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エリック・アンダースンコミュの13:「MIDNIGHT SON」

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13:「MIDNIGHT SON」
CBS Norway, (Jap:エピック 25・3P-252)
(released in Europe, 1980. Rereleased on CD
1992 Columbia Sony (Norway), remastered by
Morten Lund, Masterhuset)
Produced by Eric Andersen and Brad Stahl;
Musicians: Randy Ciarlante: drums; Brad Stahl:
bass; Robert Lustgarten: electric and Spanish guitars,
Tom Patrick Salisbury: keyboards; Backing
Harmonies: Brad Stahl and Robert Lustgarten.
Cover photo: Roger N. Olsen.
CD/Columbia 471677 2.

1. It Must Be Love (EA/ Artie Funaro)
2. Rock 'n Roll Woman
3. Midnight Son
4. Walked Out the Door
5. Picture of my Heart
6. Norway
7. Who's Gonna Keep my Love
8. Come Runnin' Like a Friend
9. Don't Cry Now
10. Thurman
11. Messiah

 前作「スゥイート・サプライズ」から4年ぶりに発売されたオリジナル・アルバム。アリスタとの契約は一旦終了したようで、その時期にエリックは78年に日本(2度目の来日)、80年には北欧やヨーロッパを廻るツアーなどを敢行し、演奏活動に再び活気を見出していた時期だったようだ(プライヴェートでは長年連れ添った愛妻デボラと別れ、ゾナ・タンデンという新しい恋人を連れて活動している。本作は”ゾナに捧げる”というクレジット在り)。

 しかしながら60年代からの生き残り組には、既にレコードを作るのが段々と難しくなっていた頃のようで(本作の日本盤ライナーで、中川五郎氏がトム・パクストンやティム・ハーディンを引き合いに出し、その辺の事情を解説している)以前からレーベルとの関係に翻弄されて来たエリックとしては、商業主義を前面に出しつつあるレコード会社や、本国での作品制作に疑問があったとしても全く不思議は無い。

 そういった時期に北欧で熱烈に受け入れられたという事情もあったのだろう。エリックはノルウェーのCBSから本作をリリース(録音はオスロで行われた)。諸事情もさることながら、自分の音楽を受け入れてくれた聴衆に感謝し、北欧のミュージシャンと新しい音を生み出そうという心意気が窺える作品だ。当時はヨーロッパや日本で発売されたのみに留まっているけれども、本作は全て新曲で構成されており(日本公演で演奏された曲や、リハーサルで披露していた曲も含む)、エリックが並々ならぬ情熱を注いだ事は想像に難くない。プロデュースはベース奏者のBrad Stahlとの共同名義だが、エリックの意図は十分反映されているのではないかと思う。

 1曲目「It Must Be Love」はツアーメンバーだったアーティ・フナロ(後にケイト・ブッシュなどと活動)との共作だが、ジェントルでスローな曲調が味わい深く本作に期待をしてしまう。そこから一転して2曲目からはレゲエ・ニュアンスのリズムも飛び出すが、基本的にはアップテンポのストレートな80年代型R&Rが数曲続く。同時期のルー・リードやディランにも共通する、シンプルなバンド・アンサンブルでリード・ギターが引っ張る形式のもの。Robert Lustgartenもツボを得たシャープな演奏で頑張っているのだけれど、それがエリックの歌と相性が良いかと言われれば少し疑問がある(特にエレクトリック。Lustgartenがアコギを持つとそこまで気にはならないのだけれど・・・)。SSW風ロックの、シンプルさ故の難しさでもある。ただ、個人的に気になるだけなので、前向きなエリックが好きな人には快く響く筈だ。
 そしてこのアルバムのハイライトは、言うまでも無くアルバムB面にある。現在まで歌われる代表曲「Come Runnin' Like a Friend 」の厳かで感動的な雰囲気、そしてタイトルのフレーズを含むリフレイン部分の味わい深さ。これぞエリック!(笑)続く「Don't Cry Now 」では久しぶりにリズム展開を凝った形跡があり、単にフォーク・ロック風とは言えない作りでこれも聞き逃せない。そして次の曲ではマーチ風のリズムが出てきたりと、未だ落ち着く様を見せないエリックの姿勢を十分に見せ付ける柔軟なセンスが嬉しい。
 
 ”名盤など作るつもりもない。ただ今のままを歌うだけ”とでも言いたげなエリックの意志が感じられるアルバム。中川氏はライナーの中で、本作の音を聴いて感動したり哀しくなったりして混乱する様をストレートに記しているけれども、エリックを愛する人であれば皆そうなってしまうに違いない。自分を囲む様々な状況にもひるまずに歌を未だに歌い続けるエリック。歌には繊細な感性を漂わせながら、実際にはタフで前向きな意志を併せ持つアーティスト。そんな”人間的な”彼を愛する人が多いのも今更ながら納得してしまう。そして、その個性は確実に本作にも大きな魅力を与えていると思う。

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