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童話と絵本作りが大好きコミュのなぞなぞ童話(コミィとポン太の冒険)

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「あれ。ここはどこだろう?」

コミィとポン太は辺りを見回しました。

辺りは一面砂の海。

向こうで三日月お月さまが照らしている三角錐はどう見てもピラミッドです。

「ここ、もしかしてエジプト?」

ふたりは顔を見合わせました。二人は昨日の夜のことを思い出しました

未知の世界をのぞけるということで、三日月を見ながら唱えたあの呪文のことです。

どうやったら帰れるんだろう

二人が困っていると、そこにサバク兎がやってきました。

「しけた顔してどうしたんだい?」

ふたりが事情を説明するとサバク兎はいました。

「そりゃあ大変だ。心底わたしは同情するよ。そうだね、もしこれからわたしが出すなぞなぞに見事応えられたら帰る方法を教えてあげてもいいよ」

「なぞなぞ?」

「そう。いつも兄弟2人でコツコツ歩いているのに同じところをグールグル。これ、なあんだ?」
「と・・時計かな?」

ポン太がおずおず答えました。

「すばらしい!ご名答。君たちは自分の世界に帰りたいんだろ?ほらあのはるか向こうにスフィンクスが見えるだろ。やつの出す謎を解けば、王の遺産が手に入るはずだ。それが帰る鍵になる。そこから先のことは知らないけどね」

サバク兎は、そう言いながら、スイカのような果物を割って中の汁を吸い始めました。

「これは水スイカさ。ほら中はほとんどジュースみたいな果汁だよ」

ふたりはごくごく飲みました。なんとも甘くて、疲れなんて忘れてしまいそうなほどでした。

コミとポン太は歩いていきます。

ふと二人は、足元が沈んでいくのに気づきました

「わあ、どうしたんだ」

「足元が崩れていく」

巨大なアリ地獄に落ちてしまったのでした。

下をみるとアリ地獄の主、大きなウスバカゲロウが牙をカチカチしながら二人が落ちてくるのを待ち構えていました。

「おおなんておいしそうな子供たちでしょう。まさに‘うそしいお’‘しめのしわ’ですわ。ホホホ」

「なんて言ってるの?」

「分からない」

砂の壁はどんどん崩れていき、二人は穴の真ん中くらいまで来てしまいました

「お願いです。どうか食べないでくれませんか?ぼく食べられたくないんです」

コミイが命乞いをしました

「みんなそう言うわ」

ウスバカゲロウは舌なめずりをしました。

「でも、この意味が分かれば考えてあげてもよくてよ。‘しめはくぼ’。お分かりになって?」

「えっ、分からない」

ふたりはさらに落ちていきます。

「頭を逆さにして考えることですわ、まあ解けないでしょうけど。ほほ。さあ早く落ちておいで。今日の晩飯ちゃん」

頭を逆さにする・・・・そうか!反対に読めばいいんだ

しめはくぼだから

「ぼくはめし!」

コミィは大きな声で叫びました

「そう、お前はあたいの飯なのよ。さあ早くおいで。誰よりもおいしそうに食べてあげるから」

「考えてもいいって、さっき言ったじゃん」

「そう、よく考えたのよ。考えた末に、あんたたちを食べることにしたの」

ウスバカゲロウは牙をカチカチ言って待ち構えています。

「コミィあれ」

ポン太が上を指さしました。

アリ地獄の上には青空が広がっています。そして、水スイカの木から重そうに実がしなっているのも見えます。

ああ、そうか。

ふたりは手元にある石ころをそれ目がけて何度も投げました。

でもなかなか当たりません。そうこうしている間にも二人の体はどんどん下へと落ちていきます

ウスバカゲロウの牙はもう二人の足のすぐ下です。

もう駄目かと思ったとき、水スイカの実が落ちてきました。ついに石が当たったみたいです。

水スイカはウスバカゲロウの頭の上に落ちて、ウスバカゲロウは気を失ってしまいました。

そしてさらに落ちてきた水スイカは、砂の上で割れて、湿った砂は土のように固まり、ふたりはようやくにして、固まった土の上を上り脱出することができました。

下を見ると、意識を取り戻したウスバカゲロウが、水スイカの汁をごくごく言わせながら飲み干していました。

「危なかったね」

「うん」

「さあ、行こう」

どんどん歩いていくとスフィンクスの前に出ました。

しかしスフィンクスの前には番人がいました。

「ここを通すわけにはいかぬ」

門番は、まるで古代の壁画から現れた山犬の神のような面がまえをしていました。門番は、鋭く尖った剣を二人に向けました。

「でもぼくたちは行かなければならないんだ」

ふたりがこれまでのことを説明すると、山犬のような門番は言いました。

「では次に出す謎を見事解くことができたら通してやろう。でも外れたら、毒蠍に射されて死ぬのだ。では行くぞ。兵士たちが競争をしている。ある兵士の前には5人の兵士、後ろには5人の兵士がいる。いちばん少ない人数で競争したとして、競争した兵士は何人だったか?」

コミィが自信たっぷりに鼻をならして言いました。

「わかった、10人だ」

「違うよコミィ、これひっかけだよ。ほら、自分の分も計算しないと。自分の前に5人、後ろに5人。自分も入れると5+5+1で11」

ポン太が訂正しました

「あ、そうか」

「答えは11だ!」

二人は声を揃えました

「愚かなり」

門番はクククと肩を震わせ笑いました。

「え、なんで?」

「私はいちばん少ない人数で競争した場合、と言ったはずだ。たとえば向こうに見える大きな木。あそこまで走るのならば、その答えは正しいだろう。でも、もしあの木の周りを3周まわるという競争だったらどうだろう?」

「あっ、そうか」

「そう。円になって競争していたのだ。だから答えは6人だ。残念であった」

門番がそう答えると、どこからともなくサソリが現れ、避ける間もなくコミイとポンタは刺されてしまいました。

門番は再び言いました

「ハハハ。お前たちはここで死んでしまうのだ。でもわしは一回だけはチャンスをやることにしている。ここに2つの瓶がある。この中のどちらかが解毒剤。どちらかが毒薬だ。好きな方を選ぶがよい。これを外したら本当に死んでしまうぞ」

門番はふたりの前に2つの瓶を置きました。

青い液の入った瓶と、赤い液の入った瓶。

その前には瓶の栓を抜くための栓抜きとメモがあります。

メモには
「あかん、どんくせ」とあります

「これは一体どういう意味だろう?」

二人は頭がクラクラしながらも顔を見合わせました。

「あかん、ってよくないって意味だろ?」

「どんくせは、どんくさい。だからどんくさいのは良くないってこと?」

突然、ポンタがふらふらした体を起こしました。

「違うよ違う!青が薬。解毒剤だよ。これは暗号なんだ。ここに栓抜きあるでしょ?「栓抜き」だから「せ」と「ん」を抜いて読むんだ。「せ」と「ん」を省くとこうなるよ。あか、どく。つまり赤が毒だから青が薬だよ」

ふたりは青の瓶の栓を抜くとそれを飲み始めました。

毒はさーっと消えました。そしてついにスフィンクスの前にとたどり着きました。

身体はライオン、頭は人間。その恐ろしい姿のスフィンクスが言いました。

「小僧ども。よくぞここまでたどり着いた。お前たちはわしの持っている遺産が欲しいようじゃな。よかろう、そこまで欲しいのならくれてやろう。ただし、お前らがわしに殺されなかったらの話じゃがな」

「また問題かな?」

スフィンクスがガハハと笑いました。

その大声は雷が落ちたようで、二人は空気が震え、毛穴が逆立つのを感じました。

「ここに3つの扉がある。一つの部屋は人食いワニにいる部屋。もう一つの部屋はピラニアの間だ。そして残った一つの部屋に王の遺産がある」

見るとスフィンクスの足元のレンガの部分に3つの扉が見えます。

「正しい扉をあければ、お前たちは王の遺産を手に入れ、自分の世界に帰ることができよう。だがまちがった扉を開けたが最後、お前たちは扉に吸い込まれワニやピラニアの餌になるのだ」

「どうしよう」

「時間は3分だ。間違った扉を開ければ、ワニや蛇の餌になるのだ。もし3分たっても、どの扉も開けなければ、わしがお前らを食ってやる」

スフィンクスはご馳走でも眺めるように二人を見て舌なめずりをしました。
こみいは半べそです。

ともあれ、コミイとポンタは扉の方に歩いていきました。

それぞれの扉には

「1235」「1347」「1459」

という文字が刻まれています。

「ええー。何これ? 」

「全然わからない」

ふたりは頭を抱えます。時間はどんどん過ぎていきます。

ポン太はふと呟きます

「さっきから思ってたんだけど、どうして普通に宝物って言わないんだろうね。それで気づいたんだけど遺産て13って読めるよね。だから、次に来る数字が13になる文字が刻まれてる扉を選べばいいと思うんだ」

「どうやって?」

「たぶん、この数字の並び方に法則があると思うんだ」

「さあ、あと1分だ」

スフィンクスのとどろくような大声が響きます。

「ヒントをやろう。3・4・7・11。次にくるのは18だ。あと40秒」

「30秒」
「20秒」
「10秒」
「5秒」

「わかった!こっちだ」

4・3・2・・・

ポンタはコミの手を取り引きずるようにしてドアを開けました。

それは「1235」のプレートでした

扉を開けるや否や、二人はまばゆい光に包まれ光のクッションの上に落ちてゆきました。

雲の上のように足場がないにもかかわらず、それはふんわりと宙に浮くように二人を受け止めているのでした

どこからともなく声が聞こえました

「ひとつだけ相手の願いを叶えてやることこそ王の遺産じゃさあ願いを言うがよい」

「じゃあ、もとの世界へ戻してください」

二人が声をそろえるや、
黄色の柔らかい光が二人をくるみこみ、そのまま二人をもちあげました。

二人はふわっと体が浮くのを感じました

気が付くと昨日、三日月に向かって呪文を唱えた元の部屋に帰っていました。

「ところで、さっきにどうしてこの扉ってわかったの?」

こみいが聞くとポンタは答えました。

あれはね
『さっきのヒントで3・4・7・11の後が18って言ってたでしょ。で気づいたんだ。
左の数字と右の数字を足したのが、次に来る数字になってるんだ。
見て!3+4が7で4+7が11。だとしたら次にくるのは7+11で18」
そうやって考えると、最後に13・遺産がくるのは「1235」しかない
1+2は3、2+3は5、3+5が8だから、「12358」の並びになるよね
次にくるの5+8だから13
だから遺産13は、1235なんだ 』


「ポンタ、すごいなあ。ぼくはオロオロしてるだけだったよ」

コミは申し訳なさそうにため息をつきました。

そしてふたりは元の世界へ戻ってきたのでした

めでたしめでたし

コメント(2)

-おもしろかったです。絵本は何回も読むものなので、最後の難しい謎解きは、答えを出さずに、夢さめオチにしておく、謎は永遠の読者の課題にしておくのもアリかな?と思いましたが―-。
>ヨシムラさん、ありがとうございます!本当に嬉しいです
そうですね、夢さめオチって、自分もけっこう好きです。
正解をあえて言わないで余韻持たせるような終わり方ですよね。
今回の問題は多分、子供には難しいと思うので、難しい部分がありますけど、これからも謎々童話作ってみたいと思ってますんで、そのとき、もう少しやさしいレベルの問題で是非それを使ってみたいと思います
ありがとうございます(^o^)

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