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A3公式サイトの
韓国人記者・宋智勲（Song, Ji Hoon）のコラム
著者プロフィール
宋智勲（Song, Ji Hoon）
1976年10月24日生まれ。ソウル出身。
2003年にサッカー専門誌『月刊ベストイレブン』に入社、現在に至る。
昨年はインターネット・ポータルサイト
『Daum』のドイツＷ杯解説委員を務めた。
柳在奎（Ryu, Jae Kyu）のコラムはこちら
http://
韓国人記者・宋智勲（Song, Ji Hoon）のコラム
著者プロフィール
宋智勲（Song, Ji Hoon）
1976年10月24日生まれ。ソウル出身。
2003年にサッカー専門誌『月刊ベストイレブン』に入社、現在に至る。
昨年はインターネット・ポータルサイト
『Daum』のドイツＷ杯解説委員を務めた。
柳在奎（Ryu, Jae Kyu）のコラムはこちら
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コメント(25)
『Kリーグは今』
〜 第8回 A3の拡大とKリーグの発展 〜 ( 1 / 2 )
6月13日、日韓中のキング・オブ・キングを決める「A3チャンピオンズカップ2007」が大団円で幕を下ろした。
北東アジア3カ国の強豪が集まった大会にふさわしく、毎試合迫力のある戦いが繰り広げられ、素晴らしい場面が続出した。観客席の熱気もまた、他の大会より高かったと言われている。
とはいえ、韓国ファンの立場としては、興味と関心のほかに、大きなショックを経験した大会でもあった。
今シーズンのKリーグにおいて19試合連続無敗記録を保持し、首位の座を不動のものにした「絶対的な強者」城南一和（ソンナム・イルファ）が、3試合で2敗を喫し、4チーム中最下位に留まる屈辱を受けたのだ。
しかし多くの専門家は、「参加チーム同士の接戦が続き、混戦となった事は、3カ国のレベルが向上し、平均化した証拠」と、肯定的な解釈をしている。その上で、「今後A3が進む方向性について、もっと真剣に考えていかなければならない」という忠告も付け加えた。
韓国のサッカー関係者の間では、A3をより一層拡大させ、アジアのクラブサッカーを代表する大会へと育て上げるという共通認識が形成されている。
〜 第8回 A3の拡大とKリーグの発展 〜 ( 1 / 2 )
6月13日、日韓中のキング・オブ・キングを決める「A3チャンピオンズカップ2007」が大団円で幕を下ろした。
北東アジア3カ国の強豪が集まった大会にふさわしく、毎試合迫力のある戦いが繰り広げられ、素晴らしい場面が続出した。観客席の熱気もまた、他の大会より高かったと言われている。
とはいえ、韓国ファンの立場としては、興味と関心のほかに、大きなショックを経験した大会でもあった。
今シーズンのKリーグにおいて19試合連続無敗記録を保持し、首位の座を不動のものにした「絶対的な強者」城南一和（ソンナム・イルファ）が、3試合で2敗を喫し、4チーム中最下位に留まる屈辱を受けたのだ。
しかし多くの専門家は、「参加チーム同士の接戦が続き、混戦となった事は、3カ国のレベルが向上し、平均化した証拠」と、肯定的な解釈をしている。その上で、「今後A3が進む方向性について、もっと真剣に考えていかなければならない」という忠告も付け加えた。
韓国のサッカー関係者の間では、A3をより一層拡大させ、アジアのクラブサッカーを代表する大会へと育て上げるという共通認識が形成されている。
特別な価値、しかしファンの関心は？
今大会の競技レベルは非の打ち所がなかった。現地で試合を見た同僚記者によると、今までのどの大会よりも、観客の多さと熱気を感じることができたという。
しかし残念な事に、韓国内でのA3に対する関心は微々たるレベルに留まった。城南の試合は全て生中継されたが、視聴率は極めて低調だった。サッカー関連のサイトやコミュニティにおいても、A3について言及するファンを見つけることは難しかった。
これは先程言及したように、城南の不振に原因があると思われる。
大会開幕直前、韓国のマスコミは城南が優勝する可能性を非常に高いものと予想していた。2004年の北京大会で優勝した経歴もあり、その上、最近の3大会をKリーグ勢が席巻するなど、素晴らしい成績を維持していた事による自信の表われであった。
そのため、城南の不振は「意外な事件」と受け止められた。城南が山東魯能（サントン・ルノン）との初戦で敗れた際、「衝撃の敗北」「予測できない不振」などのような記事の見出しが主となったのも、そのような理由からだ。
その後、城南が浦和レッズとの試合にも敗れ、優勝の可能性が消えると、大会に関する報道を扱うメディアの数が明らかに減り、ファンの関心も少なくなった。
A3開催期間中、Kリーグは中断期間に入った。その上、主なサッカー関連のイベントも開催されなかった。この点を考えると、これだけファンが無関心な状況にあることは、少々異例と思われる。
最終日の報道は、城南が上海申花（シャンハイ・シンカ）を倒して、大会を1勝2敗で締め括った事実だけが簡潔に記されたのみ。どのチームが優勝したのかについて、言及したマスコミはほとんどなかった。
むしろA3を視察するために、開催地である済南を訪問したピム・ファーベック韓国代表監督についての話題の方が、扱いの比重が高かった。「メイン」と「サブ」が入れ替わってしまったという訳だ。
今大会の競技レベルは非の打ち所がなかった。現地で試合を見た同僚記者によると、今までのどの大会よりも、観客の多さと熱気を感じることができたという。
しかし残念な事に、韓国内でのA3に対する関心は微々たるレベルに留まった。城南の試合は全て生中継されたが、視聴率は極めて低調だった。サッカー関連のサイトやコミュニティにおいても、A3について言及するファンを見つけることは難しかった。
これは先程言及したように、城南の不振に原因があると思われる。
大会開幕直前、韓国のマスコミは城南が優勝する可能性を非常に高いものと予想していた。2004年の北京大会で優勝した経歴もあり、その上、最近の3大会をKリーグ勢が席巻するなど、素晴らしい成績を維持していた事による自信の表われであった。
そのため、城南の不振は「意外な事件」と受け止められた。城南が山東魯能（サントン・ルノン）との初戦で敗れた際、「衝撃の敗北」「予測できない不振」などのような記事の見出しが主となったのも、そのような理由からだ。
その後、城南が浦和レッズとの試合にも敗れ、優勝の可能性が消えると、大会に関する報道を扱うメディアの数が明らかに減り、ファンの関心も少なくなった。
A3開催期間中、Kリーグは中断期間に入った。その上、主なサッカー関連のイベントも開催されなかった。この点を考えると、これだけファンが無関心な状況にあることは、少々異例と思われる。
最終日の報道は、城南が上海申花（シャンハイ・シンカ）を倒して、大会を1勝2敗で締め括った事実だけが簡潔に記されたのみ。どのチームが優勝したのかについて、言及したマスコミはほとんどなかった。
むしろA3を視察するために、開催地である済南を訪問したピム・ファーベック韓国代表監督についての話題の方が、扱いの比重が高かった。「メイン」と「サブ」が入れ替わってしまったという訳だ。
『Kリーグは今』
〜 第8回 A3の拡大とKリーグの発展 〜 〜 ( 2 / 2 )
A3に期待するKリーグ
韓国のサッカー関係者は、Kリーグがもっと成長するために、A3を積極的に活用しなければならないという共通認識を持っている。
日本のJリーグによる先進的なマーケティング能力。そして中国Cリーグによる途方もない潜在的な成長。そのどちらも持ち得ない韓国としては、積極的な交流を通じて両国の長所を学び、活用する必要があるのだ。
さらにKリーグが、観客の減少という困難に直面している現実。それがまた、A3の重要性を自覚させる原因となっている。
Kリーグは北東アジア3カ国のうち、唯一、下部リーグとの入れ替え制度を実施していない。ディビジョンシステムを運営できるほど、サッカーに関する環境が作られていないためだ。
昇格と降格の緊張感がないまま、順位決定のみで終わってしまう。それがサッカーファンからもなかなか注目されない原因となっている。イングランド、スペイン、イタリアなど、ヨーロッパの主要リーグに対する関心が日々高まるのとは対照的だ。
その意味において、A3が推進している大会拡張の動きは、Kリーグが最も期待する青写真とも言える。A3が参加チームを増やし、インターリーグ体制へと転換された場合、Kリーグの順位争いも一層激しくなり得るのだ。
上位4チームにA3への出場権が与えられると仮定した場合、優勝チームだけに集められていた関心が、4位争いまで分散する。
最近AFCが、アジア・チャンピオンズ・リーグ参加チーム数拡大、及び優勝賞金の大幅な引き上げに関する調整などの内容を盛り込んだ発展計画書を発表した。しかしこれが実現されるまでには多くの時間が必要だと思われる。
広々としたアジアを一つにまとめた場合、長い移動距離や時差、気候の変化などの要因から来る問題が多数発生するからだ。
それを考えると、レベルがほぼ似ている北東アジアの3カ国を対象にしたA3だからこそ、実現できる可能性が一段高いと言える事は間違いない。
韓国のサッカー専門家は、「A3がアジアを代表するサッカーイベントに生まれ変わるためには、何よりも今回の大会に対する徹底的な総括作業から始めなければならない」という意見を出している。
不備な部分や改善すべき課題を徹底的に把握すれば、これから体験するであろう試行錯誤を、かなりの部分において減らす事ができるからだ。
〜 第8回 A3の拡大とKリーグの発展 〜 〜 ( 2 / 2 )
A3に期待するKリーグ
韓国のサッカー関係者は、Kリーグがもっと成長するために、A3を積極的に活用しなければならないという共通認識を持っている。
日本のJリーグによる先進的なマーケティング能力。そして中国Cリーグによる途方もない潜在的な成長。そのどちらも持ち得ない韓国としては、積極的な交流を通じて両国の長所を学び、活用する必要があるのだ。
さらにKリーグが、観客の減少という困難に直面している現実。それがまた、A3の重要性を自覚させる原因となっている。
Kリーグは北東アジア3カ国のうち、唯一、下部リーグとの入れ替え制度を実施していない。ディビジョンシステムを運営できるほど、サッカーに関する環境が作られていないためだ。
昇格と降格の緊張感がないまま、順位決定のみで終わってしまう。それがサッカーファンからもなかなか注目されない原因となっている。イングランド、スペイン、イタリアなど、ヨーロッパの主要リーグに対する関心が日々高まるのとは対照的だ。
その意味において、A3が推進している大会拡張の動きは、Kリーグが最も期待する青写真とも言える。A3が参加チームを増やし、インターリーグ体制へと転換された場合、Kリーグの順位争いも一層激しくなり得るのだ。
上位4チームにA3への出場権が与えられると仮定した場合、優勝チームだけに集められていた関心が、4位争いまで分散する。
最近AFCが、アジア・チャンピオンズ・リーグ参加チーム数拡大、及び優勝賞金の大幅な引き上げに関する調整などの内容を盛り込んだ発展計画書を発表した。しかしこれが実現されるまでには多くの時間が必要だと思われる。
広々としたアジアを一つにまとめた場合、長い移動距離や時差、気候の変化などの要因から来る問題が多数発生するからだ。
それを考えると、レベルがほぼ似ている北東アジアの3カ国を対象にしたA3だからこそ、実現できる可能性が一段高いと言える事は間違いない。
韓国のサッカー専門家は、「A3がアジアを代表するサッカーイベントに生まれ変わるためには、何よりも今回の大会に対する徹底的な総括作業から始めなければならない」という意見を出している。
不備な部分や改善すべき課題を徹底的に把握すれば、これから体験するであろう試行錯誤を、かなりの部分において減らす事ができるからだ。
『Kリーグは今』
〜 第2回 城南一和を威嚇する「3匹の龍」 〜 ( 1 / 2 )
3月3日に開幕したKリーグは、昨年王者の城南一和（ソンナム・イルファ）と、FAカップ優勝チームの全南（チョンナム）ドラゴンズとの開幕戦を皮切りに、10カ月の長いシーズンに突入した。
毎シーズン薄氷の勝負を続けてきたKリーグだが、今季はより一層興味深い競争が予想され、ファンの気持ちをつかんでいる。
城南一和が連覇に挑戦する中で、水原三星（スウォン・サムソン）、FCソウル、蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）など、伝統のライバルが積極的な戦力補強を行ない、順位の予測が難しい状態だ。Kリーグ関係者のほとんどがこの4チームを「ビッグ4」と予想し、マスコミもこれらの動きに神経を尖らせている。
Kリーグに関心を持つファンのために、城南一和を除く3チームの戦力と特徴を紹介しよう。
水原三星「ゴージャス軍団の光と影」
昨季、城南一和とのチャンピオン決定戦に敗れ、通算4度目の優勝を逃したことで、今季は「プライドの回復」を公言している。昨季の敗因を「突出したストライカーの不在」と結論付けた車範根（チャ・ボングン）監督は攻撃力アップに熱を上げ、優秀なFWを多数獲得した。
安貞桓（アン・ジョンファン）を筆頭に、大田（テジョン）シチズンの「若き血」裴起鐘（ペ・キジョン）、ドイツ・ブンデスリーガーでプレーしていたブラジル人のエドゥー、FCソウルのベテランFW朴成培（パク・ソンベ）などが加わった。
さらに2004年に水原を優勝に導き、外国籍選手として初のMVPに輝いた「検証された傭兵」ナドソンの呼び戻しに成功。さらには、マト、李正秀（イ・ジョンス）、金南一（キム・ナミル）、白智勳（ペク・チフン）、宋鐘国（ソン・ジョング）などの主力が健在な点も好材料だ。
水原は自他共に認めるリーグ屈指の選手を揃えており、自信に溢れている。だが、不安要素もある。豪華メンバーを集めたが、どのように組み合わせるかで、結果が大きく変わることもある。また、レギュラー争いがプライドのぶつかり合いに飛び火した場合、組織に亀裂が生じる可能性も否定できない。
昨季は監督がシステム運営の幅を広げる事ができず、相手によって試合内容に偏りが大きかった。その点も、優勝への障害になるのではないかと指摘されている。
〜 第2回 城南一和を威嚇する「3匹の龍」 〜 ( 1 / 2 )
3月3日に開幕したKリーグは、昨年王者の城南一和（ソンナム・イルファ）と、FAカップ優勝チームの全南（チョンナム）ドラゴンズとの開幕戦を皮切りに、10カ月の長いシーズンに突入した。
毎シーズン薄氷の勝負を続けてきたKリーグだが、今季はより一層興味深い競争が予想され、ファンの気持ちをつかんでいる。
城南一和が連覇に挑戦する中で、水原三星（スウォン・サムソン）、FCソウル、蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）など、伝統のライバルが積極的な戦力補強を行ない、順位の予測が難しい状態だ。Kリーグ関係者のほとんどがこの4チームを「ビッグ4」と予想し、マスコミもこれらの動きに神経を尖らせている。
Kリーグに関心を持つファンのために、城南一和を除く3チームの戦力と特徴を紹介しよう。
水原三星「ゴージャス軍団の光と影」
昨季、城南一和とのチャンピオン決定戦に敗れ、通算4度目の優勝を逃したことで、今季は「プライドの回復」を公言している。昨季の敗因を「突出したストライカーの不在」と結論付けた車範根（チャ・ボングン）監督は攻撃力アップに熱を上げ、優秀なFWを多数獲得した。
安貞桓（アン・ジョンファン）を筆頭に、大田（テジョン）シチズンの「若き血」裴起鐘（ペ・キジョン）、ドイツ・ブンデスリーガーでプレーしていたブラジル人のエドゥー、FCソウルのベテランFW朴成培（パク・ソンベ）などが加わった。
さらに2004年に水原を優勝に導き、外国籍選手として初のMVPに輝いた「検証された傭兵」ナドソンの呼び戻しに成功。さらには、マト、李正秀（イ・ジョンス）、金南一（キム・ナミル）、白智勳（ペク・チフン）、宋鐘国（ソン・ジョング）などの主力が健在な点も好材料だ。
水原は自他共に認めるリーグ屈指の選手を揃えており、自信に溢れている。だが、不安要素もある。豪華メンバーを集めたが、どのように組み合わせるかで、結果が大きく変わることもある。また、レギュラー争いがプライドのぶつかり合いに飛び火した場合、組織に亀裂が生じる可能性も否定できない。
昨季は監督がシステム運営の幅を広げる事ができず、相手によって試合内容に偏りが大きかった。その点も、優勝への障害になるのではないかと指摘されている。
『Kリーグは今』
〜 第2回 城南一和を威嚇する「3匹の龍」 〜 ( 2 / 2 )
蔚山現代「すべてが変わった」
Kリーグ元年より参加しているクラブで、一昨季の王者でもある蔚山は弱点の補強をするために大幅な改革を敢行した。
まず、プレスが緩かった中盤を強化するため、韓国代表MFの呉章銀（オ・ジャンウン）を獲得。次に、決定力不足に陥ったFWを補強するために、李天秀（イ・チョンス）と役割が重なる、テクニシャンの崔成国（チェ・ソンク）を城南に放出。代わりに昨季得点王の禹成用（ウ・ソンヨン）と外国人FWホセ・ルイスなどの長身FWを迎え入れた。これは、小柄な李天秀と大柄なFWを組ませる「ビッグ&スモール」体制を稼動させるため、金正男（キム・ジョンナム）監督が採った選択だ。
さらにはフォーメーションの変化も試みた。トレードマークの3-4-1-2を4-4-2に変更。守備の安定に重きを置いたスタイルを捨て去り、サイドと中央から積極的にオーバーラップを仕掛ける攻撃的なシステムへと転換した。また、ベストメンバー中心の選手起用から、試合ごとに最高のコンディションを見せる選手を重用したことも目を引いている。
これらのような、果敢な挑戦の扉を開いた理由は、王座奪回のため。ただし、目標を達成するためには一つの前提がある。それは選手一人ひとりが、期待以上のゲームメイクを見せなければならないことだ。
〜 第2回 城南一和を威嚇する「3匹の龍」 〜 ( 2 / 2 )
蔚山現代「すべてが変わった」
Kリーグ元年より参加しているクラブで、一昨季の王者でもある蔚山は弱点の補強をするために大幅な改革を敢行した。
まず、プレスが緩かった中盤を強化するため、韓国代表MFの呉章銀（オ・ジャンウン）を獲得。次に、決定力不足に陥ったFWを補強するために、李天秀（イ・チョンス）と役割が重なる、テクニシャンの崔成国（チェ・ソンク）を城南に放出。代わりに昨季得点王の禹成用（ウ・ソンヨン）と外国人FWホセ・ルイスなどの長身FWを迎え入れた。これは、小柄な李天秀と大柄なFWを組ませる「ビッグ&スモール」体制を稼動させるため、金正男（キム・ジョンナム）監督が採った選択だ。
さらにはフォーメーションの変化も試みた。トレードマークの3-4-1-2を4-4-2に変更。守備の安定に重きを置いたスタイルを捨て去り、サイドと中央から積極的にオーバーラップを仕掛ける攻撃的なシステムへと転換した。また、ベストメンバー中心の選手起用から、試合ごとに最高のコンディションを見せる選手を重用したことも目を引いている。
これらのような、果敢な挑戦の扉を開いた理由は、王座奪回のため。ただし、目標を達成するためには一つの前提がある。それは選手一人ひとりが、期待以上のゲームメイクを見せなければならないことだ。
FCソウル「上からの変化」
先に述べた2チームが積極的に編成を変えたのとは異なり、FCソウルは指導者を変えて「上からの変化」を追求している。李章洙監督の後任にトルコ出身で世界的な名将、セノール・ギュネス監督を選任し、体質改善に乗り出した。
新任のギュネス監督は、戦力増強を次のシーズンに先送りする代わりに、組織力とフォーメーション適応能力をアップさせる事に力を入れている。また、DFラインをフラット3からフラット4に変更したのを始め、新しいフォーメーションを開発し、ポジション別に的確な選手をマッチさせる事にも着手している。
それに加え、「パスの成功率を高める」「相手に強くプレスをかける」「DF−MF−FWのコンビネーション」という3大原則の徹底を選手に通達した。
新しい枠組みを作り、優勝を目指すFCソウルの長所は多様性と組織力にある。ユースを通じて成長した多くの若手選手が主力へと成長している。選手の入れ替えがほとんどないだけに、ライバルチームに比べて組織力の面では優位に立っている。
問題は「新監督の戦術が、Kリーグでどの程度通用するのか」にある。朴主永（パク・ジュヨン）、金殷中（キム・ウンジュン）、鄭助国（チョン・ジョグク）、金秉址（キム・ビョンジ）、ヒカルドなど、リーグ最高と評されるスタープレーヤーが揃っているだけに、トップの成績を維持できない場合、少なからぬ影響を与える事にもなる。
先に述べた2チームが積極的に編成を変えたのとは異なり、FCソウルは指導者を変えて「上からの変化」を追求している。李章洙監督の後任にトルコ出身で世界的な名将、セノール・ギュネス監督を選任し、体質改善に乗り出した。
新任のギュネス監督は、戦力増強を次のシーズンに先送りする代わりに、組織力とフォーメーション適応能力をアップさせる事に力を入れている。また、DFラインをフラット3からフラット4に変更したのを始め、新しいフォーメーションを開発し、ポジション別に的確な選手をマッチさせる事にも着手している。
それに加え、「パスの成功率を高める」「相手に強くプレスをかける」「DF−MF−FWのコンビネーション」という3大原則の徹底を選手に通達した。
新しい枠組みを作り、優勝を目指すFCソウルの長所は多様性と組織力にある。ユースを通じて成長した多くの若手選手が主力へと成長している。選手の入れ替えがほとんどないだけに、ライバルチームに比べて組織力の面では優位に立っている。
問題は「新監督の戦術が、Kリーグでどの程度通用するのか」にある。朴主永（パク・ジュヨン）、金殷中（キム・ウンジュン）、鄭助国（チョン・ジョグク）、金秉址（キム・ビョンジ）、ヒカルドなど、リーグ最高と評されるスタープレーヤーが揃っているだけに、トップの成績を維持できない場合、少なからぬ影響を与える事にもなる。
『Kリーグは今』
〜 第3回 Kリーグに吹く、外国人旋風 〜 ( 1 / 2 )
外国籍選手は、Kリーグの歴史と共に歩んできた
1983年のリーグ発足時、ブラジル出身のセルジオとホセが浦項製鉄の選手として所属したのが初めての外国籍選手であり、歴史は25年に上る。その後、外国籍選手は興行面と戦力面でなくてはならない存在になり、各クラブの中核として活躍。レベルの高いテクニックでチームを牽引した。そのため、多くのファンからは「Kリーグの隠れた功労者」と認められている。
Kリーグの「外国人旋風」は今シーズンも続くだろう。14チームのうち、軍隊のチームである光州尚武（クァンジュ・サンム）を除いた全てのチームに外国籍選手が所属し、その数は37名。それぞれが戦術の中心であり、「勝負師」と言える重要なプレーヤーだ。
Kリーグにおける外国籍選手は「傭兵（mercenary）」と呼ばれる。「戦闘能力を認められて雇われた兵士」という本来の意味からもわかるように、「外国人であり、値段は高いが一段上の高いテクニックを持った選手」という意味が込められている。
各チームの監督にとって外国籍選手の選択と活用方法は、チームの成績と直接結びつく重要な課題である。戦略上の弱点とされるポジションに実力のある外国籍選手が加わった場合、その弱点が一気に「戦術の重要地点」に変わることにもなるからだ。
その一方で、信頼していた外国籍選手が不振に陥った場合、戦術に支障を来たす可能性が高い。つまり、チームにおける外国籍選手の比重がそれだけ大きいのだ。その代表的な例が攻撃的なポジションである。
アタッキングゾーンは外国籍選手が最も多く存在する空間だ。韓国サッカーの慢性的な弱点として考えられている「決定力不足」を解消するために、大多数のチームが実力のあるFWの獲得に力を注いでいる。Kリーグのスタート以来、昨年までの24年間に所属した外国籍選手の総数は362名だが、ほとんどが攻撃に関わるポジションの選手たちだ。各シーズンの得点ランキングの上位に、多くの外国籍選手が顔を並べるのも当然の結果である。
その事情は今季も変わることはない。リーグに在籍する37名の外国籍選手のうち、DFはFCソウルのアディ、浦項（ポハン）スティーラーズのマウリシオ、水原三星（スウォン・サムソン）のマト、済州（チェジュ）ユナイテッドのニコラ、慶南（ギョンナム）FCのサントスの5名に過ぎない。
残りの32名はMF、あるいはストライカーである。外国籍選手が攻撃に偏っているKリーグの特性は、「決定力の強化」という目的達成に寄与しているが、少なからず副作用も産み出している。その代表的な例が、ユース年代における「FW回避現象」だ。
若い選手の間で、将来を考えてFWではなくMFやDFを好む傾向が徐々に深刻化している。多くの専門家は、「才能あるFWを発掘し育成できなければ、決定力不足を解消する事が難しくなり、いままで以上に外国籍選手に依存する悪循環が生じる」と、なんらかの対策を講じる必要性を主張している。
〜 第3回 Kリーグに吹く、外国人旋風 〜 ( 1 / 2 )
外国籍選手は、Kリーグの歴史と共に歩んできた
1983年のリーグ発足時、ブラジル出身のセルジオとホセが浦項製鉄の選手として所属したのが初めての外国籍選手であり、歴史は25年に上る。その後、外国籍選手は興行面と戦力面でなくてはならない存在になり、各クラブの中核として活躍。レベルの高いテクニックでチームを牽引した。そのため、多くのファンからは「Kリーグの隠れた功労者」と認められている。
Kリーグの「外国人旋風」は今シーズンも続くだろう。14チームのうち、軍隊のチームである光州尚武（クァンジュ・サンム）を除いた全てのチームに外国籍選手が所属し、その数は37名。それぞれが戦術の中心であり、「勝負師」と言える重要なプレーヤーだ。
Kリーグにおける外国籍選手は「傭兵（mercenary）」と呼ばれる。「戦闘能力を認められて雇われた兵士」という本来の意味からもわかるように、「外国人であり、値段は高いが一段上の高いテクニックを持った選手」という意味が込められている。
各チームの監督にとって外国籍選手の選択と活用方法は、チームの成績と直接結びつく重要な課題である。戦略上の弱点とされるポジションに実力のある外国籍選手が加わった場合、その弱点が一気に「戦術の重要地点」に変わることにもなるからだ。
その一方で、信頼していた外国籍選手が不振に陥った場合、戦術に支障を来たす可能性が高い。つまり、チームにおける外国籍選手の比重がそれだけ大きいのだ。その代表的な例が攻撃的なポジションである。
アタッキングゾーンは外国籍選手が最も多く存在する空間だ。韓国サッカーの慢性的な弱点として考えられている「決定力不足」を解消するために、大多数のチームが実力のあるFWの獲得に力を注いでいる。Kリーグのスタート以来、昨年までの24年間に所属した外国籍選手の総数は362名だが、ほとんどが攻撃に関わるポジションの選手たちだ。各シーズンの得点ランキングの上位に、多くの外国籍選手が顔を並べるのも当然の結果である。
その事情は今季も変わることはない。リーグに在籍する37名の外国籍選手のうち、DFはFCソウルのアディ、浦項（ポハン）スティーラーズのマウリシオ、水原三星（スウォン・サムソン）のマト、済州（チェジュ）ユナイテッドのニコラ、慶南（ギョンナム）FCのサントスの5名に過ぎない。
残りの32名はMF、あるいはストライカーである。外国籍選手が攻撃に偏っているKリーグの特性は、「決定力の強化」という目的達成に寄与しているが、少なからず副作用も産み出している。その代表的な例が、ユース年代における「FW回避現象」だ。
若い選手の間で、将来を考えてFWではなくMFやDFを好む傾向が徐々に深刻化している。多くの専門家は、「才能あるFWを発掘し育成できなければ、決定力不足を解消する事が難しくなり、いままで以上に外国籍選手に依存する悪循環が生じる」と、なんらかの対策を講じる必要性を主張している。
『Kリーグは今』
〜 第3回 Kリーグに吹く、外国人旋風 〜 ( 2 / 2 )
ブラジル偏重現象が明確に
Kリーグに所属している外国籍選手のほとんどが、ブラジルの選手たちだ。優秀な選手を安価で獲得できるブラジルサッカーの特性が反映された結果である。今季の37名の外国籍選手のうち、26人がブラジル出身だ。これは全体の70%を上回る。その数が多いだけに、注目されるスターも数名いる。
東欧の選手もかなり多い
ルーマニア、クロアチア、セルビア、マケドニア、モンテネグロ、ボスニアなどの6カ国から渡ってきた8名の選手が、Kリーグの舞台に立っている。先に言及したクロアチア代表DFのマトを始め、ルーマニアの「国民的英雄」ネアガ（城南）、昨季のKリーグオールスターMVPのラドンチッチ（仁川）などは人気と実力があり、注目されているスター選手だ。
最近になって、Kリーグには「外国籍選手の使い回し」と呼ばれる新しい図式が固まりつつある。それは、韓国での経験がない選手を獲得する代わりに、リーグの他チームで実力を発揮した外国籍選手を連れてきて、活用する方法だ。
オフシーズン中に外国籍選手が大量に交代していた以前とは違い、今季、Kリーグに初参戦する外国籍選手が10名前後に終わったのも、この理由からだ。代わりに、外国籍選手のリーグ内移動は増加している。ブラジル人FWのセルミルが代表的な例だ。セルミルは2005年に浦項スティーラーズに入団して以来、仁川（インチョン）ユナイテッドに籍を移し、全南（チョンナム）ドラゴンズを経て、今季から大邱（テグ）FCに加入した。
全南ドラゴンズのFWレアンドロは、大田（テジョン）シチズンと蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）を経ている。釜山（プサン）アイパークのストライカーであるルチアーノは、大田シチズン（2003）〜釜山アイパーク（2004）〜慶南FCに続き、今季再び釜山に戻ることになったケースだ。
〜 第3回 Kリーグに吹く、外国人旋風 〜 ( 2 / 2 )
ブラジル偏重現象が明確に
Kリーグに所属している外国籍選手のほとんどが、ブラジルの選手たちだ。優秀な選手を安価で獲得できるブラジルサッカーの特性が反映された結果である。今季の37名の外国籍選手のうち、26人がブラジル出身だ。これは全体の70%を上回る。その数が多いだけに、注目されるスターも数名いる。
東欧の選手もかなり多い
ルーマニア、クロアチア、セルビア、マケドニア、モンテネグロ、ボスニアなどの6カ国から渡ってきた8名の選手が、Kリーグの舞台に立っている。先に言及したクロアチア代表DFのマトを始め、ルーマニアの「国民的英雄」ネアガ（城南）、昨季のKリーグオールスターMVPのラドンチッチ（仁川）などは人気と実力があり、注目されているスター選手だ。
最近になって、Kリーグには「外国籍選手の使い回し」と呼ばれる新しい図式が固まりつつある。それは、韓国での経験がない選手を獲得する代わりに、リーグの他チームで実力を発揮した外国籍選手を連れてきて、活用する方法だ。
オフシーズン中に外国籍選手が大量に交代していた以前とは違い、今季、Kリーグに初参戦する外国籍選手が10名前後に終わったのも、この理由からだ。代わりに、外国籍選手のリーグ内移動は増加している。ブラジル人FWのセルミルが代表的な例だ。セルミルは2005年に浦項スティーラーズに入団して以来、仁川（インチョン）ユナイテッドに籍を移し、全南（チョンナム）ドラゴンズを経て、今季から大邱（テグ）FCに加入した。
全南ドラゴンズのFWレアンドロは、大田（テジョン）シチズンと蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）を経ている。釜山（プサン）アイパークのストライカーであるルチアーノは、大田シチズン（2003）〜釜山アイパーク（2004）〜慶南FCに続き、今季再び釜山に戻ることになったケースだ。
『Kリーグは今』
〜 第4回 監督同士が繰り広げるピッチ外での頭脳戦 〜 ( 1 / 2 )
イングランドの名門、マンチェスター・Uのアレックス・ファーガソン監督は、「指導者の役割とは？」という質問に、「試合の99％は選手が決めるものであり、監督の役割は1％に過ぎない。しかし、監督がいなければ永遠に100％を成し遂げることはできない」と答えたことがある。
これは極めて謙虚な発言に思える。しかしよく考えれば、言葉の裏にある「監督こそチームを完成させる存在」というプライドが読み取れる。
これは「画龍点睛」という中国の故事とも通じる。監督と船長は似ている。船長が決めた方向や速度によって、行き先や航海日程に大きな影響が生じる。
Kリーグもいざシーズンが始まれば、14チームの監督の行動がファンの関心を集めることになる。それは監督の手腕によって、弱小チームを優勝に導くことも、強豪を奈落に落とすこともできるからだ。
〜 第4回 監督同士が繰り広げるピッチ外での頭脳戦 〜 ( 1 / 2 )
イングランドの名門、マンチェスター・Uのアレックス・ファーガソン監督は、「指導者の役割とは？」という質問に、「試合の99％は選手が決めるものであり、監督の役割は1％に過ぎない。しかし、監督がいなければ永遠に100％を成し遂げることはできない」と答えたことがある。
これは極めて謙虚な発言に思える。しかしよく考えれば、言葉の裏にある「監督こそチームを完成させる存在」というプライドが読み取れる。
これは「画龍点睛」という中国の故事とも通じる。監督と船長は似ている。船長が決めた方向や速度によって、行き先や航海日程に大きな影響が生じる。
Kリーグもいざシーズンが始まれば、14チームの監督の行動がファンの関心を集めることになる。それは監督の手腕によって、弱小チームを優勝に導くことも、強豪を奈落に落とすこともできるからだ。
14人14色
監督を分類する時に、戦場に立ち向かう将帥を例にして、傭将・知将・徳将の3つに分けて話をすることがある。傭将はカリスマ性を基本に、情熱的に指導するタイプ。知将は戦術について広い知識を持つタイプ。徳将は温和な性格と理解力で、選手から尊敬されるタイプを意味する。
Kリーグの専門家やファンは、ほとんどの監督を「傭将」に分類している。セノール・ギュネス（FCソウル）、アンディ・エグリ（釜山アイパーク）、セルジオ・ファリアス（浦項スティーラーズ）など、外国人指導者3名を含み、車範根（チャ・ボングン／水原三星）、崔康煕（チェ・ガンフィ／全北現代）、朴桓諸（パク・ハンソ／慶南FC）、辺炳柱（ビョン・ビョンジュ／大邱FC）、許丁茂（ホ・ジョンム／全南ドラゴンズ）の8名が該当する。
彼らは皆、「ボス型司令塔」と思われるかもしれない。しかし、厳しく選手を統制する「車範根スタイル」に始まり、自由は保障するが成績が悪ければ厳しく叱責する「崔康煕スタイル」に至るまで、様々なジャンルに分けることができる。
「知将」と言えば、まず城南一和（ソンナム・イルファ）の金鶴範（キム・ハクボム）監督が思い浮かぶ。昨シーズン、城南を7度目のリーグ優勝へと導いた金監督は、最新の技術を駆使して戦術を研究する「学術派指導者」として知られている。
昨年には、明知大学の大学院において「デルファイ方法を活用したサッカー練習方法内容分析」という題名の論文で博士課程を取得し、サッカー界の注目を浴びた。
大田（テジョン）シチズンを率いて5年目になる崔允謙（チェ・ユンギョム）監督と、2004年より済州（チェジュ）ユナイテッドを率いている鄭海城（チョン・ヘソン）監督もまた、サッカーに対する知識と探求精神を持ち、戦術の啓発に積極的な指導者として評価されている。
一方「徳将」には、パク・イチョン（1947年生）、イ・カンジョ（1954年生）、金正男（キム・ジョンナム／1943年生）などのベテラン指導者の名前が挙げられる。
今年、数えで64歳となり、リーグ最年長監督となる蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）の金正男監督は、1986年のメキシコW杯で韓国代表を率いたスター監督だ。選手に一貫した信頼を与え、「父のような指導者」として尊敬されている。
光州尚武（クァンジュ・サンム）のイ・カンジョ監督は、1990年より16年間、尚武を率いる長期政権だ。そしてパク・イチョン（仁川ユナイテッド）は、20数年間ユースの指導者として活動し、将来有望株を発掘する力に長けた人物として評価されている。
監督を分類する時に、戦場に立ち向かう将帥を例にして、傭将・知将・徳将の3つに分けて話をすることがある。傭将はカリスマ性を基本に、情熱的に指導するタイプ。知将は戦術について広い知識を持つタイプ。徳将は温和な性格と理解力で、選手から尊敬されるタイプを意味する。
Kリーグの専門家やファンは、ほとんどの監督を「傭将」に分類している。セノール・ギュネス（FCソウル）、アンディ・エグリ（釜山アイパーク）、セルジオ・ファリアス（浦項スティーラーズ）など、外国人指導者3名を含み、車範根（チャ・ボングン／水原三星）、崔康煕（チェ・ガンフィ／全北現代）、朴桓諸（パク・ハンソ／慶南FC）、辺炳柱（ビョン・ビョンジュ／大邱FC）、許丁茂（ホ・ジョンム／全南ドラゴンズ）の8名が該当する。
彼らは皆、「ボス型司令塔」と思われるかもしれない。しかし、厳しく選手を統制する「車範根スタイル」に始まり、自由は保障するが成績が悪ければ厳しく叱責する「崔康煕スタイル」に至るまで、様々なジャンルに分けることができる。
「知将」と言えば、まず城南一和（ソンナム・イルファ）の金鶴範（キム・ハクボム）監督が思い浮かぶ。昨シーズン、城南を7度目のリーグ優勝へと導いた金監督は、最新の技術を駆使して戦術を研究する「学術派指導者」として知られている。
昨年には、明知大学の大学院において「デルファイ方法を活用したサッカー練習方法内容分析」という題名の論文で博士課程を取得し、サッカー界の注目を浴びた。
大田（テジョン）シチズンを率いて5年目になる崔允謙（チェ・ユンギョム）監督と、2004年より済州（チェジュ）ユナイテッドを率いている鄭海城（チョン・ヘソン）監督もまた、サッカーに対する知識と探求精神を持ち、戦術の啓発に積極的な指導者として評価されている。
一方「徳将」には、パク・イチョン（1947年生）、イ・カンジョ（1954年生）、金正男（キム・ジョンナム／1943年生）などのベテラン指導者の名前が挙げられる。
今年、数えで64歳となり、リーグ最年長監督となる蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）の金正男監督は、1986年のメキシコW杯で韓国代表を率いたスター監督だ。選手に一貫した信頼を与え、「父のような指導者」として尊敬されている。
光州尚武（クァンジュ・サンム）のイ・カンジョ監督は、1990年より16年間、尚武を率いる長期政権だ。そしてパク・イチョン（仁川ユナイテッド）は、20数年間ユースの指導者として活動し、将来有望株を発掘する力に長けた人物として評価されている。
『Kリーグは今』
〜 第4回 監督同士が繰り広げるピッチ外での頭脳戦 〜 ( 2 / 2 )
FCソウルと水原三星、因縁の対決に55,397人が集まる
今シーズン、監督同士の争いは、別な一面で興行的な関心を集めている。FCソウルのセノール・ギュネス監督と、水原の車範根監督との争いが代表的だ。ソウルと水原は、水原が創立した1996年以降、10年を越えるライバル関係を続けてきた。
三星（サムスン・水原）とGS（前LG・ソウル）という、大企業を母体に発足した共通点以外にも、歴代監督同士の神経戦や、選手の移籍にともなう摩擦など、様々な要因が絡み合い、両チームの対決は常に緊張した状態で行なわれてきた。
とりわけ今シーズン、トルコ出身の名将であるギュネスがソウルの監督に就任以降、対決の構図は一層厳しくなっている。
今シーズンの両チームは、2度の対決で1勝1敗と、互角の戦いだ。特に2戦目の4月8日には、55,397人の観客がソウルW杯競技場を埋め尽くし、リーグ最多観客数の新記録を樹立。半月前、同じ場所で開催された韓国対ウルグアイ戦の観客数（42,159人）を上回った。代表チームに関心が集中する韓国としては、異例の結果である。
これはKリーグが話題を提供し、興味を募っていけば、ファンに代表チーム以上の関心を持ってもらえることの証とも言える。
他には、水原の車範根と、全南の許丁茂による「スター監督対決」も関心を集めるカードだ。車範根はドイツのブンデスリーガで、許丁茂はオランダのエールディヴィジで活躍した海外進出選手の元祖的存在だ。1970〜80年代の韓国代表の中心選手として、猛威をふるった仲でもある。
車範根は90年、許丁茂は93年に指導者としてデビューした。一昨年のKリーグ優勝（車監督）、06年FAカップ優勝（許監督）など、指導者として頂上に登りつめている。
〜 第4回 監督同士が繰り広げるピッチ外での頭脳戦 〜 ( 2 / 2 )
FCソウルと水原三星、因縁の対決に55,397人が集まる
今シーズン、監督同士の争いは、別な一面で興行的な関心を集めている。FCソウルのセノール・ギュネス監督と、水原の車範根監督との争いが代表的だ。ソウルと水原は、水原が創立した1996年以降、10年を越えるライバル関係を続けてきた。
三星（サムスン・水原）とGS（前LG・ソウル）という、大企業を母体に発足した共通点以外にも、歴代監督同士の神経戦や、選手の移籍にともなう摩擦など、様々な要因が絡み合い、両チームの対決は常に緊張した状態で行なわれてきた。
とりわけ今シーズン、トルコ出身の名将であるギュネスがソウルの監督に就任以降、対決の構図は一層厳しくなっている。
今シーズンの両チームは、2度の対決で1勝1敗と、互角の戦いだ。特に2戦目の4月8日には、55,397人の観客がソウルW杯競技場を埋め尽くし、リーグ最多観客数の新記録を樹立。半月前、同じ場所で開催された韓国対ウルグアイ戦の観客数（42,159人）を上回った。代表チームに関心が集中する韓国としては、異例の結果である。
これはKリーグが話題を提供し、興味を募っていけば、ファンに代表チーム以上の関心を持ってもらえることの証とも言える。
他には、水原の車範根と、全南の許丁茂による「スター監督対決」も関心を集めるカードだ。車範根はドイツのブンデスリーガで、許丁茂はオランダのエールディヴィジで活躍した海外進出選手の元祖的存在だ。1970〜80年代の韓国代表の中心選手として、猛威をふるった仲でもある。
車範根は90年、許丁茂は93年に指導者としてデビューした。一昨年のKリーグ優勝（車監督）、06年FAカップ優勝（許監督）など、指導者として頂上に登りつめている。
外国人同士や韓国代表コーチ経験者の争いも
さらに、ギュネス、ファリアス、エグリなど、外国人監督の争いを見るのも面白い。
チーム間に戦力差が存在するだけに、直接、指導力を比較する事は難しい。しかし3監督共に熱い攻撃を軸とするサッカーを公言し、ファンのKリーグに対する関心を高めることに寄与している。
トルコ出身のギュネス監督は、2002年W杯でトルコを3位に導いた名将だ。ブラジル出身のファリアス監督は、21歳で指導者の道を歩み始めた異色の経歴を持つと同時に、ブラジルユース監督時代にロナウジーニョを指導した人物でもある。
1994年のアメリカW杯に、スイス代表として出場した経験を持つエグリ監督は、釜山（プサン）の監督に就任以降、地下鉄で通いながら、クラブの広報活動を展開するなど、フットワークの軽い動向で関心を集めている。
他にも、2002年W杯に韓国代表のコーチとして、ヒディンク監督を補佐した朴桓諸（慶南）と鄭海城（済州）の争いや、今シーズン共にアジア・チャンピオンズ・リーグに出場中の金鶴範（城南）、崔康煕（全北／決勝Tより参加）、許丁茂（全南）監督の三つ巴対決も興味の的だ。
さらに、ギュネス、ファリアス、エグリなど、外国人監督の争いを見るのも面白い。
チーム間に戦力差が存在するだけに、直接、指導力を比較する事は難しい。しかし3監督共に熱い攻撃を軸とするサッカーを公言し、ファンのKリーグに対する関心を高めることに寄与している。
トルコ出身のギュネス監督は、2002年W杯でトルコを3位に導いた名将だ。ブラジル出身のファリアス監督は、21歳で指導者の道を歩み始めた異色の経歴を持つと同時に、ブラジルユース監督時代にロナウジーニョを指導した人物でもある。
1994年のアメリカW杯に、スイス代表として出場した経験を持つエグリ監督は、釜山（プサン）の監督に就任以降、地下鉄で通いながら、クラブの広報活動を展開するなど、フットワークの軽い動向で関心を集めている。
他にも、2002年W杯に韓国代表のコーチとして、ヒディンク監督を補佐した朴桓諸（慶南）と鄭海城（済州）の争いや、今シーズン共にアジア・チャンピオンズ・リーグに出場中の金鶴範（城南）、崔康煕（全北／決勝Tより参加）、許丁茂（全南）監督の三つ巴対決も興味の的だ。
『Kリーグは今』
〜 第5回 Kリーグ人気を動かす力「水原対ソウル」のライバル対決 〜 ( 1 / 2 )
5月2日、水原W杯競技場では、水原三星（スウォン・サムソン）対FCソウルのカップ戦が行なわれていた。3対1で水原三星の完勝に終わったこの日、28,713名という多くのファンが両チームの対決を見るために競技場を訪れた。
4つの放送局を含む数十社のマスコミの取材も過熱し、サッカー関連サイトの掲示板も、試合終了直後から結果に関する意見で盛りあがった。翌日の各新聞のスポーツ面には、両チームの試合結果やその分析、今後の展望などに関する記事で溢れていた。
首都・ソウルをホームにするFCソウルと、「サッカータウン」水原をホームにする水原三星の直接対決は、その度に様々な関心事を引き出し、Kリーグを代表するライバル対決と位置づけられている。プライドを掛けた両チームの対決が、Kリーグの関心を高めるために大いに役立っている事は明白だ。
〜 第5回 Kリーグ人気を動かす力「水原対ソウル」のライバル対決 〜 ( 1 / 2 )
5月2日、水原W杯競技場では、水原三星（スウォン・サムソン）対FCソウルのカップ戦が行なわれていた。3対1で水原三星の完勝に終わったこの日、28,713名という多くのファンが両チームの対決を見るために競技場を訪れた。
4つの放送局を含む数十社のマスコミの取材も過熱し、サッカー関連サイトの掲示板も、試合終了直後から結果に関する意見で盛りあがった。翌日の各新聞のスポーツ面には、両チームの試合結果やその分析、今後の展望などに関する記事で溢れていた。
首都・ソウルをホームにするFCソウルと、「サッカータウン」水原をホームにする水原三星の直接対決は、その度に様々な関心事を引き出し、Kリーグを代表するライバル対決と位置づけられている。プライドを掛けた両チームの対決が、Kリーグの関心を高めるために大いに役立っている事は明白だ。
熾烈なプライドのぶつかり合い
今シーズン、ソウルと水原は3度激突した。初対決は3月21日のカップ戦。この時はソウルがホームで水原を4対1で大破し気勢を挙げたが、2、3回戦は水原がそれぞれ1対0、3対1で勝利を収め、雪辱を晴らした。
Kリーグ最高の人気カードに相応しく、両チームの直接対決は毎試合様々な話題を提供し、サッカーファンの関心を一気に集めた。その中で一層際立って見える要素は、ソウルと水原の指揮官同士によるプライドの対決だ。
FCソウルのセノール・ギュネス監督と水原三星の車範根（チャ・ボングン）監督はシーズン序盤、「攻撃的なサッカー」を話題に舌戦を繰り広げ、その後も目に見えない気力の戦いを続けている。
ギュネス監督が「Kリーグは過度にディフェンシブなプレーに終始しており、ファンからそっぽを向かれている」と批判した事に対し、車範根監督が「Kリーグを正しく把握できていない事から出た発言」と反論したのが直接のきっかけとなった。
その後初の直接対決でソウルが大勝（4対1）を収め、ギュネス監督とFCソウルの立場は一躍、「Kリーグで最も熱い話題」へと急浮上した。2度目の対決が繰り広げられたソウルW杯競技場の試合で、リーグ史上最多の55,397名のファンが殺到した事も、FCソウルに対する関心が急激に高まった結果だ。
今シーズン、この試合を除いたFCソウルのホーム平均観客が20,614名である事を考えると、普段の2倍を超える興行成績を収めた事になる。
このように観客が急増する現象は、水原で行なわれた3回戦でも同様だった。この日競技場に訪れたファンの数（28,713名）は、今シーズンの水原三星のホームゲーム平均観客数（18,954名）を1万名近く上回った。ライバル関係の確立が、観客数拡大に良い方向へ寄与したと言う証拠だ。
そればかりではない。各選手もそのライバル関係の形成に一役買った。両チームの選手は機会がある度に「ライバルだけには必ず勝ちたい」と口にし、強い勝負欲を表すことで、ファン同士の闘争心を刺激してきた。
実際に両チームは直接対決の度に、肉弾戦を彷彿させるほどの激しい小競り合いを繰り広げ、審判を困惑させている。ソウル対水原戦のレフェリーは、ベテランや優秀な人物を中心に構成されている。これは強い抗議や小競り合いなど、試合中に発生するであろう不祥事に備えるための措置だ。もちろん緊張感溢れる競技場の雰囲気は、そのままファンの興味を高める要素となっている。
今シーズン、ソウルと水原は3度激突した。初対決は3月21日のカップ戦。この時はソウルがホームで水原を4対1で大破し気勢を挙げたが、2、3回戦は水原がそれぞれ1対0、3対1で勝利を収め、雪辱を晴らした。
Kリーグ最高の人気カードに相応しく、両チームの直接対決は毎試合様々な話題を提供し、サッカーファンの関心を一気に集めた。その中で一層際立って見える要素は、ソウルと水原の指揮官同士によるプライドの対決だ。
FCソウルのセノール・ギュネス監督と水原三星の車範根（チャ・ボングン）監督はシーズン序盤、「攻撃的なサッカー」を話題に舌戦を繰り広げ、その後も目に見えない気力の戦いを続けている。
ギュネス監督が「Kリーグは過度にディフェンシブなプレーに終始しており、ファンからそっぽを向かれている」と批判した事に対し、車範根監督が「Kリーグを正しく把握できていない事から出た発言」と反論したのが直接のきっかけとなった。
その後初の直接対決でソウルが大勝（4対1）を収め、ギュネス監督とFCソウルの立場は一躍、「Kリーグで最も熱い話題」へと急浮上した。2度目の対決が繰り広げられたソウルW杯競技場の試合で、リーグ史上最多の55,397名のファンが殺到した事も、FCソウルに対する関心が急激に高まった結果だ。
今シーズン、この試合を除いたFCソウルのホーム平均観客が20,614名である事を考えると、普段の2倍を超える興行成績を収めた事になる。
このように観客が急増する現象は、水原で行なわれた3回戦でも同様だった。この日競技場に訪れたファンの数（28,713名）は、今シーズンの水原三星のホームゲーム平均観客数（18,954名）を1万名近く上回った。ライバル関係の確立が、観客数拡大に良い方向へ寄与したと言う証拠だ。
そればかりではない。各選手もそのライバル関係の形成に一役買った。両チームの選手は機会がある度に「ライバルだけには必ず勝ちたい」と口にし、強い勝負欲を表すことで、ファン同士の闘争心を刺激してきた。
実際に両チームは直接対決の度に、肉弾戦を彷彿させるほどの激しい小競り合いを繰り広げ、審判を困惑させている。ソウル対水原戦のレフェリーは、ベテランや優秀な人物を中心に構成されている。これは強い抗議や小競り合いなど、試合中に発生するであろう不祥事に備えるための措置だ。もちろん緊張感溢れる競技場の雰囲気は、そのままファンの興味を高める要素となっている。
『Kリーグは今』
〜 第5回 Kリーグ人気を動かす力「水原対ソウル」のライバル対決 〜 ( 2 / 2 )
リーグ発展の模範となる事例
ソウル対水原。この対決の構図のスタートは、10年ほど前の1998年に遡る。
当時両チームを率いた水原三星の金浩（キム・ホ）監督と、安養（アニャン）LG（FCソウルの前身）の趙廣来（チョ・グァンレ）監督間のライバル意識が、プライド対決をスタートさせる役割を果たした。水原三星のコーチだった趙廣来監督が安養の指揮官となり、本格的なライバル関係が始まった。
両チームはそれぞれ三星とLGという、韓国屈指の大企業を基盤として潤沢な資金を誇る上に、両監督の仲があまり良くないことで有名だった事も、ファンの関心を高めた。
その後、スカウティングに関する争いが発生して両チームの感情の溝が一層深くなり、激しい接戦が始まったのだ。
昨シーズン、審判教育のために韓国を訪問したビルフリート・ハイトマンFIFA専任講師は、ソウル対水原戦の主審を務めた後、「ヨーロッパのクラブ対抗戦でも見ることが稀な難易度の高いゲーム」と言い、迫力溢れる両チームのゲーム進行に舌を巻いた。
「相手に勝たなければならない」という目標に依存していた両チームのライバル意識は、2000年代初期に安養LGがホームをソウルに移し、FCソウルとして再出発してから変化を遂げた。
ライバルとなるきっかけを作った両監督だったが、現在は両チーム共に違う人物が監督となった。また、FCソウルの親会社がLGからGSへと変わったことにより、親会社同士の対決の関係も幕を下ろした。
そのため両チームは、リーグの成績、ファンの支持と声援、合理的な経営システム、基盤となる地域との結束など、多彩な競争要因を新たに取り入れて対決の関係を継続している。
また、選手の構成上の特徴も明らかに違う。ベテランを中心にスタープレーヤーを迎え入れ、味のあるプレーと安定感を育ててきた水原三星に比べ、FCソウルはユースを通じて育成した若い有望株の選手を重用し、覇気と自信でチームを固めてきた。
それぞれの個性を前面に出し、「Kリーグを代表するライバル」としてスポットライトを浴びている両チームに対して、専門家は「他チームが積極的に研究しなければならない模範となる事例」と、肯定的な評価を下している。
それは水原とソウルだけでなく、各チームが多様なライバル関係を形成し、リーグと共に成長していかなければならないという思いからくる言葉だ。
参考までに、韓国メディアが「戦争（war）」と表現するソウルと水原の次回の対決は、韓国時間の8月19日午後7時に水原W杯競技場で開催される。
〜 第5回 Kリーグ人気を動かす力「水原対ソウル」のライバル対決 〜 ( 2 / 2 )
リーグ発展の模範となる事例
ソウル対水原。この対決の構図のスタートは、10年ほど前の1998年に遡る。
当時両チームを率いた水原三星の金浩（キム・ホ）監督と、安養（アニャン）LG（FCソウルの前身）の趙廣来（チョ・グァンレ）監督間のライバル意識が、プライド対決をスタートさせる役割を果たした。水原三星のコーチだった趙廣来監督が安養の指揮官となり、本格的なライバル関係が始まった。
両チームはそれぞれ三星とLGという、韓国屈指の大企業を基盤として潤沢な資金を誇る上に、両監督の仲があまり良くないことで有名だった事も、ファンの関心を高めた。
その後、スカウティングに関する争いが発生して両チームの感情の溝が一層深くなり、激しい接戦が始まったのだ。
昨シーズン、審判教育のために韓国を訪問したビルフリート・ハイトマンFIFA専任講師は、ソウル対水原戦の主審を務めた後、「ヨーロッパのクラブ対抗戦でも見ることが稀な難易度の高いゲーム」と言い、迫力溢れる両チームのゲーム進行に舌を巻いた。
「相手に勝たなければならない」という目標に依存していた両チームのライバル意識は、2000年代初期に安養LGがホームをソウルに移し、FCソウルとして再出発してから変化を遂げた。
ライバルとなるきっかけを作った両監督だったが、現在は両チーム共に違う人物が監督となった。また、FCソウルの親会社がLGからGSへと変わったことにより、親会社同士の対決の関係も幕を下ろした。
そのため両チームは、リーグの成績、ファンの支持と声援、合理的な経営システム、基盤となる地域との結束など、多彩な競争要因を新たに取り入れて対決の関係を継続している。
また、選手の構成上の特徴も明らかに違う。ベテランを中心にスタープレーヤーを迎え入れ、味のあるプレーと安定感を育ててきた水原三星に比べ、FCソウルはユースを通じて育成した若い有望株の選手を重用し、覇気と自信でチームを固めてきた。
それぞれの個性を前面に出し、「Kリーグを代表するライバル」としてスポットライトを浴びている両チームに対して、専門家は「他チームが積極的に研究しなければならない模範となる事例」と、肯定的な評価を下している。
それは水原とソウルだけでなく、各チームが多様なライバル関係を形成し、リーグと共に成長していかなければならないという思いからくる言葉だ。
参考までに、韓国メディアが「戦争（war）」と表現するソウルと水原の次回の対決は、韓国時間の8月19日午後7時に水原W杯競技場で開催される。
『Kリーグは今』
〜 第6回 韓国人5人目のプレミアリーガー誕生なるか 〜 ( 1 / 2 )
現在、イングランドのプレミアリーグでは、朴智星（パク・チソン／マンチェスター・U）、李栄杓（イ・ヨンピョ／トッテナム）、李東國（イ・ドング／ミドルスブラ）薛��鉉（ソル・ギヒョン／レディング）といった、4人の韓国人選手が活躍している。
朴智星と李栄杓は2シーズン連続で素晴らしいパフォーマンスを披露した。1年目の薛��鉉と李東國はリーグに適応し、レギュラーを獲得するための準備段階に突入している。
自他共に認める「世界有数のリーグ」であるプレミアリーグは、韓国代表の4人が活躍することにより、韓国でも大いに関心を集めている。
プレミアリーグの試合がある日は、多くのサッカーファンがテレビを通じて4選手の試合を観戦する。また翌日のサッカーサイトの掲示板では、試合の結果と韓国人選手の活躍に関する話でいっぱいになる。
最近になってまた一人、プレミアリーグに加入するのではと噂されている選手がいる。Kリーグのトップスター、蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）のFW李天秀（イ・チョンス）だ。
チョンス兄さんの話題キタ！
〜 第6回 韓国人5人目のプレミアリーガー誕生なるか 〜 ( 1 / 2 )
現在、イングランドのプレミアリーグでは、朴智星（パク・チソン／マンチェスター・U）、李栄杓（イ・ヨンピョ／トッテナム）、李東國（イ・ドング／ミドルスブラ）薛��鉉（ソル・ギヒョン／レディング）といった、4人の韓国人選手が活躍している。
朴智星と李栄杓は2シーズン連続で素晴らしいパフォーマンスを披露した。1年目の薛��鉉と李東國はリーグに適応し、レギュラーを獲得するための準備段階に突入している。
自他共に認める「世界有数のリーグ」であるプレミアリーグは、韓国代表の4人が活躍することにより、韓国でも大いに関心を集めている。
プレミアリーグの試合がある日は、多くのサッカーファンがテレビを通じて4選手の試合を観戦する。また翌日のサッカーサイトの掲示板では、試合の結果と韓国人選手の活躍に関する話でいっぱいになる。
最近になってまた一人、プレミアリーグに加入するのではと噂されている選手がいる。Kリーグのトップスター、蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）のFW李天秀（イ・チョンス）だ。
チョンス兄さんの話題キタ！
フルハムのラブコールを受ける
プレミアリーグのフルハムが李天秀に関心を持ったのは、韓国代表がイングランドで国際Aマッチを行なった2月初旬のことである。韓国代表は、フルハムのホームであるクレイヴン・コテージで、EURO2004優勝のギリシャとフレンドリーマッチを行った。この試合で李天秀は幻想的なフリーキックを決め、韓国を勝利に導いたのである。
移籍に関する話題が出たのは、「フルハムから李天秀の獲得を希望する公文書が届いた」と蔚山現代が発表した4月中旬。これは2002年以降、プレミアリーグのクラブ（サザンプトン、ポーツマス、ウィガン）が李天秀に送った4通目のラブコールとなる。
フルハムは「7月1日から1年間、李天秀をレンタルした後、移籍の有無を決定する」という内容と共に、年俸75万ポンド、レンタル料10万ポンドを提示し、「完全移籍が成立した場合、200万ポンドの移籍金を追加支給する」とオファーした。
しかし蔚山は「受け入れにくい条件」と難色を示し、議論が始まった。何とかしてイングランド進出を果たしたい選手側と、金額の少なさとKリーグのトップスターを手放したくないクラブ側の立場の違いがあったためだ。
「フルハムから受け取る年俸の中から一定額を支給し、足りない金額は補填する」という李天秀側の提案に対し、蔚山は「両クラブ間で解決すべき問題」として受け入れられない意思を明らかにした。
これによって移籍に関する論争は強まり、サッカー界では「リーグを代表する選手が大きな舞台で活躍できるようにクラブが譲歩すべき」という主張もあれば、「選手の実力に見合った金額を要求するのは極めて自然な決定」という反応まで、様々な意見が飛び交っている。
これについて多くの専門家は、移籍交渉に関連して合理的な結果を出せるように、選手とクラブが互いに少しずつ譲歩する事を求めている。蔚山にはイングランド行きを強く望む選手の気持ちを汲み取り、積極的に交渉する事を、また李天秀には海外進出の前例として望ましい形を残すために冷静さを失わない事を、それぞれ求める声が高まっている。
もちろん来季の欧州リーグ開幕まで時間的に余裕があるので、蔚山とフルハムと李天秀の三者が、すべて満足できる結果を得る可能性は充分にある。
プレミアリーグのフルハムが李天秀に関心を持ったのは、韓国代表がイングランドで国際Aマッチを行なった2月初旬のことである。韓国代表は、フルハムのホームであるクレイヴン・コテージで、EURO2004優勝のギリシャとフレンドリーマッチを行った。この試合で李天秀は幻想的なフリーキックを決め、韓国を勝利に導いたのである。
移籍に関する話題が出たのは、「フルハムから李天秀の獲得を希望する公文書が届いた」と蔚山現代が発表した4月中旬。これは2002年以降、プレミアリーグのクラブ（サザンプトン、ポーツマス、ウィガン）が李天秀に送った4通目のラブコールとなる。
フルハムは「7月1日から1年間、李天秀をレンタルした後、移籍の有無を決定する」という内容と共に、年俸75万ポンド、レンタル料10万ポンドを提示し、「完全移籍が成立した場合、200万ポンドの移籍金を追加支給する」とオファーした。
しかし蔚山は「受け入れにくい条件」と難色を示し、議論が始まった。何とかしてイングランド進出を果たしたい選手側と、金額の少なさとKリーグのトップスターを手放したくないクラブ側の立場の違いがあったためだ。
「フルハムから受け取る年俸の中から一定額を支給し、足りない金額は補填する」という李天秀側の提案に対し、蔚山は「両クラブ間で解決すべき問題」として受け入れられない意思を明らかにした。
これによって移籍に関する論争は強まり、サッカー界では「リーグを代表する選手が大きな舞台で活躍できるようにクラブが譲歩すべき」という主張もあれば、「選手の実力に見合った金額を要求するのは極めて自然な決定」という反応まで、様々な意見が飛び交っている。
これについて多くの専門家は、移籍交渉に関連して合理的な結果を出せるように、選手とクラブが互いに少しずつ譲歩する事を求めている。蔚山にはイングランド行きを強く望む選手の気持ちを汲み取り、積極的に交渉する事を、また李天秀には海外進出の前例として望ましい形を残すために冷静さを失わない事を、それぞれ求める声が高まっている。
もちろん来季の欧州リーグ開幕まで時間的に余裕があるので、蔚山とフルハムと李天秀の三者が、すべて満足できる結果を得る可能性は充分にある。
『Kリーグは今』
〜 第6回 韓国人5人目のプレミアリーガー誕生なるか 〜 ( 2 / 2 )
名誉のためのチャレンジ
李天秀のプレミアリーグ行きが濃厚である決定的な手掛かりは、フルハムが韓国の国際的な企業LG電子と、新たにスポンサー契約を締結したという事実にある。
5月中旬、フルハムは公式HPを通じて「2010年までLGのロゴをユニフォームに入れる」と発表した。また、「スポンサー契約はクラブ史上最高の金額」であることも明らかにした。
注目すべき事がある。契約の中に「フルハムはLGとの契約期間中、最低でも1名以上の韓国人選手を保有しなければならない」という項目が含まれている点だ。つまり、フルハムは契約上、来季から韓国人選手を保有しなければならないのである。それだけに、5人目のプレミアリーガー誕生の可能性はかなり高いといえる。
フルハムとしても、計算のできる選手を連れてくれば戦力面で有利になる。これについて韓国の一部マスコミは「以前LGが親会社だったFCソウルの選手が、フルハムの選択を受ける可能性がある」とし、FWの朴主永（パク･チュヨン）と鄭助國（チョン・ジョグク）が有力候補であるとした。
しかし両選手とも、海外進出に対して積極的な意思を表明していない。そればかりではなく、軍入隊の問題も解決されていないのだ。これらの理由から、実現の可能性はさほど高くないというのが大方の予想だ。
一方で李天秀は、機会がある度にプレミアリーグ移籍の夢を公言していた。また、彼は02年W杯ベスト4進出の功績が認められ、軍入隊を免除されているので有利な立場にある。
韓国代表として国際Aマッチ68試合に出場するなど、25歳ながら経験は豊富だ。また、2005年にはKリーグ優勝の立役者としてMVPに選ばれるなど、「韓国の看板選手」として活躍してきた点も際立っている。
フルハムとしては、李天秀のように中盤と前線でプレーできる選手を探している。これもまた、移籍が現実味を帯びている部分である。
李天秀は2003年にレアル・ソシエダへ加入し、スペインリーグに挑戦したが、極度の不振に苦しめられわずか2年で戻ってきた苦い記憶が残っている。
フルハム行きに成功した場合、生涯2度目の欧州へのチャレンジとなる。果たして、プレミアリーグに進出し、自らとKリーグの名誉を高める事ができるだろうか。行く末が気になるところである。
〜 第6回 韓国人5人目のプレミアリーガー誕生なるか 〜 ( 2 / 2 )
名誉のためのチャレンジ
李天秀のプレミアリーグ行きが濃厚である決定的な手掛かりは、フルハムが韓国の国際的な企業LG電子と、新たにスポンサー契約を締結したという事実にある。
5月中旬、フルハムは公式HPを通じて「2010年までLGのロゴをユニフォームに入れる」と発表した。また、「スポンサー契約はクラブ史上最高の金額」であることも明らかにした。
注目すべき事がある。契約の中に「フルハムはLGとの契約期間中、最低でも1名以上の韓国人選手を保有しなければならない」という項目が含まれている点だ。つまり、フルハムは契約上、来季から韓国人選手を保有しなければならないのである。それだけに、5人目のプレミアリーガー誕生の可能性はかなり高いといえる。
フルハムとしても、計算のできる選手を連れてくれば戦力面で有利になる。これについて韓国の一部マスコミは「以前LGが親会社だったFCソウルの選手が、フルハムの選択を受ける可能性がある」とし、FWの朴主永（パク･チュヨン）と鄭助國（チョン・ジョグク）が有力候補であるとした。
しかし両選手とも、海外進出に対して積極的な意思を表明していない。そればかりではなく、軍入隊の問題も解決されていないのだ。これらの理由から、実現の可能性はさほど高くないというのが大方の予想だ。
一方で李天秀は、機会がある度にプレミアリーグ移籍の夢を公言していた。また、彼は02年W杯ベスト4進出の功績が認められ、軍入隊を免除されているので有利な立場にある。
韓国代表として国際Aマッチ68試合に出場するなど、25歳ながら経験は豊富だ。また、2005年にはKリーグ優勝の立役者としてMVPに選ばれるなど、「韓国の看板選手」として活躍してきた点も際立っている。
フルハムとしては、李天秀のように中盤と前線でプレーできる選手を探している。これもまた、移籍が現実味を帯びている部分である。
李天秀は2003年にレアル・ソシエダへ加入し、スペインリーグに挑戦したが、極度の不振に苦しめられわずか2年で戻ってきた苦い記憶が残っている。
フルハム行きに成功した場合、生涯2度目の欧州へのチャレンジとなる。果たして、プレミアリーグに進出し、自らとKリーグの名誉を高める事ができるだろうか。行く末が気になるところである。
『Kリーグは今』
〜 第７回 Kリーグ、「熱い話題」を作り出せ 〜 ( 1 / 2 )
サッカーと共に韓国プロスポーツの2大勢力とされている野球が、ここに来て熱い人気を集めている。韓国プロ野球がこの数年間、観客減少に悩まされた点を考えると、かなり目を引く変化だ。
野球が興行面において人気の再燃に成功した背景には、まず意欲的な「話題作り」に成功した点が挙げられる。代表的な例が、とある球団のコーチによる「下着姿マラソン」のハプニングだ。
このコーチは、「ホームゲームで観客が満員になったら、パンツ一丁でグラウンドを一回りする」と公言し注目されていた。しかし実際に球場がぎっしり埋まると、恥を忍んで約束を守り、ファンの拍手喝采を浴びた。
世界各国の通信社が「海外トピック」として紹介するなど関心を集めた「びっくりショー」を見守った野球ファンが、我先にと球場へ足を運んだ事は言うまでもない。
Kリーグ内部では「様々なイベントでファンの視線を集めたプロ野球に注目すべき」という意見が多く挙がっている。
〜 第７回 Kリーグ、「熱い話題」を作り出せ 〜 ( 1 / 2 )
サッカーと共に韓国プロスポーツの2大勢力とされている野球が、ここに来て熱い人気を集めている。韓国プロ野球がこの数年間、観客減少に悩まされた点を考えると、かなり目を引く変化だ。
野球が興行面において人気の再燃に成功した背景には、まず意欲的な「話題作り」に成功した点が挙げられる。代表的な例が、とある球団のコーチによる「下着姿マラソン」のハプニングだ。
このコーチは、「ホームゲームで観客が満員になったら、パンツ一丁でグラウンドを一回りする」と公言し注目されていた。しかし実際に球場がぎっしり埋まると、恥を忍んで約束を守り、ファンの拍手喝采を浴びた。
世界各国の通信社が「海外トピック」として紹介するなど関心を集めた「びっくりショー」を見守った野球ファンが、我先にと球場へ足を運んだ事は言うまでもない。
Kリーグ内部では「様々なイベントでファンの視線を集めたプロ野球に注目すべき」という意見が多く挙がっている。
サッカーと野球、興行の交差
今年の当初、興行面で先に花開いたのはサッカーの方であった。
城南一和（ソンナム・イルファ）、水原三星（スウォン・サムソン）、蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）などの強豪が積極的に補強を行い、FCソウルがトルコ出身の世界的な名将セノール・ギュネスを迎え入れ、ファンの関心を刺激した結果だ。
今季序盤のソウル対水原戦でリーグ歴代最多観客数（55,397人）の新記録が誕生し、その後もビッグマッチが開催される度にファンが大挙スタジアムに押しかけるなど、希望ある姿を演出してきた。
昨季はW杯という好材料があったにも関わらず、興行的に失敗して悔しい思いをした。それだけに今季序盤、観客数が爆発的に増えたことで、再びリーグを盛り上げる事ができるのではないか、と関心を集めていた。
しかし、その好ましい雰囲気も長くは続かなかった。
「攻撃サッカー」を売りにしたFCソウルが、レギュラークラスの選手が相次いで負傷する事態に陥ると、ファンの関心も明らかに減り始めた。また、守備的な戦術を採るチームが増えたことや、新たに加わったスター選手が期待ほどではなかったことも、熱気が長続きしない原因とされている。
今季1試合当たりの平均観客数は、5月末時点で13,000人。昨季の10,400人に比べて20%ほど増加したが、試合が進むたびに勢いが鈍り、関係者は気を揉んでいる。
今年の当初、興行面で先に花開いたのはサッカーの方であった。
城南一和（ソンナム・イルファ）、水原三星（スウォン・サムソン）、蔚山現代（ウルサン・ヒョンデ）などの強豪が積極的に補強を行い、FCソウルがトルコ出身の世界的な名将セノール・ギュネスを迎え入れ、ファンの関心を刺激した結果だ。
今季序盤のソウル対水原戦でリーグ歴代最多観客数（55,397人）の新記録が誕生し、その後もビッグマッチが開催される度にファンが大挙スタジアムに押しかけるなど、希望ある姿を演出してきた。
昨季はW杯という好材料があったにも関わらず、興行的に失敗して悔しい思いをした。それだけに今季序盤、観客数が爆発的に増えたことで、再びリーグを盛り上げる事ができるのではないか、と関心を集めていた。
しかし、その好ましい雰囲気も長くは続かなかった。
「攻撃サッカー」を売りにしたFCソウルが、レギュラークラスの選手が相次いで負傷する事態に陥ると、ファンの関心も明らかに減り始めた。また、守備的な戦術を採るチームが増えたことや、新たに加わったスター選手が期待ほどではなかったことも、熱気が長続きしない原因とされている。
今季1試合当たりの平均観客数は、5月末時点で13,000人。昨季の10,400人に比べて20%ほど増加したが、試合が進むたびに勢いが鈍り、関係者は気を揉んでいる。
『Kリーグは今』
〜 第７回 Kリーグ、「熱い話題」を作り出せ 〜 ( 2 / 2 )
プロ野球は観客がアップ
一方、野球は見どころを着実に作り出し、観客数を少しずつ伸ばしていった。これと言った人気カードもなくシーズンに突入したが、攻撃的なマーケティングを試みた一部チームの戦略が功を奏し、観客数が増加したのである。
ベテラン監督同士の舌戦も、肯定的に作用したと評価されている。
監督同士が直接対話をせず、メディアを通じて相手チームの弱点を突き、勝利宣言をする方法を用いて注目度を高めた。後日、監督たちは「実際の関係は円満だ。野球がスポットライトを浴びるためにわざと言い争っているんだ」と告白した。
シカゴ・カブス、LAドジャースなどに所属した大砲、崔熙渉（チェ・ヒソプ）が故郷のチームに復帰した事や、冒頭で記したとあるコーチの「びっくりイベント」なども、人気集めに成功したとの評価を受けている。
韓国プロ野球には、5月末時点で160万人の観客が球場を訪れた。これは昨季と比較して35％以上も増えた記録だ。
サッカーの全般的な興行不振により、専門家が憂慮している部分はいくつかの人気チームの試合にのみ、ファンが集中するいびつな構造についてだ。
今季、1試合平均観客数27,000人を記録しているFCソウルの数字は、釜山（プサン）アイパーク（5,900）、蔚山現代（7,300）、慶南（ギョンナム）FC（7,400）、城南一和（7,600）の、下位4チームの平均観客数を併せた数字とピッタリ合う。
このような状況だからTV中継はもちろん、各スポーツ関連の報道も人気チームに集中するなど、「富益富 貧益貧（富めば益々富を作り、貧は益々貧になる）」という現象が深刻になっている。
〜 第７回 Kリーグ、「熱い話題」を作り出せ 〜 ( 2 / 2 )
プロ野球は観客がアップ
一方、野球は見どころを着実に作り出し、観客数を少しずつ伸ばしていった。これと言った人気カードもなくシーズンに突入したが、攻撃的なマーケティングを試みた一部チームの戦略が功を奏し、観客数が増加したのである。
ベテラン監督同士の舌戦も、肯定的に作用したと評価されている。
監督同士が直接対話をせず、メディアを通じて相手チームの弱点を突き、勝利宣言をする方法を用いて注目度を高めた。後日、監督たちは「実際の関係は円満だ。野球がスポットライトを浴びるためにわざと言い争っているんだ」と告白した。
シカゴ・カブス、LAドジャースなどに所属した大砲、崔熙渉（チェ・ヒソプ）が故郷のチームに復帰した事や、冒頭で記したとあるコーチの「びっくりイベント」なども、人気集めに成功したとの評価を受けている。
韓国プロ野球には、5月末時点で160万人の観客が球場を訪れた。これは昨季と比較して35％以上も増えた記録だ。
サッカーの全般的な興行不振により、専門家が憂慮している部分はいくつかの人気チームの試合にのみ、ファンが集中するいびつな構造についてだ。
今季、1試合平均観客数27,000人を記録しているFCソウルの数字は、釜山（プサン）アイパーク（5,900）、蔚山現代（7,300）、慶南（ギョンナム）FC（7,400）、城南一和（7,600）の、下位4チームの平均観客数を併せた数字とピッタリ合う。
このような状況だからTV中継はもちろん、各スポーツ関連の報道も人気チームに集中するなど、「富益富 貧益貧（富めば益々富を作り、貧は益々貧になる）」という現象が深刻になっている。
ライバルチームを増やせ！
これに対してKリーグ側は「中長期発展計画」を準備、チーム間格差を減らしていくという構想だ。20年後を見通して、経営収支の改善、ホームタウン制度の定着、ユース等の底辺拡大など、様々な措置を通してリーグに参加する全てのチームが競争力を持てるように支援するという趣旨だ。
しかし専門家は、中長期的な措置のみならず、短期的な効果にも関心を傾けるべきだと忠告している。最近は沈みがちの雰囲気ではあるが、未だに昨季より多くの観客数を記録している。それだけに適切な準備をして、今一度関心の火種を活かしていくべきだという意味なのだ。
その代表的な例が「話題作り」だ。プロ野球がそうであったように、ファンの視線を捕らえることの出来る関心事を作るべきだという意見が多い。
代表的な案は「ライバルチームを増やす事」だ。現在FCソウルと水原三星がKリーグの代表的なライバルと認められている。しかしその2チームだけでは足りない。
全北現代（チョンブク・ヒョンデ）対蔚山現代の「現代ダービー」。鉄鋼会社を親会社に持つ浦項（ポハン）スティラーズ対全南（チョンナム）ドラゴンズの「鉄鋼ダービー」。大邱（テグ）FC、大田（テジョン）シチズン、仁川（インチョン）ユナイテッドの市民チーム間の「三角ダービー」など、様々なライバル関係が構築されるべきだ。
この過程において重要なのが、監督と選手の役割だ。ヨーロッパや南米などを見るとわかるように、「ライバルには絶対に負けたくない」という闘争意識をファンに植え付けるためには、選手がまず積極的に先頭に立たなければならない。
相手チームの監督や選手との間で意図的に心理戦を展開し、それを公開するなど、ファンが関心を持てる話題を作る必要がある。
わずか8チームに過ぎないプロ野球が、14チームが参加するKリーグを「話題の量」で圧倒している現実は、Kリーグの関係者がもっと苦労するべきだという事実を物語っている。
でもそれは日本においても
「わずか12チームに過ぎないプロ野球が、31チームが参加するJリーグを「話題の量」で圧倒している現実は、Jリーグの関係者がもっと苦労するべきだという事実を物語っている。」
というふうにそのまま置き換えて語ることができる・・・
これに対してKリーグ側は「中長期発展計画」を準備、チーム間格差を減らしていくという構想だ。20年後を見通して、経営収支の改善、ホームタウン制度の定着、ユース等の底辺拡大など、様々な措置を通してリーグに参加する全てのチームが競争力を持てるように支援するという趣旨だ。
しかし専門家は、中長期的な措置のみならず、短期的な効果にも関心を傾けるべきだと忠告している。最近は沈みがちの雰囲気ではあるが、未だに昨季より多くの観客数を記録している。それだけに適切な準備をして、今一度関心の火種を活かしていくべきだという意味なのだ。
その代表的な例が「話題作り」だ。プロ野球がそうであったように、ファンの視線を捕らえることの出来る関心事を作るべきだという意見が多い。
代表的な案は「ライバルチームを増やす事」だ。現在FCソウルと水原三星がKリーグの代表的なライバルと認められている。しかしその2チームだけでは足りない。
全北現代（チョンブク・ヒョンデ）対蔚山現代の「現代ダービー」。鉄鋼会社を親会社に持つ浦項（ポハン）スティラーズ対全南（チョンナム）ドラゴンズの「鉄鋼ダービー」。大邱（テグ）FC、大田（テジョン）シチズン、仁川（インチョン）ユナイテッドの市民チーム間の「三角ダービー」など、様々なライバル関係が構築されるべきだ。
この過程において重要なのが、監督と選手の役割だ。ヨーロッパや南米などを見るとわかるように、「ライバルには絶対に負けたくない」という闘争意識をファンに植え付けるためには、選手がまず積極的に先頭に立たなければならない。
相手チームの監督や選手との間で意図的に心理戦を展開し、それを公開するなど、ファンが関心を持てる話題を作る必要がある。
わずか8チームに過ぎないプロ野球が、14チームが参加するKリーグを「話題の量」で圧倒している現実は、Kリーグの関係者がもっと苦労するべきだという事実を物語っている。
でもそれは日本においても
「わずか12チームに過ぎないプロ野球が、31チームが参加するJリーグを「話題の量」で圧倒している現実は、Jリーグの関係者がもっと苦労するべきだという事実を物語っている。」
というふうにそのまま置き換えて語ることができる・・・
『Kリーグは今』
〜 第8回 A3の拡大とKリーグの発展 〜 ( 1 / 2 )
6月13日、日韓中のキング・オブ・キングを決める「A3チャンピオンズカップ2007」が大団円で幕を下ろした。
北東アジア3カ国の強豪が集まった大会にふさわしく、毎試合迫力のある戦いが繰り広げられ、素晴らしい場面が続出した。観客席の熱気もまた、他の大会より高かったと言われている。
とはいえ、韓国ファンの立場としては、興味と関心のほかに、大きなショックを経験した大会でもあった。
今シーズンのKリーグにおいて19試合連続無敗記録を保持し、首位の座を不動のものにした「絶対的な強者」城南一和（ソンナム・イルファ）が、3試合で2敗を喫し、4チーム中最下位に留まる屈辱を受けたのだ。
しかし多くの専門家は、「参加チーム同士の接戦が続き、混戦となった事は、3カ国のレベルが向上し、平均化した証拠」と、肯定的な解釈をしている。その上で、「今後A3が進む方向性について、もっと真剣に考えていかなければならない」という忠告も付け加えた。
韓国のサッカー関係者の間では、A3をより一層拡大させ、アジアのクラブサッカーを代表する大会へと育て上げるという共通認識が形成されている。
〜 第8回 A3の拡大とKリーグの発展 〜 ( 1 / 2 )
6月13日、日韓中のキング・オブ・キングを決める「A3チャンピオンズカップ2007」が大団円で幕を下ろした。
北東アジア3カ国の強豪が集まった大会にふさわしく、毎試合迫力のある戦いが繰り広げられ、素晴らしい場面が続出した。観客席の熱気もまた、他の大会より高かったと言われている。
とはいえ、韓国ファンの立場としては、興味と関心のほかに、大きなショックを経験した大会でもあった。
今シーズンのKリーグにおいて19試合連続無敗記録を保持し、首位の座を不動のものにした「絶対的な強者」城南一和（ソンナム・イルファ）が、3試合で2敗を喫し、4チーム中最下位に留まる屈辱を受けたのだ。
しかし多くの専門家は、「参加チーム同士の接戦が続き、混戦となった事は、3カ国のレベルが向上し、平均化した証拠」と、肯定的な解釈をしている。その上で、「今後A3が進む方向性について、もっと真剣に考えていかなければならない」という忠告も付け加えた。
韓国のサッカー関係者の間では、A3をより一層拡大させ、アジアのクラブサッカーを代表する大会へと育て上げるという共通認識が形成されている。
特別な価値、しかしファンの関心は？
今大会の競技レベルは非の打ち所がなかった。現地で試合を見た同僚記者によると、今までのどの大会よりも、観客の多さと熱気を感じることができたという。
しかし残念な事に、韓国内でのA3に対する関心は微々たるレベルに留まった。城南の試合は全て生中継されたが、視聴率は極めて低調だった。サッカー関連のサイトやコミュニティにおいても、A3について言及するファンを見つけることは難しかった。
これは先程言及したように、城南の不振に原因があると思われる。
大会開幕直前、韓国のマスコミは城南が優勝する可能性を非常に高いものと予想していた。2004年の北京大会で優勝した経歴もあり、その上、最近の3大会をKリーグ勢が席巻するなど、素晴らしい成績を維持していた事による自信の表われであった。
そのため、城南の不振は「意外な事件」と受け止められた。城南が山東魯能（サントン・ルノン）との初戦で敗れた際、「衝撃の敗北」「予測できない不振」などのような記事の見出しが主となったのも、そのような理由からだ。
その後、城南が浦和レッズとの試合にも敗れ、優勝の可能性が消えると、大会に関する報道を扱うメディアの数が明らかに減り、ファンの関心も少なくなった。
A3開催期間中、Kリーグは中断期間に入った。その上、主なサッカー関連のイベントも開催されなかった。この点を考えると、これだけファンが無関心な状況にあることは、少々異例と思われる。
最終日の報道は、城南が上海申花（シャンハイ・シンカ）を倒して、大会を1勝2敗で締め括った事実だけが簡潔に記されたのみ。どのチームが優勝したのかについて、言及したマスコミはほとんどなかった。
むしろA3を視察するために、開催地である済南を訪問したピム・ファーベック韓国代表監督についての話題の方が、扱いの比重が高かった。「メイン」と「サブ」が入れ替わってしまったという訳だ。
今大会の競技レベルは非の打ち所がなかった。現地で試合を見た同僚記者によると、今までのどの大会よりも、観客の多さと熱気を感じることができたという。
しかし残念な事に、韓国内でのA3に対する関心は微々たるレベルに留まった。城南の試合は全て生中継されたが、視聴率は極めて低調だった。サッカー関連のサイトやコミュニティにおいても、A3について言及するファンを見つけることは難しかった。
これは先程言及したように、城南の不振に原因があると思われる。
大会開幕直前、韓国のマスコミは城南が優勝する可能性を非常に高いものと予想していた。2004年の北京大会で優勝した経歴もあり、その上、最近の3大会をKリーグ勢が席巻するなど、素晴らしい成績を維持していた事による自信の表われであった。
そのため、城南の不振は「意外な事件」と受け止められた。城南が山東魯能（サントン・ルノン）との初戦で敗れた際、「衝撃の敗北」「予測できない不振」などのような記事の見出しが主となったのも、そのような理由からだ。
その後、城南が浦和レッズとの試合にも敗れ、優勝の可能性が消えると、大会に関する報道を扱うメディアの数が明らかに減り、ファンの関心も少なくなった。
A3開催期間中、Kリーグは中断期間に入った。その上、主なサッカー関連のイベントも開催されなかった。この点を考えると、これだけファンが無関心な状況にあることは、少々異例と思われる。
最終日の報道は、城南が上海申花（シャンハイ・シンカ）を倒して、大会を1勝2敗で締め括った事実だけが簡潔に記されたのみ。どのチームが優勝したのかについて、言及したマスコミはほとんどなかった。
むしろA3を視察するために、開催地である済南を訪問したピム・ファーベック韓国代表監督についての話題の方が、扱いの比重が高かった。「メイン」と「サブ」が入れ替わってしまったという訳だ。
『Kリーグは今』
〜 第8回 A3の拡大とKリーグの発展 〜 〜 ( 2 / 2 )
A3に期待するKリーグ
韓国のサッカー関係者は、Kリーグがもっと成長するために、A3を積極的に活用しなければならないという共通認識を持っている。
日本のJリーグによる先進的なマーケティング能力。そして中国Cリーグによる途方もない潜在的な成長。そのどちらも持ち得ない韓国としては、積極的な交流を通じて両国の長所を学び、活用する必要があるのだ。
さらにKリーグが、観客の減少という困難に直面している現実。それがまた、A3の重要性を自覚させる原因となっている。
Kリーグは北東アジア3カ国のうち、唯一、下部リーグとの入れ替え制度を実施していない。ディビジョンシステムを運営できるほど、サッカーに関する環境が作られていないためだ。
昇格と降格の緊張感がないまま、順位決定のみで終わってしまう。それがサッカーファンからもなかなか注目されない原因となっている。イングランド、スペイン、イタリアなど、ヨーロッパの主要リーグに対する関心が日々高まるのとは対照的だ。
その意味において、A3が推進している大会拡張の動きは、Kリーグが最も期待する青写真とも言える。A3が参加チームを増やし、インターリーグ体制へと転換された場合、Kリーグの順位争いも一層激しくなり得るのだ。
上位4チームにA3への出場権が与えられると仮定した場合、優勝チームだけに集められていた関心が、4位争いまで分散する。
最近AFCが、アジア・チャンピオンズ・リーグ参加チーム数拡大、及び優勝賞金の大幅な引き上げに関する調整などの内容を盛り込んだ発展計画書を発表した。しかしこれが実現されるまでには多くの時間が必要だと思われる。
広々としたアジアを一つにまとめた場合、長い移動距離や時差、気候の変化などの要因から来る問題が多数発生するからだ。
それを考えると、レベルがほぼ似ている北東アジアの3カ国を対象にしたA3だからこそ、実現できる可能性が一段高いと言える事は間違いない。
韓国のサッカー専門家は、「A3がアジアを代表するサッカーイベントに生まれ変わるためには、何よりも今回の大会に対する徹底的な総括作業から始めなければならない」という意見を出している。
不備な部分や改善すべき課題を徹底的に把握すれば、これから体験するであろう試行錯誤を、かなりの部分において減らす事ができるからだ。
〜 第8回 A3の拡大とKリーグの発展 〜 〜 ( 2 / 2 )
A3に期待するKリーグ
韓国のサッカー関係者は、Kリーグがもっと成長するために、A3を積極的に活用しなければならないという共通認識を持っている。
日本のJリーグによる先進的なマーケティング能力。そして中国Cリーグによる途方もない潜在的な成長。そのどちらも持ち得ない韓国としては、積極的な交流を通じて両国の長所を学び、活用する必要があるのだ。
さらにKリーグが、観客の減少という困難に直面している現実。それがまた、A3の重要性を自覚させる原因となっている。
Kリーグは北東アジア3カ国のうち、唯一、下部リーグとの入れ替え制度を実施していない。ディビジョンシステムを運営できるほど、サッカーに関する環境が作られていないためだ。
昇格と降格の緊張感がないまま、順位決定のみで終わってしまう。それがサッカーファンからもなかなか注目されない原因となっている。イングランド、スペイン、イタリアなど、ヨーロッパの主要リーグに対する関心が日々高まるのとは対照的だ。
その意味において、A3が推進している大会拡張の動きは、Kリーグが最も期待する青写真とも言える。A3が参加チームを増やし、インターリーグ体制へと転換された場合、Kリーグの順位争いも一層激しくなり得るのだ。
上位4チームにA3への出場権が与えられると仮定した場合、優勝チームだけに集められていた関心が、4位争いまで分散する。
最近AFCが、アジア・チャンピオンズ・リーグ参加チーム数拡大、及び優勝賞金の大幅な引き上げに関する調整などの内容を盛り込んだ発展計画書を発表した。しかしこれが実現されるまでには多くの時間が必要だと思われる。
広々としたアジアを一つにまとめた場合、長い移動距離や時差、気候の変化などの要因から来る問題が多数発生するからだ。
それを考えると、レベルがほぼ似ている北東アジアの3カ国を対象にしたA3だからこそ、実現できる可能性が一段高いと言える事は間違いない。
韓国のサッカー専門家は、「A3がアジアを代表するサッカーイベントに生まれ変わるためには、何よりも今回の大会に対する徹底的な総括作業から始めなければならない」という意見を出している。
不備な部分や改善すべき課題を徹底的に把握すれば、これから体験するであろう試行錯誤を、かなりの部分において減らす事ができるからだ。
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