ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

緒方貞子 [コミュニティ]コミュの国際協力機構年報 2007 序文

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
国際協力機構年報 2007

序文

独立行政法人国際協力機構(JICA)は、2003年10月の設立以来、「現場主義」、「人間の安全保障」及び「効果・効率性、迅速性」という3つの視点を基に、事業と組織のあり方を抜本的に見直す「JICA改革プラン」を推進してきました。改革の4年目にあたる2006年は、これまでの進捗状況をレビューするとともに改革の仕上げに取り組みました。

改革の中心となる「現場主義」の推進では、本部から在外事務所への人員のシフトや権限の委譲など現場強化の取り組みが順調に進んだ結果、現地のニーズにより立脚した在外主導による事業実施体制が着実に強化されています。

「人間の安全保障」は、紛争、地球環境の悪化、武器や薬物、感染症の拡散といった地球規模の諸問題に晒されている人々や地域社会の保護と能力強化を支援し、尊厳ある生命を全うできる社会づくりを目指すもので、脆弱な途上国の開発の基盤となる考え方です。この考えに基づき、コミュニティ開発に際して教育や医療といった分野を横断的に行う必要性を広く認識し、開発課題に包括的な対応を目指すプログラム化の促進に繋がってきています。

「効果・効率性、迅速性」については、特に「迅速性」の推進に努め、2005年7月に災害復旧・復興支援や平和構築支援をより迅速に実施するための「ファスト・トラック制度」(実施のスピードアップ)の導入を図りました。同制度を適用した南部スーダンの平和構築支援、パレスチナ支援などでは確実な成果を上げつつあります。

中華人民共和国やブラジル等、経済の発展が著しい国々が耳目を集める中、世界にはまだまだ援助を必要としている人々や地域社会が多く存在し、JICAの事業も展開の幅を広げてきています。2006年7月にはコンゴ民主共和国や国連難民高等弁務官時代に深く関わったルワンダを訪問し、紛争で疲弊した国における平和構築プロセスの検証と大湖地域における今後の平和構築支援のあり方を検討してきました。

また、2006年9月にはフィリピン・ミンダナオ島のモロ・イスラム解放戦線の支配地域を訪問し、関係当事者との面談を踏まえて、和平プロセスへの支援及び国際停戦監視団(IMT)への職員の派遣を実現しました。一方、2006年6月に発生したインドネシア・ジャワ島中部地震に対しては国際緊急援助隊の派遣を通じて救援活動を行うとともに迅速な復興を支援してきました。

「国際協力」の重要性を示す国際場裡の動きとしては、2007年6月に開催されたG8ハイリゲンダム・サミットが挙げられます。安倍前首相の提案した「美しい星へのいざない」(Invitation to Cool Earth 50)を基に世界全体の温室効果ガスを2050年までに半減するという目標と共にアフリカにおける感染症対策に新たに600億ドルを拠出することが合意される等益々国際協力の重要性と日本の貢献への期待が高まっています。

とりわけ、来年は、5月に第4回アフリカ開発会議(TICAD IV)が、7月にはG8サミットが日本で開催される予定であり、国際社会の日本に対する期待が一層高まる年になります。開発途上国のニーズに合致した政府開発援助(ODA)事業を迅速且つ着実に遂行していくことは、国際社会の中で日本が真の友人を増やしていくことに繋がります。

日本の安全と繁栄は世界の安定と密接な関係があるという認識の下、JICAは今後とも現場のニーズに対応した不断の改革を一層推進し、平和で豊かな世界の実現に向けて活動を進めていくとともに、ODAの予算拡大に対する国民の皆様の理解を得ていきたいと考えています。

国際協力銀行の円借款業務をJICAが承継することを含めたJICA法の改正が2006年11月に成立しました。これを受け、2008年10月にJICAは、これまで実施してきた技術協力事業に加え、無償資金協力事業の一部と円借款事業の実施を担う総合的二国間援助機関に生まれ変わります。途上国開発に果たす民間企業の役割の重要性やNGOとの連携に、より一層の努力を傾注し、効果的・効率的援助の実現を図って参ります。

また同時に、「調査・研究」がJICAの本来業務となり、今後は政府開発援助の一元的実施機関として、新たな援助潮流の形成や援助研究の成果を国内外に発信していくことになります。

JICA改革のもうひとつの試みとして、2006年4月、東京の広尾に市民参加協力の推進のための知見や経験の蓄積及び情報発信・交流の拠点として「地球ひろば」を開設し、入館者数は既に総計90,000人(2007年7月末現在)を突破しました。「地球ひろば」は、開発途上国と日本を繋ぐ小さな架け橋ですが、より多くの皆様に利用して頂き、ご意見をお聞かせ頂きたいと思っています。

本書は2006年度の事業実績と活動内容をまとめたものです。本書を通じて、JICA事業に対する皆様のご理解がさらに深まることを願っております。

2007年9月

コメント(0)

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

緒方貞子 [コミュニティ] 更新情報

緒方貞子 [コミュニティ]のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング