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枡野浩一のかんたん短歌blogコミュの佐々木あららさん寄稿 九九を唱えなおすように

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現在休止中の「かんたん短歌blog」ですが、みなさまからの寄稿が掲載されることがあります。 作者の方に許可をいただきましたので、記録の意味も兼ねてコミュでも掲載させていただくことにしました、感想やご意見などありましたらコメントよろしくお願いします。

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佐々木あらら(http://ararara.exblog.jp/)
寄稿『九九を唱えなおすように』
(2007年11月29日)


 たとえば。

 キャプテン翼は、ほんとうにひどいサッカー漫画だ。
 基本的に個人技、っていうかひたすらドリブルで前線に出る。挙句、90度近く曲がるドライブシュート。挙句、10メートルくらいの高さまで(小学生が)ジャンプするスカイラブハリケーン。挙句、厳密に言うと反則をとられる必殺技の数々。
 サッカーの本当の面白さをまったく伝えてない。
 小学校の頃、僕らはみんな、翼くんの真似をした。当然、体育のサッカーの授業はめちゃめちゃになる。地道なパス練習なんか誰もしたがらない。当時のサッカー選手とかコーチとかは、

「ああ、こんな漫画を読んでサッカー始めてる子供たちが増えてるようじゃ、日本のサッカーはどんどんだめになる」

と憂えていたんじゃないかと、思う。

 でも、あれを読んでサッカーに夢中になった子供たちの中から、ワールドカップの日本代表が生まれたのは、どうやら間違いないのだ。キャプテン翼という漫画がなかったら、今のJリーグもなかっただろうし、そういうはしごがなければ、ナカタもナカムラもあそこまで高い世界には行けなかったと思う。

 たとえば。

 カラオケが普及しなければ、僕らは、素人の叫ぶ下手な歌を聴かずに生きてこれたはずだ。空気も悪い中、ひどい音響設備とかけすぎのエコーの中で絶唱するなどというアホな文化を、誰が考えたんだ。俺は、本当のプロが歌うちゃんとした歌だけを聴きたいのに。

 でも、カラオケは、歌うことを身近にし、日本人全体の歌唱能力を上げた。そしてさらに、そうやって育った子供たちの中から、若くて実力のあるシンガーたちが生まれてきた。松田聖子の時代と今とでの、10代20代アイドルの歌唱力の差といったら。

 週刊少年ジャンプもカラオケも大衆的で商業的で結局のところ低俗なものだが、そんな中から逸材は生まれ、山は、高くなった。

 「一億総○○」とか「○○の大衆化」とかいう言葉を使って何かを憂う人を、僕は信じない。

 ありふれた(というか、常識的な)論説で申し訳ない。けれど、ありふれた論説にさえ負けてしまう論説を、まさか2007年にもなって読むことになろうとは思いもよらず、もしかして僕のほうが間違ってるのか、と、九九を唱えなおすような気持ちで、書いてしまいました。

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