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三船敏郎コミュのデビュー秘話

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私が集めた、本人及び、黒澤明以外の関係者の証言を元にしたデビュー秘話です。(敬称は略します。)


昭和21年、戦友の東宝のカメラマン大山年冶を頼って成城を訪ねるも「撮影部に空きが無いので、欠員が出るまでニューフェイスにいろ」といわれて、仕方なくニューフェイスに籍を置くことを承知するが、当時、撮影部には知らぬものがいないほど出入りしていたので、ニューフェイスの実技中に面接官が「笑ってください」というと窓の外から「三船、笑え!」と囃し声がして、生来照れ屋の三船は「笑いたくないのに笑えません」といい、面接官が「泣いてください」というとまた窓の外から「三船、泣け!」という声がして、「泣きたくないのに泣けません」となった。
一般には審査委員長、山本嘉次郎の推薦により補欠で入った事になっているが、本人が生前のインタビューで「撮影部のゴリ押し」「逆に山本監督は自分を落とそうとした」とはっきり否定。三船デビュー劇のキャストに残念ながらこの時点で黒澤明の名前は無い。

数ヶ月後、監督昇進の決まった谷口千吉が主演格の一人のキャスティングに悩んでいた。
ある朝、小田急線で撮影所長の藤本眞澄と乗り合わせた際、藤本に「どんなヤツがいいんだ?」と訊かれ、車内を見回し、「あんな奴がいい、たとえ素人でもいいから、今からあいつに交渉してみようかな」と谷口が指差した先を見て藤本は驚いた、「あれはウチのニューフェイスの、確か三船とか言う奴だぞ」
「えっ、あいつ東宝なんですか?じゃあ後で頼んでみよう」
「やめとけ、ありゃあ、ヤクザ者だ、試験の時、『ケンカ強そうだね』って訊いたら、『4,5人までなら勝てます』なんて言ってたぞ」
藤本の言葉もうわの空、谷口の決意は固かった。
専任講師の今井正の芳しくない三船評にも動じなかった。
その日の昼休み、早速、谷口は三船を訪ねた。
「僕、今度監督デビューするんだけど、よかったら出てくれない?」谷口は訊いた
「お断りいたします。」即答だった。
意外な答えだったが、むしろ谷口には心地よかった。
「何故?」
「自分は男のクセにツラでメシを喰うなんてことは御免です。」この言葉に谷口はますますシビれた。
「だって役者になるためにニューフェイスにいるんだろ?」
「自分は撮影部の空きが無いから、ニューフェイスのケツにくっついてるだけで空きが出来たら、すぐに撮影部に入る事になっています。」自らの判断に間違いがないと谷口は実感した。
谷口は毎日三船詣でをした。
しかし、なかなかイエスの返事はもらえなかった。
ある日、谷口は一つのことに気が付いた。他のものは毎日、精一杯めかし込んできているのに、三船だけいつも同じ服だった。他の服は無いのかと訊くと
「復員してから、この一着しかありません。」と答えた。
「どうだろう、この映画に出てくれたら、ギャラとは別に僕が君に一張羅をプレゼントするって言うのは。」谷口は提案した。
「考えてみます。」初めて貰った色よい返事だった。
翌日、三船は出演を快諾した。
谷口は一人、作品の成功を確信した。

しかし、三船は周囲の評判とは裏腹に現場で八面六臂の活躍を見せた。
毎朝、宿舎の掃除をし、雪山で何十kgもある機材を率先して担ぎ、撮影隊をリードした。
谷口は人の噂は当てにならんと痛感した。
だが、この時点でも、なお三船は役者で身を立てることに前向きではなかった。
撮影終了後は晴れて撮影部に栄転だと思っていた。
そんな中、俳優三船に底知れぬ可能性を見出した者がいた。
この作品の共同脚本を盟友谷口と共に手掛け、編集も引き受けていたが、クランクイン前に浮かれている谷口に「千ちゃん、バカだな、大事なデビュー作にあんな与太者を起用するなんて、途中で逃げられたらどうするんだ。」と否定的に忠告した男だった。誰あろう黒澤明である。

黒澤は現場からあがってくるラッシュを見て三船に一目惚れをした。
また、谷口から三船評を聞いて「あれ、いいな、千ちゃん、次、貸せよな。」といった。
俳優業に前向きでない事を感じていた谷口は黒澤に例の一張羅の交渉術を伝授した。
黒澤は言われるままに実行した。

かくして世界映画史上最強の「クロサワ×ミフネ」コンビが誕生した。
三船は東宝争議で撮影部に上がれないことを実感し、また、黒澤演出に演じることの楽しさを見出したこともあり、俳優業に身を投じる決意をした。

なお、デビューに際し、谷口、黒澤両監督から贈られた一張羅は今も三船プロに保管されている。


黒澤明の証言を裏付ける当事者の証言を私は聞いたことが無いので、私は黒澤説には否定的ですが、
一般には黒澤説のほうがドラマチックではあります。ですが、三船のカッコよさはこちらの方が数倍上だと思います。

コメント(58)

>仏罰
ハヌマーンに握りつぶされるとか?
まさに豪放磊落・・・まさに菊千代様だww
星野と申します。はじめまして

いやーかっこよすぎ。
現代の若い女性の多くが三船のかっこよさを
知らないのが残念でなりません。

しかし『銀嶺の果て』観たいなあ。
>銀嶺の果て
DVD出てますよ。私も先日購入しました。
谷口監督がホレ込んだのも納得のカッコ良さです。
http://dvdshop.toho-a-park.com/asp/ItemFile/10000256.html
>>軍曹さん
ありがとうございます!
しかし戦争からわずか2年後ですか…。
やっぱり三船敏郎めちゃめちゃかっこいい!
父親が好きで黒澤明の有名なやつしか見てないけどやっぱりかっこいい!!もっとプレイボーイっぽいんかと思ってましたけど、余計すきなりました
はじめまして。
黒沢映画が大好きです。
その中に出てくる、三船敏郎本当にかっこ良いですね〜。

>反之内拓哉さん
 また、三船敏郎のエピソード教えて下さい。
はじめまして。
三船敏郎が大好きです。
スクリーンの中の彼は本当に素晴らしいです。

よろしくお願いします。
はじめまして。三船社長のファンです。

デビュー秘話、かなり本当っぽいですよね。
どのようにして取材したのか教えて頂けないでしょうか。

宜しくお願い致します。
>どのようにして取材したのか教えて頂けないでしょうか。

まず、「蝦蟇の油」に書かれていることを疑ってみることですね。

次に当事者の話を総合し、見えない部分を推理し、改めて、当事者に取材する。

その繰り返しです。

私は(三船さんの出ている)黒澤映画は好きですが、黒澤さんは別に好きではないし、梶原一騎先生が自身の創造したキャラクターのような人格ではないのと同じように、黒澤さんを三十郎や赤ひげと同一人格とは見なしていないし、神格化もしていないので、ファンの人には申し訳ないですけど、彼の発言は第三者の裏付けがないとちょっと信用できないですね。

「蝦蟇の油」が「影武者」の撮入を理由に「羅生門」のグランプリの件で終わるのはあまりにも暗示的過ぎると私は感じているくらいです。
>32
解説有り難う御座います。

私、昔三船プロにいた事がありまして、その頃聞いていた話とか、それ以上の話やそれ以前の話が沢山盛り込まれて居たので、興味をそそられました。

私の持っている社長像に、かなり近い感じがしました。


>次に当事者の話を総合し、見えない部分を推理し、改めて、当事者に取材する。

とても行動力のある貴重な取材力ですね。
また面白いエピソードをお願いします。

色々なエピソードを集めて出版とかは考えていないのですか?
それだけの価値は、あるのではないかと・・・・・「三船敏郎一代記」のような・・・・。
>色々なエピソードを集めて出版とかは考えていないのですか?
それだけの価値は、あるのではないかと・・・・・「三船敏郎一代記」のような・・・・。

私の知っているエピソードは今となっては関係者の多くが鬼籍に入っているため、私自身、裏の取り難いものばかりだし、本にするほど沢山あるわけではないので、難しいと思います。

むしろ、私の知りえる事柄を元に映画やお芝居を作りたいと思っています。

それはそうと、ワイルドバンチさんは「三船プロダクション前」のバス停がいつの間にか「成城八丁目」という名前に変わっていたのをご存知でしたか?
あれはいささかショックでしたね。
えっ!!!!!!!!
なんと!!!!!!!!
・・・・・・・・消滅しましたか・・・・・。

たまに前を通る事があると、
「撮影所はもう無いのに、バス停は変わらないなぁ」
と思っていたのですが・・・。


>むしろ、私の知りえる事柄を元に映画やお芝居を作りたいと思っています。

大変かもしれないけど是非、実現させてください!
楽しみにしています。
「三船プロダクション前」っていうよりも、どちらかというと「三船プロダクション入り口」、もしくは「三船プロダクション手前」って感じでしたけどね。
初めまして。
モノクロの頃の黒澤映画に出ている三船が好きです。
「七人の侍」「用心棒」「隠し砦の三悪人」・・・
どれもこれもほんと格好良い。

演技的には、あまり器用ではなかったように想いますが、
柄で勝負するといふか、
J・フォード映画におけるJ・ウェインのように、
黒澤映画に出ていると歯車が噛み合い、光り輝いていましたね。
あんなスケールの大きい日本人俳優は二度と出ないかと・・・

人間・三船敏郎については、よく知りませんので、
このコミュニティは面白いです。
はじめまして。

反之内さんの記事を楽しく読ませていただきました。
そういう話もあったのですか。
所有する昭和22年〜25年頃のいくつかの映画雑誌における三船敏郎に関する記事にも「デビュー秘話」がいくつか載っていました。諸説があるようですね・・・。

また、文中にある「所長の藤本眞澄・・・」とあるところは「森田信義」の誤りではないだろうか?藤本眞澄は制作者ですし・・・。

反之内さんが聞いた話を確認する方法としては、まだ存命している谷口監督に直接聞いてみてはどうだろうか?あるいは、三船敏郎と同期である伊豆肇・久我美子・岸旗江に聞いてみる手もあるのでは??

ダメもとでやってみる価値はあると思います。
期待しています。

また、三船プロダクションも懐かしいです。三船敏郎が亡くなる数年前に、趣味の1つであるポタリングで通りかかった際に、「ここなんだぁ」と建物を眺めていたら、一人の老人が話しかけてきました。「んぁ?」とその人を見たら、三船敏郎本人でした。

これにはびっくりしましたが、三船敏郎の出た映画についての話を少ししたら、嬉しそうに聞いていたのが印象的でした。

バス停名もおっしゃる通り変わってしまいましたね・・・。

ではまた。
はじめまして、
最近私の中で密かな三船ブームが巻き起こっています。
こんなにたくさん私のような方がいらして嬉しいかぎりです。
よろしくお願いします。
反之内さんへ質問です。

トップにあるエピソードですが、これとほぼ同じ文が、【黒澤明と早坂文雄】(西村雄一郎著:筑摩書房)における「三船敏郎の登場」および「銀嶺の果てでデビューした3人の新人」項にあります。

どこかで読んだようなエピソードだなと、この本を読んだらほとんどそっくりであったのは驚きました。本当に貴殿が集めた証言なのでしょうか?
>ガンちゃんさん

その本は未読です(というか存在も知りませんでした)が、さまざまな文献による情報収集が含まれているのは事実です。

その点、冒頭で説明が不十分であったことはお詫びします。
先日、反之内師傳から、鷺巣さん(元東宝特殊技術課。後にピープロ社長。故人)の著書に書かれた上記エピソードを読ませてもらいましたが、挿し絵に描かれた、復員してきた時のままの軍服を着て、不敵な直立不動で谷口監督の質問に答える姿が格好よかったです。
今日、久々に近くを通り車の中から観てみると・・・・、
「三船プロ前」
改め
「成城八丁目」
はなしを読んで… 
かっこよすぎて 好きすぎて涙がなんか止まりません。
あたしまじで彼氏つくんないで一生敏郎さんに片思いでいいです涙ハート
三船×黒沢の初作品ですか、「銀嶺の果て」。

・・・気絶しそうです・・・・
ハートブレイクと申します。
マチコさんのような若い女性が世代を超えて、三船の魅力にやられちゃうって、い〜な〜!!
本当にいいよね!!
アリガトウ!!

ところで「銀嶺の果て」は三船のデビュー作で、谷口千吉監督作品です。
因みに谷口千吉は、八千草薫の旦那さん…

次が「酔いどれ天使」で黒澤作品…
三船の魅力に映画全体が持って行かれたっていう、黒澤監督の話は有名(?)です…
いえいえあれを観て何にも思わない女はいませんよ、みんな知らないだけでは・・・?なんて思ってしまうくらい三船さんの魅力はすんばらすぃ〜です

「酔いどれ天使」も観ました〜〜〜カッコよかったです・・しっかーし!私はスーツなんか着ないでもっと野性的な三船さんが好きだっっ(「静かなる決闘」も同じく〜)

「銀嶺〜」は私的にドンピシャ  
初出演であの存在感はやばいですよね???タダモノならぬ気配しますよね???(((゜Д゜;)))
ちなみに「酔いどれ〜」のメイクはやりすぎでは??ww

谷口千吉は、八千草薫の旦那さんでしたか、私次は「隠し砦の三悪人」が観たいと思ってるのですが、確か姫役が八千草薫さんでしたよね?

・・・TUTAYA行こっ・・・
間違えました!
八千草薫さんが姫役なのは「宮本武蔵」でしたねw
谷口=三船コンビといえば、今月衛星劇場で「霧笛」やってますね。
李香蘭とのメロドラマかと思ったら、ちゃんと谷口アクションになっていて楽しめました。
> マチ子さん

『隠し砦〜』は上原美佐さんですねわーい(嬉しい顔)上原さんもとても素敵ですのでぜひ!
ルーカス自身が『スターウォーズ』の原型(ヒント)になったと語る作品ですし、三船さん自身も出演オファー(剣術の達人オビワンケノービ役。近年、美加さんが「ダースベーダー」と発言されていますが、オビワンの衣装デザイン画を見ると三船さんの顔で描かれています)を受けていました。

でも当時の日本(アメリカでもですが)では宇宙特撮冒険映画がエンターテイメントではなく荒唐無稽なB級映画というイメージだったので(日本ではアメリカより一年遅れの公開。タイトルも当初は『惑星大戦争』(!)の予定でした)出演を見送られてしまいました…。
この一本にさえ出演されていれば、晩年も…涙

おっと!トピからずれますので、これで失礼いたしますわーい(嬉しい顔)
> 真珠郎さん

》藤本真澄は森田信義では
》谷口監督に直接聞いてみては

こちらに書かれている谷口監督登場以降の文章は三船さんが亡くなられる少し前に出版された雑誌(確か1995年頃に発売された『浪漫工房』の〈三船敏郎特集号〉)の谷口監督ご本人へのインタビュー記事をそのまま写されていらっしゃるようですので間違いありません。森田信義さんではなく間違いなく藤本真澄さんとの会話でしたよ。
三船さんがベイダー役というのは、1作目でオビワン役を断られたルーカスが3作目でアナキン役で再度オファーして断られた話から来たのでしょう。
> 軍曹さん

私もそう思います。
ラストシーンで微笑むマスクを取ったアナキンが三船敏郎さんだったら…最高でしたね。そうなったらエピソード1以降の主役は日系人になったかも…わーい(嬉しい顔)

美加さん発言のおかげでWikipediaを始め虚が真実としてすっかり書き替えられているのは歯痒い限りですね。
第1作のベイダーならばデビッドプラウズ=素顔を出さない着ぐるみのスーツアクター役という事に!
少しでも考えれば誰でも判る事だというのに…!!ウッシッシ
『1941』ですな(^_^;)、スピルバーグ作品。
これ絡みで、スピルバーグ邸には三船敏郎直筆の表札が、と言うのを昔テレビで見ました。
『1941』の日本語吹き替え版は傑作ですよ。

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