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九条の会@mixiコミュの地雷は誰が片付けるのか?  埋設対人地雷の数は一億二千万個 

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日刊べリタ記事の転載です。
http://www.nikkanberita.com/

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2010年04月04日23時26分掲載  印刷用

地雷は誰が片付けるのか?  埋設対人地雷の数は一億二千万個  文:平田伊都子 写真:川名生十

  2010年、米国映画<ハートロッカー>が監督賞以下アカデミー六賞を独占した。<ハートロッカー>の舞台はイラクのバグダッドになっているが、実際の撮影は隣国ヨルダンで行われた。時は2004年の夏、イラク戦争真っ只中で大活躍する米軍爆弾処理班を、ドキュメンタリータッチで描いている。何故、今、2008年に上映済みの戦争アクション映画に、世界中の耳目が集まるアカデミー賞を与えるのか? 答えは簡単明瞭、米国ホワイトハウス宣伝マンたちは、米軍イラク撤退に向けての宣伝工作のために、派手なアカデミー受賞式を利用したのだ。

  3月28日、時を移さずオバマ大統領はアフガニスタンに飛んだ。バグラム空軍基地に米兵を集め、「敵をやっつけろ!」と、檄を飛ばした。イラク戦争は終わり戦場はアフガニスタンに移ったことを印象づけるための、電撃訪問だった。
  しかし、イラクでの爆発音は絶えず、内戦はますます泥沼化している。そして、米軍が撤退した後には、無数の地雷や不発弾が残されるのだ。

◆対人地雷全面禁止条約

  1997年は対人地雷全面禁止の年だった。1月15日、故ダイアナ英国妃がアンゴラの地雷原に入ったことから、歴史的な一年が始まった。
  8月31日、対人地雷廃絶キャンペーンの花だったダイアナ妃が謎の自動車事故で死亡すると、キャンペーンは逆に勢いづいた。
  そして12月3日、<対人地雷全面禁止条約>にまで一挙に漕ぎつけたのだった。12月10日にはノーベル平和賞が<地雷廃絶キャンペーン>に贈られ、華々しい一年が終わる。

 <対人地雷全面禁止条約>の要点を挙げてみる。

第一条:締約国はいかなる状況下でも対人地雷の使用、開発、生産、取得、貯蔵、保有、直接間接の移転を一切行わない。
第二条:対人地雷とは人の接近、接触で爆発し人間を殺傷する地雷を指す。
第四条:締約国は自国が保有する対人地雷全てを発効から4年以内に廃棄する。
第五条:締約国の自国の管理下にある地雷埋設地域の全ての対人地雷を発効から10年以内に破棄する。

  現在、日本やヨーロッパ諸国など約120カ国が<対人地雷全面禁止条約>に加盟しているが、イスラエル、アメリカ、ロシア、中国、モロッコなどを始め、不加盟の国も多々ある。これら不加盟の国々が貯蔵地雷の大半を保持しているにもかかわらず、<対人地雷全面禁止条約>は不加盟国に対する規制条文を設けていない。

◆対人地雷はどこにある?

  「<対人地雷全面禁止条約>が世界中に知れ渡り、人々は殆どの国がこの条約に加盟し、問題は解決したと信じた。この早合点が問題なのだ」と、MAG(地雷啓発グループ)のルー.マグラス氏は世間の対人地雷に対する関心が薄れたこと、対人地雷の数は減少していないことを訴えた。(2009年3月15日、デイリーヨミウリ)
  対人地雷は約68カ国に、日本人口とほぼ同数の約一億二千万個が埋設されている。
  対人地雷貯蔵量は94カ国に、約二億三千万あると推測されている(2002年3月調査)。
  対人地雷犠牲者の大部分は女、子供、老人といった地元住民で、毎年一万五千人から二万人を数える。そのうち三分の一は死亡している。

「エジプト西部砂漠エル.アラメインの対人地雷犠牲.遊牧民660人が英国政府を相手どり、年間15億円の賠償金を請求した」(2010年3月20日、英国テレビBBC)

  エル・アラメインは、英軍モントゴメリー元帥が無敵の独軍ロンメル将軍戦車部隊を破った、第二次世界大戦の古戦場だ。両軍が撒いた地雷は64キロメートルに及ぶという。人間だけでなく動物の犠牲も後を絶たない。しかし、エジプトは<対人地雷全面禁止条約>に加盟しておらず、地雷除去と賠償を訴える遊牧民に耳を貸さない。そこで、遊牧民は元宗主国で条約に加盟しているイギリスに訴えたという訳だ。

  2010年4月2日、4月4日の<地雷に関する啓発および地雷除去支援の為の國際デー>に向けて、西サハラ難民と支援者たち約400人が、地雷撤去要求のデモをモロッコ当局に対し行った。場所はモロッコが占領する西サハラ植民地の領界線から約20キロメートル離れた砂漠だった。
  一年前の2009年3月にも同じ地点でデモが行われ、案内人の西サハラ難民が対人地雷で足を吹き飛ばされた。デモ隊の前にはモロッコ軍が作った<砂の壁>と呼ばれる地雷原が広がっているのだ。

◆<砂の壁>西サハラ地雷原

  アフリカ最後の植民地.西サハラには、国連の推測によると600万個以上の対人地雷や対戦車地雷が埋まっているそうだ。宗主国モロッコがイスラエル軍高官の指導で作った<砂の壁>は地雷原なのだ。<砂の壁>は、北はアルジェリア国境線から南はモーリタニア国境まで全長2500キロメートルもある。 8,851キロメートルの<万里の長城>ほど長くはない。 1キロメートルあたり1億円もかかるイスラエル防御壁の様に立派ではない。 <砂の壁>は瓦礫を2メートルほど積み上げたお粗末な壁だ。 しかし、10キロメートル毎にモロッコ軍の小要塞があり、戦闘機や戦車などで重装備した約16万のモロッコ兵が展開している。
  問題は、モロッコ占領軍が<砂の壁>の両サイドに、50メートル幅の地雷原を作っていることだ。しかも、地雷は砂嵐や洪水で砂漠を漂流し、<砂の壁>から20キロメートルも離れた地点で、2009年の様に地雷犠牲者を出してしまう。西サハラの地雷犠牲者もエジプトのエル.アラメイン砂漠と同様に、地元の遊牧民と動物達なのだ。

  何故、モロッコ宗主国はこんな恐ろしい悪魔の防御壁を作ったのか? 西サハラを自国領土にしようと企むモロッコの、強引な領土略奪戦略史を見てみる。
  1975年、西サハラの旧宗主国スペインが撤退するとすかさず、モロッコは西サハラ北部に軍事侵攻し、西サハラ住民の大部分を追放した。難民化した西サハラ住民はアルジェリア砂漠の難民キャンプを拠点に、西サハラ独立運動体ポリサリオ戦線の体勢を整え、占領軍との軍事闘争に突入する。
  1979年、モーリタニアが西サハラ南部から撤退した後、モロッコ占領軍は西サハラ全土に展開していく。
  そして1981年から1987年にかけ、ポリサリオ戦線の攻勢を防ぐために、モロッコ宗主国は西サハラの北から南へ縦断する<砂の壁>地雷原を作ったのだ。
  1991年、国連がモロッコ帰属か西サハラ独立かを決める<国連西サハラ住民投票>を約束した。一旦、モロッコは国連投票を受諾する。が、投票での敗北を予測し、国連投票をボイコットした。
  以後、現在に至るまで19年間、西サハラ住民は<砂の壁>地雷原で分断され、大部分はアルジェリアの難民キャンプで、残りは西サハラ.モロッコ占領地で、<国連西サハラ住民投票>を待ち続けているのだ。

◆地雷は誰が片付けるのか?

  「条約がどうあれ、地雷を埋めた犯人が地雷の後片付けをするものよ」と、西サハラ難民キャンプ地雷センターで働くノルウェーNGOのクリステインは語る。
  クリステインによれば、エル・アラメインの場合は、ここに地雷を撒いたイギリスとドイツが犯人になる。一方、西サハラの場合は、モロッコが犯人だ。しかし、モロッコは条約に加盟していない。 そして、国連はモロッコの西サハラ領有権を認めず、西サハラの領有権は国連の預かりになっている。
  「西サハラは国連の委託になっているのだから、国連が西サハラの地雷を除去すべきなの! 国連投票と同じで、要は国連にやる気があるのかないのかってことよ!」と、クリステインは語気を強める。

  2005年、西サハラ独立運動体ポリサリオ戦線は、スイスのジュネーブ・コールに署名した。ジュネーブ・コールとは、ポリサリオ戦線のような非国家体の地雷放棄宣言をジュネーブ州が証人として受け取り、國際地雷全面禁止キャンペーンに参加させる活動のことをいう。
  2007年10月から2008年3月まで、ジュネーブ・コールに呼応したポリサリオ戦線は、モロッコ軍から奪った753発の地雷やクラスター爆弾などを処理した。
  同じ時期に國際社会から地雷除去を迫られたモロッコ占領軍は、600万個の敷設地雷のうち僅か759個だけを処理した。

◆米軍は地雷も持って帰れ!

  「イラクでは約2万の米兵が、歯ブラシから戦車まで7年間に渡る軍需使用品の荷造りに取り掛かった。引越し費用は約15兆円。何をアフガニスタンに送るか? 何をアメリカに持って帰るか? 何をイラクにくれてやるか? 仕分けをしているとこだ」と、アントニー・ポテンゾーネ米軍引越し係りは語る。(2010年3月29日、米国テレビCBS)
  18億円のアパッチ攻撃ヘリ、5億1千6百万円のMIAIエイブラムス戦車、その他武器弾薬も含め高価な軍事機器はまずアフガニスタンに送る。米国まで持ち帰りの品々は、4500台のトラック.コンボイでクウェートとヨルダンの港へ送り、船積みする。

◆米軍は何か忘れてませんか?

  米軍がイラク全土にばら撒いた星の数もある地雷や不発弾など、、どうしてアメリカに持って帰らないのですか?
「地雷の値段は3ドルから30ドル、、そんな安物に高い運搬費をかけれない」とでもいうのですか?

  地雷は安くない。 地雷が奪う人の命や足、、それは金に換算できない高価なものだ。
  地雷はとほうもなく高額な付加価値を持ち合わせているのだ。
  米軍は自身がばら撒いた地雷やクラスター爆弾や不発弾を撤去する義務がある。確かにアメリカは<対人地雷全面禁止条約>に加盟していない。しかし、國際法上、人道上、地雷撤去はばら撒いた国が責任を負わなければならない。
  アメリカはハリウッド製戦争アクション映画ではなく、本物の<ハートロッカー>キャンペーンを展開して、イラクの地雷や不発弾を除去すべきだ。
  それが嫌なら、引越し荷物の中に地雷などを混ぜて、アメリカ本土にお持ち帰り願いたい。 戦車のように場所は取らないのだから、、、
             文:平田伊都子.ジャーナリスト
             写真:川名生十.カメラマン

地雷をもっと知りたい人へのお誘い

第24回中部地雷問題支援ネットワーク講演会

主催:中部地雷問題支援ネットワーク代表.白井敬二
講演内容:無差別兵器の危険から市民を守りたい
?対人地雷全面禁止条約発効後10年の成果と課題
講師:白井敬二(JCBL会員)
?クラスター爆弾禁止条約発効の意義と展望
 講師:北川泰弘(JCBL代表)
日時:2010年5月30日(日)午後2時〜5時
場所:なごやボランティアNPOセンター12階集会室
費用:無料
連絡先:TEL.FAX 0566−82−8966 (白井敬二)




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