ログインしてさらにmixiを楽しもう

コメントを投稿して情報交換!
更新通知を受け取って、最新情報をゲット!

VACCOS(読書会)コミュの青山真治氏「ユリイカ」の感想を書こう!!!!!!!!!!

  • mixiチェック
  • このエントリーをはてなブックマークに追加

ショボショボ管理人のdedeです。

青山真治氏「ユリイカ」を読まれた方は、感想を書きましょう!!!!!!!!!!

コメント(5)


この小説に迫ること出来ませんでしたがく〜(落胆した顔)

というのは、小説に出てくる地名が、個人的にかなり縁があって、また、方言の使い方ばかりが気になって、愛着を持ってしまったからです。

この小説に限らず、地方が舞台になった場合、方言が強い力を持って迫ってきます。昔はそうでもなかったのですが・・・・

でも、面白かったですよぴかぴか(新しい)
青山真治氏にとって、この小説はデビュー作。映画『ユリイカ』を撮り終えたあとで、それを自らノベライズ化したそうです。ちなみに、わたしはその映画をまだ観ていません。
さて、ここからはわたしの個人的な感想を綴って行きたいと思います。ネタバレありなので、ご注意を!!

えんぴつ一読して、熱意のある小説だと思作者にはどうしても伝えたいことがあって、それを書こうとしているのを感じる。

最初から、するりとこの作品世界に入れたわけではない。文体は回りくどい表現が多くて、読みづらい。群像劇に近いのか登場人物が多く、その人物関係を把握するのに時間がかかってしまう。謎かけの言葉が多い・・・。
それでも、読み通せた。読んでいるうちに、作者が伝えようとしたことを知りたい、という探究心めいたものが動いたから。

一九九二年八月一三日(調べたら、金曜日だった)。
源平合戦で敗れた平家の落人が拓いたという伝説の残る福岡の片田舎、甘木でバスジャック事件が発生する。
身元不明の犯人は、自分を含めた「十人」を抹殺することで、この世における最後の「役目」を果たそうとする。なぜ、十なのか? それは、犯人にも説明できないだろう。

バス運転手の沢井、直樹と梢の兄妹の三人だけが生き残る。
乗客を救えなかった沢井はバッシングを受けて、実家を出奔。
直樹と梢は「声」と家庭を失う。元ゴルファーの父・弘樹は飲酒運転の末に首の骨を折って死亡。母は弘樹の存命中から不倫を繰り返し、とうとう兄妹を置いて歳若い男と駈け落ちする。残された兄妹はログハウスに引きこもってしまい、二人の会話はテレパシーで交わされる。
事件現場で指揮をとった松岡は格下げになり、怠惰な刑事生活を送ることに・・・。

このバスジャック事件を境にして、四人の人生の歯車は狂う。生と死、殺人者と自分。二つを分かつものが実感できなくなってしまう。いつでも殺人者になり替われる「刻印」を捺された。

四人のなかで、最初に生と死に向き合ったのは、いちばん幼い梢だ。兄の直樹と買い物帰りに通りかかった踏み切りで
P.75 自分はあの時死ぬべきだった。死ななかった自分がいまここで死ぬ、その意味を考えた。あの時は死は外側からやってきたのに、それはいま自分の中から湧き出すように在る。死にたくない、と思った。

その後、梢は直樹を促して、自宅のログハウスの庭先に四つの墓を作る。バスジャックで犠牲になったおばあさんの墓、交通事故死した父の墓、駈け落ちした母の墓、そしてバスジャック事件の犯人の墓。今、ここに居ない人たちの墓を作ることによって、梢なりに区切りをつけようとしたのではないだろうか。えんぴつ
続きです。
えんぴつ
二年後、沢井は甘木に帰還し、直樹と梢の兄妹と同居を始める。そこに兄妹の従兄・秋彦も加わる。
同じ頃に、若い女性をターゲットにした連続通り魔殺人事件が発生する。通り魔は誰なのか? 沢井は自分の中に潜む殺人願望を知っているから、直樹に疑いの目を向けたのだろう。

四人は中古のバスに乗って、バスジャック事件の起った現場に戻る。出発点からの再スタートで、これは直樹と梢の「声」を取り戻すための再生の旅でもあった。

沢井と直樹が正面から向き合う駐車場の場面が印象的だ。
P.253 先に口を開いたのは、直樹の方だった。
「なして、殺したら、いけんとや」
恐怖に震え、重く澱んだ声だった。初めて聞く直樹の声だった。何よりそれが悲しかった。
「いけんては云うとらん」
そう答えるのがやっとだった。いまここの直樹に云うならそれしかなかった。

沢井は駐車場に放置してある自転車を見つけ、あれに乗ってバスに帰ろうと促す。殺すのなら、直樹にとって一番大切なはずのバスで待っている妹の梢を殺せと言っているのだ。
直樹をその荷台に載せ、沢井も自転車に跨る。すぐに自転車は駐車場の中を弧を描いて周回し始める。

P.256 「これで、ぐるぐるここを回っとくか、バスに帰って梢を殺すか、どっちにするか」
そう問いかける沢井に対して、直樹は「ここを、ぐるぐる、回っとく」と答える。
どうして、人を殺してはいけないのか? そう問う少年に対して、真摯に向き合う沢井の姿に作者の伝えたかったことが凝縮しているのではないか。自転車でぐるぐる回る。この場面が、この小説のクライマックスだと感じた。

ぐるぐる回っていると、終わりも始まりもない感じがするけれど、どこからでも再スタートを切れる。そんなふうにも思えてくる。

この作者は音にも重点を置いていたようだ。バスのブレーキ音、パトカーのサイレン、携帯の着信音、拳銃の発砲音、踏み切りの警報、ゴルフのスウィング音、墓を渡る風の音・・・。それは、声を出さずに生きる直樹と梢の世界と対比させる効果を狙っているのだろう。でも、音が氾濫しすぎているようにも感じてしまった。生と死を分かつ象徴としての音にポイントを絞ってほしかった。

小説の構成は、第一章「津波」=現在(沢井の死の気配=ケガレ)+過去+最終章「ユリイカ」=現在(茂雄と芳美の結婚=ハレ)のサンドイッチ方式。だが、わたしには「津波」と「ユリイカ」の時間経過が判然としなかった。沢井の病状は回復するのだろうか、と気になってしまう。えんぴつ
 情感はあるけれど、面白くはなかった。たぶん下手ではないんだろうが、なんかまどろっこしいというか、なんだかなあというか、読みやすくはなかった。
 初め登場人物が多く、人間関係が理解できず戸惑った。梢と沢井は血のつながりはない。茂雄は沢井の友達でいい人。芳美は看護婦で茂雄の恋人。死にかかっている沢井は真(まこと)という名で、バスの運転手だった。弓子は沢井の奥さんで別居している。誠治は沢井真の父で、義之は兄で誠治の子。美喜子は義之の子。
 直樹と梢は田村弘樹と美都の子。弘樹は元プロゴルファーで、町外れにログハウスを建てて住んでいる。
 さて、沢井や直樹・梢兄弟の人生が暗転したのは、バスジャック事件に遭遇してからだ。私がこの作品を面白いとは思えなかったのは、この部分だ。目の前で殺人が行われるというのが、そんなにショックなことなのか。もちろん、私にそうした経験があるわけではなく断言はしないが、沢井は抜け殻のようになり引きこもり、兄弟は失語症となり学校にいかなくなるというのが、どうもね。しっかりしろよと言いたくなるのは、他人事だと思うからか。だが、とくに幼い兄弟に関しては医者にかかるというのが筋だろう。その形跡がないのは変。どんな人間でも災難にあうことはある。だが、それで人生を諦める人はまれ。誰もが原状回復しようと頑張り、新しい現実に適応しようとする。沢井の兄弟に対する態度には、ただ受け入れようというだけで、現実に立ち向かわせようというのがない。直樹や梢に「学校にいけ」「友達と遊んでこい」と言わないのは賛成できない。どんなに辛くたって人は生きていかねばならないのだ。沢井のやっていることは空回りに見えてしまう。だいたい沢井の病気が結核だとしたら、人にうつさないように離れて暮らすべきではないか。
 田村兄弟に関しては事件と関係なくおかしかったようで、母の美都は駆け落ちし、父の弘樹は飲酒運転で死んだ。この兄弟にスポットを当てるなら、また違う書き方があったはず。
 なぜ、人を殺してはいけないかについては、私は情緒的に考える必要はないと思っている。それが人間社会の規範だからだ。もし、理由もなく人を殺していいとなったら、社会の秩序は崩壊し、人の生存は難しくなる。他の動物に比べて、とりたてて強力でもない人間は、群れをなし互いに協力しないと生きていけない。
 これとは別に、人の中には殺人ができない本能があるという説もある。戦場にいる兵士ですら、あんがい人に向かって銃は撃てないという

ログインすると、みんなのコメントがもっと見れるよ

mixiユーザー
ログインしてコメントしよう!

VACCOS(読書会) 更新情報

VACCOS(読書会)のメンバーはこんなコミュニティにも参加しています

星印の数は、共通して参加しているメンバーが多いほど増えます。

人気コミュニティランキング