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SFシネクラシックスコミュの『サント対誘拐団』

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 『サント対誘拐団』(『SANTO CONTRA LOS SECUESTRADORES』 『Santo versus the Kidnappers』 1973年)

誘拐団と戦うサント。でも前半はつまらないコメディのストーリーを延々やっててなかなか誘拐団と戦わない。誘拐団が出てくるのは映画の半分を過ぎてからといういかにサント映画といえどもこれは酷すぎるのではないかと憤った私でありました。

このDVDはスペイン語音声のみ、英語音声・英語字幕は収録されておりません。私はまったくスペイン語が分かりませんので、この映画はいつもと違ってどこかの奇特な方が作って下さっているサント映画のストーリー解説サイト(英語)を参考にこのレビューをでっちあげております。だから実際の映画を誤解しているところもあるかも知れませんが、その辺はどうぞ、この事情を鑑みてご容赦くださるようお願いいたします。

 平たく言うと、「文句を言うんだったら自分でやってみろ、コノヤロー」ということでございますね。

どこぞの港の船の上。大勢の観客が見守る中4人の男と戦うサント。相手はレスラーではないのですが、カメラマンもいるし、これはどうやら格闘ショーらしい。しばらくどったんばったん戦ってついに勝利を収めるサント。観客拍手喝采です。この後サントはいきなり機上の人となってどこぞの空港に到着します。彼を出迎えるブロンド美女。サントはこの美女と海岸でカモメやアシカに餌をやるというデートを楽しむのでありました。ここでタイトル出ます。『サント対誘拐団』ばーん、ああ、カッコいいなあ(ウソ)。

 また船にのって美女と仲良く海の景色を眺めているサント。「ああ、綺麗だねえ、あっしの心も洗われるようだ」とかなんとか言っております。そこに船員がやってきて「サントさん、お手紙が届いております」これがインターポールからの呼び出しであったという・・・(笑)。さっそくインターポールのオフィスに出向いたサント、「サント、君、エクアドルまで行って誘拐された偽札作りの名人、ペドロ・ミラーを探しておくれでないかね、どうも彼がギャングに無理やり協力させられているみたいなのだ」サントは快諾します。「へい、合点承知でさあ、このあっしが誓ってええと誰でしたっけ、ああ、そうそう偽札作りの名人、ペドロ・ミラーを助け出してみせますぜ」

 サント、急遽エクアドルへ飛びます。また飛行機が着陸して降りてくるサントの絵。どうして二回もやりたがるのか(笑)。サントはそのままホテルへチェックイン。エクアドルの人がみんなサントのことを知っていてホテルのクラークも「あ、サントさん、いらっしゃい」なんて言っているのがオカシイですな。

 時間は飛んで夜となります。エクアドルの歓楽街のネオンサインを映しているカメラが音楽に合わせてぐらぐら動きます。凄く見づらいです。サントはクィートというナイトクラブへ。やっぱり店員が入ってきたサントに「や、これはサントさま、ようこそいらっしゃいました」だって。エクアドルでもサントの人気は凄いね!ここでナイトクラブのセクシーダンサーが延々と踊りを披露。実はこのダンサー、ペドロ・ミラーの妹エルサ(ロジー・メンドーサ)だったのであります。ミラーの踊りが5分近くも続いた後(笑)サントは彼女の楽屋を訪ねて兄の捜索に協力してくれるよう頼むのでした。

 さらにこの後この映画の重要なる登場人物がもう一人登場します。タクシーの運転手をやっているエヴァリスト(アーネスト・アルバン)であります。彼女はナイトクラブのダンサーの送迎を担当しておりましてエルサと妙に仲が良いみたい。でも彼の乗っているタクシーはそれはもうぼろぼろ。もうちょっとちゃんとした車使って商売せえと言いたくなりますな。さて、このエヴァリストの趣味が競馬。今日も今日とて車の中でラジオで競馬中継を聞きながら大興奮。馬券を掛けたらしい馬を「それいけ、それいけノボリトーカイドー、他の馬なんか蹴散らしてしまえ!」エクアドルの競馬馬にノボリトーカイドーなんて名前がつけられるはずもありませんが、これは所謂ギャグであります。本気にしてはいけないのであります。

 「よし、もう少しだノボリトーカイドー、頑張れ、頑張れ、ノボリトーカイドー!」興奮のあまり車を飛び出したエヴァリスト、騎手になったつもりか車にまたがってしきりにムチを振るう真似。これじゃ単なるキチガイですよ(笑)。ついにノボリトーカイドー、トップでゴールイン。エヴァリスト、口からアワを吹き出しながら「やった、ぶぶぶ、万馬券だ、300万スクレ(ドル化政策で今はドルになっている筈です。ちなみに一ドル=25,000スクレ)の大儲けだ、ぶぶぶ、ばんざーい、ばんざーい」ドルに直すと120ドルですからねえ。そこまで喜ぶことはないんじゃないかと思うのですが。

 エヴァリストは有頂天になってエルサを迎えにいきます。エルサも彼の大儲けにコーフンして二人で「300万スクレ、300万スクレ」と合唱する始末。ついにエヴァリスト、車の運転を誤って他のタクシーに追突してしまうのでした。相手の運転手と喧嘩になって相手の運転手、エルサ共々警察に連行されてしまうのでした。

エヴァリストの話ばっかりでいつ誘拐団がでてくるのかなあと思っていたら…。

 ここでようやく再登場したサント、インターポールの女性アシスタント ロジータ(エリザベス・サルトーレ)と共に捜査開始。しかしサントはすぐに吸血鬼とか豚とかガイコツとかフランケンシュタインの怪物のマスクをかぶった怪しい男たちにつけられていることに気がつきます。こんなマスクを最初からかぶっているからあっという間に見破られてしまうんだ(笑)。サントは車をとめて彼らをやり過ごそうとしたのですが、さすがは怪しい男たち。サントの意図を見抜いて襲ってきたのでした。

やっと誘拐団の登場ですよ(笑)。

 サント、男たちと勇敢に戦います。しかし卑怯にも後から棒で頭をぽかりとやられてふらふらになってしまうのです。「むむ、いくらあっしだって、こりゃいけねえ」ばったりと倒れます。「それ今だ」とばかりにサントへ飛び掛る悪漢ども。サント、大ピーンチ。しかしここで彼を救ったのがロジータでした。彼女はピストルを取り出すと悪漢どもにむけてずどん、ずどん。4人は朱に染まって倒れた・・・というのではなくて空に向けてピストルを発射。近くをパトロールしていたパトカーを呼び寄せたのです。これで悪漢どもは逃げ去りサントは無事だったものの誘拐団の手がかりはまったくつかめなかったというオソマツ。

 一方、まだはしゃいでいるエヴァリストとエルサ。この興奮に裁判所の判事、ああ、御馴染みのカルロス・スアレズですよ、この人(笑)、も巻き込まれて二人を無罪放免にしてしまいます。残された運転手が憮然とするのにも関わらずカルロス・スアレズったらエヴァリストとエルサについていっちゃう。銀行へ行って馬券を換金しようというのです。しかし間の悪いことに銀行はもう営業時間を過ぎてしまっておりました。がっかりする皆さんですが、「じゃあ、一足先にエヴァリストさん、300万スクレ獲得おめでとう宴会をやろうじゃないの」

 それからサント・ロジータを交えてクラブ・クィートで大宴会。酒をがぶがぶやってエルサが踊っているのをにやにやしながら見るという、どうもあまり面白くなさそうな宴会でございます(笑)。とここで夜が明けて映し出される早朝の港。でも次の場面ではクラブクイートとは違う場所でまだ宴会やってる。お前ら徹夜でやっとたんかい(大笑い)。しかも今度はロジータがビキニになって踊っているというセクシーなおまけつき。なんなんだろうなあ、これは。おまけに怪しい男が登場してサントの様子を伺っている。これは危ないぞと思ったら男はなんと吹き矢を取り出してサントを狙って「ふっ」首筋に命中してサント昏倒するという・・・。

 そんなサントを放ったらかして、いや、本当にほったらかしてエヴァリストたち銀行に換金にいっちゃうのです。彼の介抱に残ったのはロジータだけなのです(笑)。いくら大金?を得て浮かれているからといってこれはあまりにも不人情ではないですかねえ。その罰が当たったのか銀行で判明したのは意外な事実。なんと、エヴァリストの持っていた馬券が偽物だったのです。たちまち掴まって牢屋へ放り込まれてしまいました。あ、カルロス・スアレズの判事も一緒に入っているぞ、これもまずいだろう(笑)。

偽造の馬券を使った容疑で留置場に入れられたエヴァリスト、エルサ、カルロス・スアレズの判事。しかしクラブ クィートの店主 ドン・カエサル(ギルモア・ガルベス)が彼らの身分を保証し釈放させてくれたのでした。

 さて、この後クラブクィートに戻ったエルザ、ここに誘拐団、ボスの右腕であるカルロス(フェルナンド・オセス)から電話が掛かってきます。もちろん、「お前のパパのペドロは預っているぞ」という電話。エルザは驚いてこの電話のことをサントに伝えるのでした。この電話を受けるサント、上半身裸でベッドにねており傍らにはロジータいるというなんとも怪しい場面。吹き矢を受けたサントを介抱したということなのでしょうが、これはどう見たって昼下がりの情事を楽しんだあとにしか見えませんよ(笑)。サント、電話の向こうで泣き喚くエルザに「おとっつあんのことはあっしに万事まかせておくんなせえ」と大見得を切るのでした。

 といいつつその後はプロレスの試合。リングとその周囲にいるごく少数の観客、セットなのが見え見えです(笑)。サント、ここで赤い覆面かぶったレスラーとシングルマッチ。観客席にどうも赤マスクの仲間がいるようでしてリングアウトした際にこっそり凶器を渡したりしております。もっともその凶器はまったく使われなかったりするのですが。しばらくどったんばったん試合が続いて最後はもちろんサントの勝利。これでサント、ペドロを助けに行くかと思いきやもう一回試合をやるのです(大笑い)。

 今度は実際の試合。試合前のセレモニーは10人以上の覆面レスラーが登場して非常に豪華。あ、ミル・マスカラスがいるぞ、おお、あれはブルー・デーモン、ああ、あの白衣を着ているのはメディコ・アセシーン。でも実際の試合はサントと知らないレスラーが組んだタッグマッチ。どうも気が抜けることでございます。この試合も当然ながらサント組が勝利。珍しく1本勝負で終わりました。

 ばらばらとヘリコプターが飛んでまいります。荒野に一軒だけぽつりとたった建物の側に着陸。降りてきたのは黒いマントに黒い覆面、おまけにシルクハットという怪しいいでたちの人物。こんなん悪のボスに決まっていますよ(笑)。悪のボスはカルロスに「おら、エルザを攫ってこんかい、彼女を殺すと脅してペドロに偽札の原版作らせるのじゃ!」ここでうろちょろしている怪物のマスクをかぶった部下の背広に注目。脇のあたりが破れています。さっきサントと戦った時にやぶれたのか。しかし、それにしても貧乏くさい話ですなあ。

 さあ、クラブクィートの楽屋にエルザを襲う部下たち。拉致は上手くいくかに思えたのですが、ここにサントが現れた。「おめえらの所業、おてんとさまは見逃してもこのサントさまが許さねえ!」サントは部下たちに飛び掛りぼこぼこにしてしまいました。たまらずひーっと叫んで車で逃げ出す部下たち。悪のボスはそんな部下たちに「あっさりやられおって、それじゃ部下じゃなくってバカですよ。サントがそんなにジャマなら今度はサントをさらってこいってえの」

 ここでサントはエヴァリストを呼び出して「大事な電話がかかってくるかもしれねえんだ。だから一つ、エヴァリスト、ホテルのへやであっしのために電話番をしておくれでないか」と頼みます。二つ返事でサントの頼みを引き受けたエヴァリスト、サントの部屋へ。そこで見つけたのがウィスキー。さっそく壜を抱え込んでぐびぐびやるエヴァリスト。もう電話のことなんかこれっぽっちも覚えていやしませんて。さらにエヴァリスト、サントのアルバムを見つけます。中を開いてみるとあるわ、あるわ、サントと美女のツーショット写真が(大笑い)。「やっぱりサントはもてるねえ」ぐいぐいウィスキー行っちゃいます。そしてついにサントの予備のマスクを見つけたエヴァリスト、さっそくそれをかぶってサント気分。挙句にベッドに倒れてぐーすかいびきをかきはじめるのです。

 エヴァリストは誠に自分に都合の良い夢を見始めます。彼はサントとなって試合に出場、見事に勝利を収めます。その彼を取り囲む三人の美女。彼はやおらマスクを脱ぎ捨てて「や、実はオレがサントだったのよ」「まー、そうだったの、カッコいいわ、エヴァリスト!」三人からキスの嵐、嵐、また嵐。

 ここでサントの部屋に乱入してきたのがあのバカじゃなかった部下たちです。なんと彼らはベッドで寝ているエヴァリストをサントと勘違いして誘拐しちゃったのでした。おいおい、いくらなんでも間違えないって、体格全然違うし、エヴァリスト、マスクの下から口ひげが見えているじゃないか。やっぱり部下じゃなくってバカだよ、これじゃ(笑)。

 部下たちはエヴァリストを車に乗せて逃走します。ん?あ、事の成り行きを見張っていたサントがこっそり車のトランクに隠れたぞ。さてはエヴァリストは囮だったのか。サント、エヴァリストの行動を見越して自室にウィスキーの壜と予備のマスクを置いていたのか、凄い、さすが我らがサント、FBI超能力捜査官もびっくりの予知能力だって、まあ、脚本が何も考えていないだけだとは思いますが。

 これでカルロスたちのアジトを突き止めたサント、まだエヴァリストをサントと思い込んでいる大間抜けの悪漢どもに飛び掛りやっつけてしまうのでした。サント、カルロスの腕をぎりぎりと捩じりあげて「やい、ペドロはどこだ、白状しねえか」

 と、こんなことをやっている間、バカならぬ部下にはまかせておけぬと自らエルザを誘拐する悪のボス。なんなんだかなー(笑)。彼女を人質に使ってペドロを脅しついに原版を完成させたのです。後はこれで偽札を印刷するだけ、これでわしゃ、大金持ちだよと高笑いのボスでしたが、そうは問屋が卸さない。カルロスからペドロの居所を聞きだしたサントが助けにやってきたのです。サントはボスと一騎打ち。どったんばったん戦った末ついに彼をやっつけてしまいます。サントが彼の覆面を剥ぎ取ると現れたのは・・・「ああ、あなたはドン・カエサル!」エルザが叫びます。なんとあのクラブ クィートの店主ドン・カエサルだったのです。いや、悪のボスの正体なんてもうどうでも良くなっているんですけど。

 帰国の途に着くサント。エルザ・ペドロ・ロジータ、エヴァリストに見送られて空港から飛び立とうとします。サント、車のキーをエヴァリストに渡して「つまらねえ車だが、良かったら使ってくんな」しかし、サントが飛び立った後、すぐに車をぶつけてしまうエヴァリストというオチでした。エンドクレジット。

この映画、あちらのファンには「エヴァリストのコメディ演技が全然面白くない」と大不評をかっているそうな。私もそのキモチ、よーく理解できますとも!

カラー・スタンダード、モノラル音声。画質はノイズが多いけれども発色が綺麗。サントの銀のマスクがじつにカッコ良い。音質は歪みが酷くって耳が痛くなりました。I.M. RecordsのDVD。

    エロの冒険者
       HOMEPAGE http://homepage3.nifty.com/housei/
      SFシネクラシックス 輸入DVDでみるSF黄金時代(笑)

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