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「解釈と鑑賞」と「国文学」コミュの解釈と鑑賞 H18-5 特集:説話・物語の異空間

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せっかくだから、輪読めいた意見交換でもしませんか?
特集テーマに関心のある、読了した人が早い者勝ちでトピ立てするということで。先陣きらしてもらいます。

『国文学 解釈と鑑賞』平成18年5月号
特集:説話・物語の異空間

【目次】
・「異空間」への招待 (仁平道明)?
■上代の異空間
・高天原の形成―天原から高天原へ (青木周平)
・吉野―『万葉集』の異空間 (辰巳正明)
■仏教世界の異空間
・浄土―浄土三部経 (松岡智之)
・閻羅王闕と地獄―『日本霊異記』及び中国説話から (河野貴美子)
■中古の異空間
・「月のみやこ」―『竹取物語』の異空間 (仁平道明)?
・「歌さへぞひなびたりける」―『伊勢物語』の「みちのくに」 (山本登朗)
・波斯国―『うつほ物語』 (室城秀之)
・六条院と物の怪―「六条の古宮」の〈家〉と〈血〉 (小嶋菜温子)
・日唐の綾なす異郷―浜松中納言物語 (中西健治)
・天竺・震旦―『今昔物語集』の三国仏教史観のなかで (森 正人)
■中世・近世の異空間
・「きかいが島」のさまざまな見え方―『平家物語』の記述の多元性と偏向性 (佐倉由泰)
・熊野本地・敦煌資料・如意輪観音―東アジアのなかの日本 (牧野和夫)
・「龍宮」という名の異郷とそのイメージ―御伽草子『浦島太郎』における異郷表現の変遷 (林 晃平)
・大江山―『酒呑童子』 (石川 透)
・しのだのもり―信太・信田・篠田 (田口和夫)
・女護の島―『好色一代男』『伽婢子』を中心に (渡辺憲司)
・「白峯」―上田秋成『雨月物語』 (長島弘明)
・『風流志道軒伝』の異空間 (空井伸一)
・『遺老説伝』の中の「竜宮」 (田畑千秋)
■研究の手引き
・「説話・物語の異空間」研究文献目録抄 (森沢真直)
■新刊紹介
・松尾葦江編『海王宮 壇之浦と平家物語』 (麻原美子)
■連載
・近代訳語を検証する33(杉本つとむ)
・鴎外 その出発122(竹森天盛)
・本・人・出版社88(紅野敏郎)

コメント(7)

民俗学的文学研究の立場から、寸評させていただきます。

特集において異空間という術語を用いた理由を二瓶は「さまざまな空間のあり方をとらえるために、共通の定義・理解もないまま、しかし限定された意味を付与されることも多い「異界」「異郷」あるいは「他界」という言葉ではなく、“「まだ熟していない概念」である「異界」”よりもさらに「熟していない概念」というべき「異空間」を用いることを考えてもよいのではないか。」(二瓶?論文:p11-12)と述べている。
二瓶が異空間という術語をもちいたねらいは、節をまたいですぐ後に来る「といっても、異空間としてのさまざまな空間のあり方を広く「異空間」としてその性格を規定して、ことが終わるわけではもちろんない。例えば、説話・物語に語られるさまざまな「異空間」がどのようにして形成されたのか、その「異空間」が説話・物語の世界における“こちら側の区域”“この世界”とどのように関わり、どのように作用するのか、“この世界”のあり方をどのように逆照射するのか、等々、考えるべきことは多い。」(同:p12)という文章に現れている。
要は、いささか手垢のついた術語を綜合して見渡すことのできる、より零度に近い術語を用いて、文学における此岸と彼岸を考えていくという試みだと思われる。

しかしこうした問題意識を執筆者がはたして持ちえていたか。「異界」「他界」「異郷」記述の概説もしくは典拠・源泉追求もしくは展開論に終始してしまった論稿が多い、と読まざるを得ない。
この世界と重なり立ち現れてくる、すなわち“この世界”がなくては記述し得ないがゆえに“この世界”を逆照射しうる“あの世界”を定位するための述語として「異空間」を使いえたのは、『竹取物語』の「この国」と「蓬莱・天竺・もろこし」と「月のみやこ」をめぐる空間軸を指摘した二瓶論文?、「古宮の家霊」の異界からのまなざしという「異界」と重なる場所にある六条院の栄華は「六条の〈家〉と〈血〉」の終焉により崩壊に向かうと指摘した小嶋論文、秋成は「白峯」で「眼前性のことばをもって読者を西行と崇徳院のもとへ誘う=異界を読者の前に出現させる道行文・記述の目線」を達成していると論じた長島論文、くらいではないか。
他の論文はいずれも従来の空間論・異郷論の範疇で論じ切れるのではないかと思わざるを得ない。
問題意識の共有が徹底していない状況で「異空間という言葉は熟していない」と開き直るのは、少々時期尚早ではないだろうか。このまま共通認識なしに「異空間」という術語を使い続ければ、森さんが「はじめまして」トピで「「異界」が廢れて「異空間」になったわけでせうか」と発言されていた、そのとおりになってしまうだろう。

「「説話・物語の異空間」研究文献目録抄」には期待しただけに、いささか拍子抜け。
国文学研究資料館の成果に頼ったからだろうが、1980年代後半の境界・異界論の理論支柱になった宮田登の都市民俗論・怪異論への目配りが全くなく、有名どころでは田中貴子『百鬼夜行の見える都市』(新曜社1994)、小松和彦ほか『異界が覗く市街図』(青弓社1988)、歴博の企画展示の成果『異界万華鏡』(歴博2002)『異界談義』(角川書店2002)などが採られていない。
目録にアクセスするだけでも一手間だったころならいざしらず、このweb時代、そのくらいなら自分で「国文学論文目録データベース」を引きますよ。これからの研究文献目録は、インデクサーの才覚で関連領域に積極的にはみ出していくようにしなければ、その意義が失われるのではないかと思う。

なまいきなものいい、しつれいしました。
異論反論、触れなかった論文への言及など、よろしくお願いいたします☆。
>実は、昨日、同じようなことを書こうとして、
>なにぶん、昨晩の飛行機で移動してきたため、
>そのまま睡眠。

考えることはみなおなじ、
神の子供たちはみな踊る、
同じあほならおどらにゃそん、そん、
ということで、こんごともよろしくおねがいします。
次号予告は「内向の世代 最後の純文学」
巻頭インタビュー「小川国夫先生に聞く」
小川国夫を筆頭に、辻邦夫・後藤明生・阿部昭・坂上弘・古井由吉・加賀乙彦・三木卓・日野啓三・三枝和子・高橋たか子・大庭みな子・富岡多恵子・金井美恵子・秋山駿・磯田光一・桶谷秀昭らを論じる特集です。

気付きませんでしたが、H18-5号で「解釈と鑑賞」は900号の節目でしたね。あんまり気にしてないみたいですが。
 この論理が今ひとつ釋然としないんですよね。
>“「まだ熟していない概念」である「異界」”よりもさらに「熟していない概念」というべき「異空間」を用いることを考えてもよいのではないか。

……まだ不十分なものよりはいっそ全然不十分なものを、ってそれ普通、開き直りとかヤケクソとか言ひますから。
 語に着いた手垢を払拭したいのには同情しますが、その爲に概念の抽象度を上げると、理論的には何でも當て嵌まる代りに經驗的には何にも役に立たぬ空疎な一般化になりがち(と、マックス・ウェーバーも言ってゐたやうな)。
 まあ新しい術語を掲げるのは、雜誌が新味を賣りにする以上は仕方無いことかもしれませんが、標語を新裝しただけでは中味まで刷新できないのは知れたこと、そこでどう工夫するかですが……。
 新造術語では、「言語態」とかも駒場東大以外は使って貰へず、空振りしたみたいで。命名の才を發揮するのはむつかしいものです。

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