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源氏物語で盛り上がろうコミュの【感想】 円地文子版源氏物語

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新潮文庫 全六巻

敬語や丁寧語が大変美しく物語世界に引き込まれます

官位や地位で名を呼ぶので源氏や頭中将がその巻で今どの地位なのか知っておくと良いです

直訳でない表現や加筆があり、一瞬あれ?と思う事もありますが源氏物語の内容との違和感は無く紫式部の想いを円地文子氏の解釈で膨らませ昇華させた形で表現されており原文では数行の内容を数ページ分で表現している素晴らしい訳です
幼い頃から古典に親しみ源氏物語をこよなく愛する訳者が命を削って執筆した現代語訳なだけあり品位の有る略文をたっぷりと愉しめます

ページごとの和歌の訳もついていますが大変簡潔に意訳をしておりすんなりストーリーを読み進めます
逆に言えば和歌をメインに深く楽しみたい人には物足りないかも・・・

各巻に瀬戸内寂聴・石田衣良・山本淳子・大塚ひかり・酒井順子・林真理子の蒼々たる様々な作家や研究者の良い解説がついておりそれも愉しめるお薦めの現代語訳です

コメント(9)

日本の古典ノベル 源氏物語抄 円地文子 昭和57年5月1日初版 学習研究社

幼いころから古典と共に育ち源氏物語を愛する円地文子氏は、原文の魅力や作者の意図を膨らませ昇華させた形の名訳で知られる作者です

円地版は様々な源氏物語関連本かあるのですが、この本は「抄」と名の付く如く各帖のあらすじを簡潔にまとめているのですが円地版の良さを失わず源氏物語の内容を俯瞰でしかも文学的に理解する上では最上の現代語訳要約本です

全帖を7章に分けており各章扉ににその章の系図も書かれており要約ながら文章表現も美しく大変読み易くなっています
若人の時代を描いた「輝ける青春」、須磨明石の流浪の日々の前後を描いた「漂泊の日々」、都に戻ってからの繁栄を描いた「たちかえる栄華」、夕顔の娘とのエピソードを描いた「玉鬘物語」、三の宮柏木事件と紫の上との別れを描いた「晩年の悲劇」、新たな舞台と物語を描いた「八の宮の美姫」、そして宇治十帖後半を描いた「浮舟の行方」と円地版の原文の心を膨らませた名訳が簡潔に愉しめます

膨大な源氏物語をすらすらと読め入門者にはうってつけで逆に研究者には各帖振り返りの参考書になる良い本です
こちらに移動転写

源氏物語 1 円地文子訳 平成20年9月1日発行 新潮文庫

再読。
現代語訳では雅で格調高くありながら氏の「読み」を表現した創作小説と言う付け加えが多い一番面白い訳。
幼少期から親しんだ源氏物語を学者や専門家達と原文を訳し感想を述べ合う研究会を得ながら命を削って創作した名訳。
文庫版は全6巻でこの巻は重要な桐壺から前半クライマックスの葵まで!

夕顔の人物造型は夕顔遊女説や頭中将勘違い説等様々な説がある中前者の造型で構築。
六条御息所についても原文の曖昧さを超え生霊として造型している。

原文を研究していると現代語訳の訳者個々の人物造型や物語構成の違いが判り面白い。
こちらに移動転写及び加筆

源氏物語 2 円地文子訳 平成20年9月1日発行 新潮文庫

再読。
省略と付け加えが絶妙な円地訳。
基本的に訳者の個性が出ていて敬語や尊敬語の有る訳を手に取る趣味趣向があるのでその中では一番好きな訳者。
この巻は帚木から槿(朝顔)まで。
須磨落ちから出逢いの明石を挟んで六条御息所との別れと再会、様々な女達との再会と光の上昇気流を描く。

和歌の前後の文章がその歌に至った過程も描いていて解り易いし場面変換で段落を開けてくれているので状況を理解しやすい構成になっている。

付け加えの文が雅で品が有り物語世界を巧く膨らませていて読みやすい。

個々の名称が良く変わるので留意!


 しかし、松風・薄雲で突然描かれる光源氏の別邸「桂の院」(後に桂離宮のモデルになった)は、澪標・絵合・椎本にも匂わせる記述はあるものの、二条院・六条院・三条邸に比して謎の多い場所であり、宇津保物語との類似性等様々な論があるが作家による描き方の違いを探すのも面白いかもしれない!
紫の上自身も大堰の里との混同の節があり、ややこしい場所でこれからも色々調べたい!

謎とは別に「桂の院」の饗宴は大変雅に描かれていて、後に平安時代の宮殿を真似て江戸時代に桂離宮を造営した思いが判る!
何が確かめたい時は原文及び円地文子訳、与謝野晶子訳が三段掲載されたサイトを見るのが習慣ですが、実は最近まで円地訳の方が古いものだと思い込んでいました(両者の活躍年代を考えればすぐに分かりそうなものなのに)。
古式ゆかしい表現が多く、特に女性たちを「女王」と表現する事が印象に残ります。逆に与謝野訳は進歩的でハキハキした表現が多かった為こちらが新しいと感じていた次第でしたが、円地訳の方が後からだった事を知り彼女が新たに現代訳を志した方向性が理解できたように気がします。
おそらく与謝野訳のはきはきした印象を、もっと奥ゆかしく余韻を残す雰囲気にしたかったのでしょう。育ちの良さが感じられる優雅な文章だと思います。

些か皮肉めいた言い方をしますと、もう今後は円地さんのような文体表現を使われる作家さんの誕生は難しいと思います。創作活動が誰にでも可能な世となった昨今、上流階級の方々で作家を志す人達が形成した近代文学の世界観は既に終わりましたから。
源氏物語 3 円地文子訳 平成20年10月1日発行 新潮文庫

再読。
美しい敬語が心地よい円地訳。
光の栄華と玉鬘十帖を描いた乙女(少女)から藤裏葉まで。

夕霧に六位から学ばせる道を選ばせる光の思惑は後々成功し後に夕霧は政権の中枢に・・・。
五言律詩や絶句等上達部や殿上人の雅な漢詩の趣を愉しんだり
雲居の雁と夕霧の恋は後々世帯地味た子沢山の肝っ玉母さんになるとは想像できない初々しさ!
ここでも小侍従等女房が活躍!

良清のその後、真面目のはずが惟光の娘にちょっかいを出す夕霧、弘徽殿の大后のその後、六条の御息所の御殿をちゃっかり戴いた光が造成する六条院の様子等色々楽しめる「乙女」。

苦労して撫子の君を育み都に来た乳母の手柄を取ってしまう形の右近の活躍を観れる玉鬘十帖は、狡賢い好色光の手からまんまと奪う髭黒大納言と光るよそうは行くかの内大臣(昔の頭中将)の思惑や動きが愉快で、親ずらしながら世間体を気にしつつ好色な光の思惑通り行かないエピソードの序盤の様子が面白い!
内大臣との政治的駆け引きも面白いし、玉鬘の光(太政大臣)・内大臣・髭黒大納言と言う三大巨頭の後見は幸せそうでいて、はて本当の幸せとはと考えさせられたり、光の雅で優雅な栄華の生活や行事も愉しめる巻で、やはり円地訳はそこの心情が巧く表現されていて面白い!

「梅枝」では光と六条御息所との出逢い的なエピソードもあり、光の草子論と共に愉しめます!
「藤裏葉」ではついに頭中将(柏木)が表舞台にそして朱雀院と帝の六条院への行幸!

円地訳の様な美しい日本語の古典の訳文学は是非日本人として読み込んで欲しい本ですね!
源氏物語 4 円地文子訳 平成20年10月1日発行 新潮文庫

再読。
原文に無い文章が輝いている円地訳。
光の生涯のクライマックスに起こる様々な人々との喜怒哀楽を描いた若菜から雲隠まで。

この巻も六条の大殿(光)・対の上(紫の上)・衛門の督&権大納言(柏木)等官位や住居等で人物を表すので各帖冒頭の系図はありがたい!

女三宮降嫁から蹴鞠での事件前後の、柏木と光そして最愛の紫の上との関係性の心理描写が絶妙で、巻末の解説での大塚ひかり氏の柏木に嫌味を言う光の表情表現を例にとって原文と円地訳の違いと良さを説明・・・それは、その原文の心を味わい深く読者に伝える効果を呈している事が判ります!
しかも、その円地訳の文は格調高く美しい日本語で訳されていて原文の場面を映像化しやすい名文ばかりです!
逆に読者の想像に任せる原文表現は割愛し簡略化すると言う高度な訳を行っており原作者紫式部への敬意に裏打ちされた作家なりの意訳を読み取れます!

老いを感じ色恋より大切なものを知る壮年から老齢に差し掛かる光と光に関わる人々の人間模様を、原文の良さを膨らませた形で楽しめる円地訳を堪能あれ!

それにしても自分の事は棚に上げて、言い訳したりネチネチと人を責めたりして、その言動に対する罪の意識の薄い光は人間の理想像でありながら人間臭い造型がされていて面白いですね!

「鈴虫」での昆虫論や「夕霧」での雲居の雁と結ばれた頃と違う真面目でない夕霧や嫉妬に溢れた雲居の雁等世帯地味た物語も面白い!
「御法」での紫の上と周りの人々の心理描写は美しく哀愁に満ち絶品!

次はいよいよマニアックな「紅梅」「竹河」を経て宇治の物語へ
源氏物語 5 円地文子訳 平成20年11月1日発行 新潮文庫

再読。
雅でありつつ読み易い円地訳。
光亡き後を引き継ぐ貴公子と女達の様相を描く匂宮から宿木まで。

柏木の弟である按察使の大納言(北の方は真木柱)が色々な所で関り、玉鬘は前の尚侍、又は尚侍の君で子は5人、その中の中の君は既に明石中宮がいるが今生帝の妻、薫は源中納言→大納言、匂の宮は兵部卿の宮と今回も通り名でなく官位や住まいでの呼び名が多くあります。
その諸々の繋がりさえ克服できればマニアックな光と関わった人々のその後の人生を観れる紅梅・竹河を愉しめます!

橋姫以降はついに宇治十帖に突入!
言ってる事とやってる事がちぐはぐな薫の恋愛模様と出生の秘密のドラマを愉しめます!
ここでも円地氏の絶妙な訳を楽しめ、特に宿木は、浮舟の登場と、宮廷の有識故実や牛車の種類等々、年中行事絵巻を観る様な雅さがあります!

次巻はクライマックスである東屋から夢浮橋。
源氏物語 6 円地文子訳 平成20年11月1日発行 新潮文庫

再読。
原作に沿いつつ独自の個性を表出している円地訳。
ついに完結!
宇治川の激しくしかし優美な川の流れに翻弄される如くある浮舟を巡る様々な人々の関りと、これまでにない「生」と其々の人間心理を深く描く東屋から夢浮橋まで。

今回も薫は大将、匂宮は兵部卿と立場で表現し、女三宮は御母入道・入道の宮等々逆に複雑な関係性と立場による足枷や想いの違いが理解しやすい!

又、今文学界で失われつつある美しい相手を尊重した敬語や丁寧語が溢れていて日本語表現の素晴らしさを実感します!

北の方・浮舟・大尼君・横川の僧都と個性溢れる登場人物は過去の明石入道以上に興味深く物語に深みと面白さを増幅させています!

小生一番好物の「手習」も、これまでにない物語造型がされていて、どの訳も面白いですが矢張り円地訳が読者に心象風景をも読み込ませる表現の豊かさと美しさに満ちています!

巻末には古典文学に造詣の深い小説家で評論家の竹西寛子氏による円地文子氏が数々の試練と戦いながら完成させた円地訳源氏物語の成立エピソードと魅力が語られています。

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