違うからだそうだ。石灰、氷河、森林…。もちろん氷河、アルプスの眺めも最高で、できるだけトンネルを作らず、ループ的にまわるように線路を引いたから景色が途絶えることがない。鉄橋、陸橋の数々。しかもユーレイルパスで乗れるから、氷河急行のように余計なお金がかからない。最高でただ。
オードリー・ヘプバーンやカラヤン、チャップリンが愛したサン・モリッツも素敵。セガンティーニ美術館も必見。
ティラノからミラノに5時半に着いた。YHにチェックインして、オペラに行くことを言ったので帰りが午前様になる可能性があるのでYHの扉の暗証番号を教えてもらう。
スカラ座ではドニゼッティの「連帯の娘」を見る。もちろん天井桟敷。チケットはちゃんと残っていた。イタリア人は好き嫌いがはっきりしているね。

【6月29,30日】とにかく朝早くから動けば、かなり多くをまわれる。フィレンツェでウフィツィ美術館、ピッティ美術館、国立パルジェロ美術館、アカデミア美術館、サンマルコ美術館、サンロレンツォ聖堂にいく。イタリアの美術館はけっこう早く閉める。
この時期、フィレンツェ五月祭をやっているので、ヴェルディの「アイーダ」メータ指揮を29日に2,500円ぐらいで見た。翌年に日本でこの演目で来たが、15倍ぐらいの値段がしてた。
合間には近郊のピザにもいって、斜塔を見た。

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イタリア周遊の続きです…。

【7月1日】サンジミニャーノへバスで行く。前は「塔の町」として沢山の塔が建っていた。一番多かった時期は72本もあったらしいが、今では13本を残すのみとなった。ここは知る人ぞ知る、人気の町なのだ。なかなか日本のガイドブックには載っていないけど。おいしいジェラート屋さんがあった。夜はアッシジに移ってきれいなYH(ユースホステル)に泊まる。

【7月2日】午前中はアッシジでサンフランチェスコ教会でジョットの壁画を堪能する。まさか数年後にあんな大震災が起きて崩壊するとは。
すぐ近くの中田がいたペルージャに行く。前年にバス代をケチって駅から街中へ行くのにえらく歩いたことがあったので、今回はおとなしくバスで移動。すぐに着く。美術館に行った後、急ぎシエナに移動。街の広場で行なわれる競馬祭り「シエナ祭」を広場の真ん中から見る。すごい迫力。事前にYHを予約していたのでここで泊まる。
トスカーナ地方の古い町並みは、どこか懐かしさを感じる。夜も歩いていると、石畳に街燈がなんか中世にタイプスリップしたみたいだ。

【7月3日】シエナ散策後、ボローニャに移動。宮殿やヨーロッパ最古の大学、教会などを見る。
6時ごろ電車に乗って遠くベルギーへ向かう。

【7月4日】ベルギーのブリュッセルに着く。ベルギー王立美術館を堪能する。小便小僧、小便小娘などを見た後、お目当ての中世絵巻が繰り広げられる歴史祭り「オメガング祭り」を見に行く。午後6時ごろが最高潮。予約していたジーニョン・ユースホステルに泊まる。

【7月5日】フランス・コルマールのウンダーリンデン美術館にいく。ここにはグリューネバルトが描いた《イーゼンハイム祭壇画》がある。
パリに戻り、ブルゴス〜オリテ〜パンプローナ行きの夜行列車に乗り込む。

【7月6日、7日】スペインのパンプローナに着く。ここは普段は何もない小さな町だが、この時期、世界的に有名な牛追い祭り『サン・フェルミン祭』が開催される。文豪ヘミングウェイが「日はまた昇る」でパンプローナを舞台とし、この祭を世界中に知らしめた。牛にタッチすれば幸せになれると、危険な牛に触れようとして牛の角で毎回死者が出る、あのお祭りだ。初日は正午に市庁舎前でトマト投げから始まる。衣装は白に赤のスカーフ。ぼくは遠くから見ていたのだけど、このトマト投げも翌日からの牛追いも、すごく迫力があっておもしろかった。
人はお祭りにこうも命がけになれるものなのか。
泊まりはなかなかなくて、隣駅のオリテのパラドールという古城に泊まった。もちろん事前に日本から予約していって。野宿でもいいんだけど、やっぱり怖いしね。じっさい、若者は駅とかでかなりのものが野宿していた。

【7月8日】スペインのサン・セバスティアンやフランスのボルドー、トゥールーズ、マルセイユなどに寄る。

【7月9〜11日】フランスの「アヴィニヨン国際演劇祭」がこの一ヶ月間、古都アヴィニヨンで催されている。演劇、大道芸と町が芝居一色になる。ぼくなんかゲリラ的に大道芸をやってしまうが、じつは事前の申し込み制。雪竹太郎さんが毎年ここで一ヶ月やっている。

【7月12日】世界遺産モン・サン・ミッシェルに行く。なんかイメージでは満ち潮になると海の孤島のように思っていたが、じっさいは砂が堆積されて満ち潮でも完全に「島」にはならない。でも雰囲気はある。

【7月13、14日】13日はガルニエ座でモニク・ルディエールの引退興行をやっていた。「コッペリア」「ジゼル」。日本のファンが大量に押寄せ、フランス語の後、日本語で注意アナウンスされていた。撮影禁止って言っているのに、バシャバシャ撮られていた。なんでもパリ・オペラ座は定年があって、女性は40歳なんだって。
14日は「パリ祭」。バスティーユではベートーベンの「合唱」交響曲にベジャールが振りつけたバレエが無料で観覧できた。入り口で開場まで待っている間、表では戦車や飛行機がパレードしたり、空遊していた。バレエは3時開演なので、夜行でミラノに向かった。

【7月15日】ミラノ・スカラ座でガーシュインのオペラ「ボーギーとべス」を見る。昼はトリノやジェノバを散策。この日も天井桟敷は余裕、と言うより、客がスカラ座なのに入っていない!


カメラ写真は美術館ガイドとフリューゲル「バベルの塔」
【7月16日】パルマにいって美術ざんまい。ぼくはイタリア絵画がすごく好きなので、ここのパルマ派の画家はこたえられない。パルミジャミーノ、コレッジオ、カラッチ一族、マニエリムスの画家たち…。東京の国立西洋美術館でも2007年5月29日(火)〜8月26日(日)に「パルマ―イタリア美術展」を大盛況のうちに開催していた。沢口靖子などがナビしたテレビ特番もあった。

【7月17日】ヴェローナに着く。1世紀に作られた古代円形劇場でのヴェローナ野外オペラ。この日はヴェルディの「ナブッコ」。途中から雷が鳴り始めて、第三幕のイタリア第二の国歌といわれる「行け、わが思いよ、金色の翼に乗って」が歌われる頃には空が真っ暗になり、雰囲気バツグン。雷の演出のもと、恒例の2回この歌が繰り返されたあとにどしゃぶり。じつはここは野球と一緒で、半分が終わると途中雨が降っても雨天コールド成立なのだ。お客さんも不満を持ってないみたい。昼はパドヴァを散策。

【7月18日】きょうもヴェローナ野外オペラ。ヴェルディの「アイーダ」を見る。チケットは当日で買うことに決めていたので、さっそくダフ屋が近づいてきた。言葉がわからず言い値に首を縦に振らなかったら、あまり時間をかけたくないのかどんどん値が下がっていく。かなり安くダフ屋からチケットを買った。そんな安い席なのに、なぜか後ろからみんなに押されてどんどん前に行けて、気がつけば目の前が舞台という舞台袖。本番、前で馬が暴れて怖かった。そして大きな糞を舞台上でしていった。大迫力だった。「ばふ〜ん!」

【7月19日】前日のヴェローナ野外オペラの終演が午前1時なのには閉口した。宿とってないし。しか〜し、電車が動いている。行き先もあまり考えずに、とりあえず宿代わりに乗る。早朝新幹線ディレッマシオに乗り換えてかなり南に来る。アルベロベッロ、マテーラという2つの世界遺産都市を散策。

【7月20〜22日】ヴェネチアへ向かう。途中、ぺスカラかアンコナあたりできれいな砂浜が見えたので地中海で初めて泳ぐ。ヴェネチアのYHに泊まる。この都市は珠玉の歌劇場「不死鳥」があったのだけど放火にあって、このときはトロンケット新島で仮テントでオペラをやっていた。プッチーニ「蝶々夫人」を見る。
「ベネチア祭り」なので、仮装行列やゴンドラ競争をやっていた。
日本人は欧州に行きたい都市を3つあげるなら「ローマ、ロンドン、パリ」らしいけど、外国人は「フィレンツェ、ヴェネチア、プラハ」これにブルージュが加わるそう。さすが水の都。温暖化の影響で沈むことが懸念されている。飲食は高いので、スーパーで買い込んでYHの炊事場で作って食べる。YHの場合はそこで食事を取るか自炊がほとんど。
夜は大花火大会だった。ビスコンティの映画「ベニスに死す」で有名なリド島やムラーノ島など近郊の島にも足を伸ばす。ここは車がなくて移動は船。アカデミア美術館などいい美術館が多いので堪能。ヴェネチア派の画家ティッツィアーノ、ティントレット、ティエポロなどがふんだん。

【7月23日】イタリア、オーストリア、ドイツの鉄道路線を乗りまくる。イタリアの風光明媚コモ湖、マジョレー湖にも行く。車窓を楽しんだあと、夜はバイエルン国立歌劇場で「セルセ」を見る。

【7月24日】フィッセンにいってノイシュヴァンシュタイン城にいく。城下の湖を歩いて一周。バスでリンダーホフ城にも行く。この日はルードビッヒ2世がワーグナーに憧れて狂気で作った世界を堪能。城の地下の人工池などをみる。帰りのバスをまちがい途方にくれていたら、金持ちらしきドイツ人夫婦が助けてくれてフュッセンまで車で送ってくれた。

【7月25日】ロマンティック街道の観光バスに乗る。日本から予約済み。このときはユーレイルパスでただだったが、今は20%がいるみたい。でも安いわな。ディンケルスビュールなど中世都市が目白押し。ローテンブルグで泊。

【7月26、27日】聖ヤコブ教会など精力的に観光。古城にも行った。ヴェルツブルグ、バンベルグ、マインツ、ニュルンベルグなどドイツの古都を散策。ディセルドルフ、ハノーバーなども行きながら、昔猪木はローラン・ボックにドイツでやられたなあ。ハノーバートーナメント(プロレス)やってないかなあと思ってしまう。26日はフランクフルト泊。27日夜行移動。



カメラ6月3日、何かにせかされるように、思わずシャッターを押したチェリビダッケ最後の演奏会
【7月28日】北欧の旅開始。デンマークのコペンハーゲン一日観光券を購入。ここは見所多し。国立美術館、ニー・カールスベア、トルヴァルセン、ルイジアナ近代など主な美術館、チボリ公園、人魚姫なども見る。夜行移動。

【7月29日】ノルウェーのオスロに朝着。ここは前年もカール・ヨハン通りで大道芸をしたりして愛着ある町。この日は「ノルウェー祭り」白夜なので北欧はこの時期、日が沈まない。最近ムンクの絵が盗難されたことで有名な国立、ムンク、ヴァーゲラン美術館。公園全体が人体の彫刻で埋め尽くされているフログネル公園は必見。ガイドなどにはバスって書いてあるが、歩いてでもじゅうぶん行ける。30分ぐらいなので思い出にもなる。夜行移動。

【7月30日】オスロ〜ベルゲン間の車窓は世界屈指。途中に見える氷河群は、月面みたいでスターウォーズのロケ地にもなった。ベルゲン朝市で鮭を食う。グリーグの家、船でのソグネフィヨルド観光、フロム鉄道(このときは無料)、駅のうしろが大瀑布のヒューム滝など見所目白押し。ぼくはヨーロッパ鉄道の車窓では、ベルニナ線と二分する見ごたえ路線だと思っている。

【7月31日】スウェーデンのストックホルムから超豪華客船シリアライン(ユーレイルパス有効)にのってフィンランドのヘルシンキへ。船に乗る前に8月のドロットニングホルム宮殿のコンサート券を買っておく。18時船出発。船の中はカジノやショー、プールなど別名「動く豪華ホテル」。

【8月1日】シベリウスの国に到着。前年にお世話になったシートネンさんの所へ行く。さっそく、アイノラの里やシベリウス公園、生家などを車で再び行く。いったんシートネンさんと別れてサヴォンリンナへ。

【8月2,3日】「サヴォンリンナ・オペラ・フェスティバル」を見に行く。ヘルシンキから電車で6時間。森と湖に囲まれた幻想的なオラヴィー城がある。フィンランド3古城のひとつでゲームドラクエのモデルになった城。世界的に人気のある夏のオペラ祭。2日はヴェルディ「マクベス」。3日はワーグナー「タンホイザー」を見る。夜、薪で催される城のオペラは雰囲気満点。昔は二期会も招聘された。他宿は高いのでYHに泊まる。

【8月4、5日】ヘルシンキに戻り、シートネンさんと車でいろいろ案内してもらう。本格的なサウナも体験。4日はシートネンさん所で泊。ムーミン谷にも行く。

【8月6日、7日】シリアラインでストックホルム着。世界遺産の宮殿で行なわれる「ドロットニング音楽祭」を見る。6日「アンネ・ゾフィー・フォン・オッターリサイタル」、7日オペラ「オフィーリアとエウリディーチェ」値段は3千円ぐらいだったと思う。市内観光。ストックホルム国立、近代両美術館を見る。6日はエアチャップマンという船のYHで泊。この日は「ストックホルム祭り」で夜は花火が打ち上げられ、ここのYHからの眺めは最高。
古都ウプサラに行く。大学にも行った。西洋で二番目に大きい教会、さすがにでかかった。7日夜行移動。


カメラウィーンと言えば、国立歌劇場の音楽監督は小澤征爾さん。でももうすぐ退任しちゃうんですよね。オーストリアと日本は仲もいいのに。残念。
【8月8日】ルツェルン着。アルプスの旅開始。オルセーと並ぶ質を誇る近代美術のバーゼル美術館に行く。船でルマン湖など湖巡りもパスがあればただ。YH泊。

【8月9日】グリンデルヴァルトを基点に、ユングフラウ周遊。世界一の急勾配ピラテゥス鉄道など車窓ざんまい。ブリエンツ〜インターラーケンは定期船利用。超人気のYH泊。

【8月10日】スイスからフランス、ショモニへ移動。ここの路線も低いところから高いところへアプト式であがる素晴らしい路線。さらにロープウェイでモンブランへ。クリスタルパノラマ急行にのる。ショモニへの車窓も素晴らしい。モンブランのYH泊。

【8月11日】スイスのツェルマット着。ゴルナーグラードでマッターホルンを眺めたので、アルプス3大山岳を制覇した。YHで泊。

【8月12日】氷河急行など乗る。正直ベルニナ線の方がいい。トンネル多いし。ブリッグで乗り換え、スイスのお勧め路線をほとんど行きまくる。ガイドにはほとんど乗っていないが、クールからアロッサの路線はすごくいい。イタリアのドモッドソラ〜ロカルノの路線も素晴らしかった。これらはパスが使えるが、氷河急行やヨーロッパ最初の登山鉄道フィッツ・ナウ鉄道、ブリエンツ・ロートホルンSLなどの私鉄は別料金か割引(ユーレイルパスはほとんど割引なので、とにかく提示すること)。チューリッヒ美術館、ベルン美術館、ホドラーやベックリン(死の島)の絵は必見。夜行泊。

【8月13〜15日】ローマに向かう。新幹線ディレッマシオに乗る。「ローマは一日にしてならず」と言われるように、フォロ・ロマーノやシスティーナ礼拝堂、ヴァチカン博物館、サンピエトロ大聖堂、国立絵画館、コロッセオなどを見まくる。「聖母被昇天祭」があった。イタリアは法律で絵画を海外に出せないので、いい絵がすごく自国に残っている。カラヴァッジオ、ラファエロ、ミケランジェロなどは必見。教会にも名画が多く、金がなくなってきた時代に「絵でごまかそうか」というだまし絵もある。特に好きな画家はアンドレア・ポッツォ。遠近法を用いたイリュージョン的な建築的絵画技法を駆使し空想的な空間を構成した、サン・ティニャーツィオ聖堂(街の中心部にある)の天井画『聖イグナティウス・デ・ロヨラの栄光』は世界一のだまし絵だ。しかも美しい。吸い込まれそうだ。これ見たさにローマ、いやヨーロッパに来たようなもの?。主要なのはバチカンにあるが、それ以外でもボルゲーゼ、パラッツォ・バルベリーニ、国立近代、ドリア・パンフィーリの各美術館は必見。アッピア街道に行こうとして迷子になった。近郊のムッソリーニが作ったエウルにも行った。泊まったのはYHで前はオリンピック村だった。

【8月16日】ナポリに行く。カプリ島に行って「青の洞窟」でビショ濡れになる。昼からのナポリの町はほんと素敵。危ないと言われるが駅周辺の方が詐欺が多くて、下町まで行くとそれほどでもない。女性は誰か友達と歩く方がいいのかな。180円(2000リラ)の窯で焼きたてのピザを歩きながら食べ、洗濯物が頭上に干している迷路のような街並みを歩く。国立考古、カポディモンテなどの美術館に行く。夜はサンカルロ劇場でモスクワ放送響のコンサートをやっていたので聴く。卵のような古城があった。夜行泊。
【8月17日】朝のシチリアからブリンティッシュに向かう。ライン社のフェリーでアドリア海を越えてギリシャのパトラへ。20時発→翌13時着。パスがあるので乗船無料。デッキで寝る。

【8月18〜20日】ギリシャ三昧。パトラからアテネ移動。意外と時間がかかる。日曜は美術館が無料。19日は一日エーゲ海クルーズ。一番安いツアーをさらに交渉して参加。しかし代理店が違うだけで乗る船は一緒。最後の島はヌーディスト・ビーチだったがぼくは水着を着て泳いだ。アクアポリスの丘、パルティノン神殿、考古学博物館、リカビトスの丘など観光する。スニオン岬の夕日がきれいと聞いていたので、それを狙っていったら正解だった。夜のアテネで人が刺されていた。この頃、ちょっと旅疲れをする。

【8月21日】地中海のアドリア海を航海してイタリア・ブリンティッシュに戻る。東から西へ抜ける。

【8月22,23日】気になる鉄道路線を行きまくる。ポンペイ、アマルフィ、ソレント、ジェノバ、トリノに行く。モナコ、ここでは水族館を見る。男性バレエやカジノで有名だが見れなかった。ニースではマティス、シャガール、マセナの各美術館に行く。またニースは海岸では女性はトップレスで肌を焼く。それを東洋人の男性がカメラで収めている。ぼくも。コート・ダジュールやプロバンスではレジェ、ピカソの各美術館に行く。南フランスの鉄道路線も行く。夜行でバルセロナへ。

【8月24、25日】バルセロナ。ガウディゆかりのところを行く。ダクラダ・ファミリア、グエル公園、グエル邸、ミラ邸。ミロ美術館、ピカソ美術館。感動したのはカタロニア美術館。12世紀の奇跡の絵画「栄光のキリスト」がある。ルオーの原点がここに。ここは民族が違うのでスペインとは切り離していいかも。街は活気があってすばらしい。

【8月26日】ヨーロッパでは中世最大の城壁都市フランスのカルカソンヌに滞在。すごくいい所。特に夜。タイプスリップした感じ。城壁内のYH泊。

【8月27日】アンドラ経由でフェゲラスのダリ美術館に行く。夜行移動してマドリッドに朝着。

【8月28日】スペインのマドリッド。一日中美術三昧。プラド、ソフィア王妃、王立サン・フェルナンド、ラサロ・ガルティアーノ、ティッセン=ボルネミッサ、ソローリャ、セラルボなど気になる美術館は全部行く。バールなど物価が安くてホクホク。ヒエロニムス・ボッスの「快楽の園」、ムリリョ、ベラスケス、ピカソの「ゲルニカ」は必見。

【8月29日】マドリッドを基点にトレド、セコビアにいく。トレドはエル・グレコの絵、セコビアは白雪姫のモデルの城アルカサルが有名。両都市とも世界遺産。

【8月30日】セビーリヤ。見所が多いがなんといっても県立美術館。大好きなムリリョなどがふんだん。バルデル・レアル、リベーラなどプラドにも劣らない質と量。隠れた目玉美術館。いろんなオペラの舞台になっている町。闘牛も見た。

【8月31日】コルドバ。メスキータが素敵。白い街並みもいい。先日、NHKの「世界ロマン遺産」で高橋美鈴アナが訪ねていたのを懐かしく見る。

【9月1日】グラナダ。アルハンブラ宮殿。裏のダクラモンテの丘のジプシーたちの洞穴生活に衝撃。タプラオでフラメンコを見る。
カメラウィーンの稀代の建築家フンデルト・ヴァッサーの地元で、設計したアパートや焼却炉がある。日本でも大阪市環境局舞洲工場を設計したことで有名な人。(上の写真がそう)。

【9月2〜4日】ポルトガルのリスボン。国立古、グルベキアン各美術館に行く。天界の楽園と言われるシントラにも行く。じつはシントラのYHを予約していたのだが、行ったら雷が落ちて燃えてなくなっていた。しかたなくペレン城をみたあと、リスボンのYHに事情を説明して泊まる。4日は「火宅の人」の檀一雄(だんかずお)が愛した街、ナザレ、コインブラ、ボルドーに行く。岩手県みたいなゆったりした空気が流れる港町。

【9月5日】スペインのマラガ、ここの県立美術館にもムリリョの絵が。カサレス、アルヘシアスからモロッコのタンジェへ日帰り。バックパッカーでいっぱい。もう9月なのに。モロッコは衝撃。喧騒がエネルギーを感じる。じつは海を隔てて目の前同士の町。大陸は違うのに。

【9月6日】マドリッドへ戻る。美術館ざんまい。オペラも見る。

【9月7日】フランス、リヨンへいく。フランス第2の街だけあって、もう都会。前衛的な「カルメン」を見る。ここの美術館は非常に充実。

【9月8〜10日】コルンゴルドの「死の都」の舞台となっているベルギーのブルージュで一泊。運河堪能。メムリンク、市立グルーニンゲ美術館に行く。アントワープに移動して王立美術館のアンソールに感動。大聖堂ではネロがパトラッシュと見て死んだルーベンスの絵がある。ゲントに移りシント・バーフ大聖堂でファン・エイク兄弟の「神秘の子羊の礼拝」(ゲントの祭壇画)に感動。ゲント美術館ではボッスの名画「十字架を担うキリスト」もそうだが、なにゆえかフリューゲルの「バベルの塔」の試作と思われる絵が印象に残った。近くの小都市にも行く。

【9月11〜19日】ユーレイルパスの有効期限が切れるまでのあいだ、トーマスクック時刻表での推薦路線で行きそびれたところをくまなく行く。ハンガリーのブタペストやその先のバラトン湖も一周する。ここは「ハンガリーの海」と呼ばれていて温泉が湖の中にある。もちろんブタペストも温泉で、ぼくはホモに襲われそうになった。小都市にも足を伸ばす。
日が沈むまでは主に鉄道と美術館、夜はコンサートに明け暮れた。この数ヶ月で同じようにユーレイルパスを使ってオペラ三昧をしている人、例えば静岡からきた高校の社会の先生を退職されたうんてん先生などと仲良くなり、情報を交換するようになる。
行ったコンサートは、ミュンヘン・ガスタイクでミュンヘンフィルの演奏では、「チェリビダッケ追悼コンサート」としてメータ指揮のブラームス2番とチョン・ミュンフン指揮のサン=サーンス交響曲第3番を、ベルリン国立歌劇場で「魔笛」「カヴァレリア・ルスティカーナ、道化師」を、ゼンパーオパーで「トリスタンとイゾルデ」を、ケバントハウスでプロムシュテットのベートーベンの交響曲第7番を、ベルリン交響楽団でカルロ・マリア・ジュリーニのマーラー9番を、ギュンター・ヴァント指揮ベルリンフィルでブルックナー交響曲第8番を、バイエルン国立歌劇で「椿姫」を聞く。

ドレスデンの滞在のあと、バスでチェコのプラハに行く。ここは中世の面影を残したすごく素敵な町。ここではサッカーのチェコ対スペインも見た。美術館ではアンリ・ルソーの絵があった。
9月24日ぐらいからウィーンに2週間ぐらい滞在してオペラ三昧。毎日国立歌劇場で、たまにフォルクス・オパー。
それからパリに移動して、A.E.P.Pという伝説の格安YHに滞在して3週間ぐらいいて、ミュージアムパスを駆使してパリの美術館すべてを見まくった。ルーブルには5日間べったり通った。オルセーやポンピドー、ピカソ、オランジェリー、マルモッタン、プティ・パレ、ロダン、モロー、ベルサイユ宮殿などパスで記載しているところは全部行った。裏技を使って。
そしていよいよ旅も終り。
日本で秋に行なわれる「静岡大道芸ワールドカップ」出演のため、フランクフルトから中華航空で日本に帰った。

ざっとこんな感じです。
旅の参考になりましたでしょうか。
こういう旅は、行く前の下調べの期間がけっこう楽しいのでしょうね。

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