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☆タイムマシンの搭乗者 広瀬正コミュの◎[広瀬正]作品群 宇宙塵等のもあります。

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もう一度おさらいの意味で作品群を纏めてみましょう。


『マイナス・ゼロ』(解説:星新一)

 昭和38年。浜田俊夫は18年前、空襲の最中に行方不明になった隣家の「先生」の娘・啓子に出会う。啓子は行方不明の時の年齢、その時の姿のままだった。「先生」がタイムマシンを使って啓子を現在に送り込んだことを知った俊夫は、自らタイムマシンに乗り込み、昭和9年の東京へ向かう。が、着いたそこはなぜか昭和7年。しかもタイムマシンはそのまま昭和38年に戻ってしまう。取り残された俊夫は余儀なくそこでの生活をすることになる……。
 処女長編。こう書いてもどこの何がいいんだかよく分からないが、昭和初年の東京の日常生活が綿密に再現され、ペダントリィとユーモアたっぷりに語られていて、なにげない楽しさ、優しさをかもし出している。タイムマシンものにつきもののタイム・パラドクスを使ったどんでん返しもしっかり盛り込まれていて、効果的な味を出している。


『ツィス』(解説:司馬遼太郎)
 二点嬰ハ音(ツィス)が聞こえる。いつ、どこでも聞こえる。神奈川県C市の一人の女性の訴えから始まった奇妙な公害事件。この正体不明のツィス音は、マスコミの報道とともに急ピッチでその音量と聞こえる範囲を拡大してゆく。やがて、首都圏一帯の人々は常時ツィス音にさらされるようになり、大パニックに陥る……。
 異色のパニック小説。何気ないようで気になる存在、「音」に着目したところが非凡である。いかにもジャズ奏者・広瀬正らしい。結末のドンデン返しには多少疑問が残るが、傑作である。
「結末のドンデン返しには多少疑問が残る」というのは、石川喬司氏の『T型フォード殺人事件』解説に引っ張られてこう書いてしまったのだが、あらためて読み返してみると、むしろ皮肉の利いた優れた結末なのではないかと思う。)


『エロス──もう一つの過去』(解説:小松左京)
 37年前(昭和8年)、ふとしたきっかけがもとで、歌手としてのデビューを果たした大女流歌手・橘百合子。だが、もしそのきっかけがなかったとすると? もし、あのとき、別のことをしていたら……。「過去」とは全く違う展開の、ありえたはずの「もう一つの過去」の姿が浮かび上がる。彼女のなにげない選択は、思いのほか大きな影響を及ぼして……。
 一種のパラレルワールドSF、あるいは改変歴史SF。結末の意外性も、さりげないながら巧みである。もっとも作品の主眼は『マイナス・ゼロ』同様、昭和初年の東京を緻密に描くことにあるようで(極めてSFらしくないSFである)、『マイナス・ゼロ』とともに「少年時代の自分」に献辞が捧げられている。


『鏡の国のアリス』(解説:井上ひさし)
 銭湯の男湯につかっていたはずなのに、気がついたらそこは女湯になっていた!? かくて青年・木崎浩一が迷い込んだのは、何もかもが左右逆さになった、まさに“鏡の中の世界”。いったいなぜ、こんなことに?
 遺作、星雲賞受賞作。ユーモラスな設定で、鏡像世界を巧みに描いた、比較的短いながらも楽しい作品。
 他に「フォボスとデイモス」「遊覧バスは何を見た」「おねえさんはあそこに」を収録。「おねえさんはあそこに」はリリカルな好編。


『T型フォード殺人事件』(解説:石川喬司)
 隠居した元社長・泉の豪邸に七人の男女が集まる。そこで公開されたのは、1924年製T型フォード。来客の一人、疋田医師の家に保存されていた車だ。46年前(昭和2年)にこの車内で謎の密室殺人事件が起こり、それ以来この車は使われずに保存されていたのだ。この殺人事件の謎を解こうという趣向のゲームが始まるが……。
 遺作であり、唯一のミステリ長編。トリックはこれというほどのものではないが、某有名古典作品を下敷きにしたような叙述トリックの意外性が目を引く。この作品でも作者の主眼はむしろ昭和初年の風俗を濃密に描写することにあるようである。
 他に「殺そうとした」と「立体交差」を収録。「殺そうとした」は作者のデビュー作であるサスペンス短編。遺作のひとつ「立体交差」はタイムマシンものだが、未来の歴史を積極的に変えていこうとする、他の広瀬作品には見られない視点が目を引く。


『タイムマシンのつくり方』(解説:筒井康隆)
 短編とショートショートの集大成。短編11とショートショート13、付録として評論1を収録。
 未来の学者たちが揃えて首をひねる、不思議な形の「もの」とは何か? ショートショート「もの」は広瀬正のSF界デビュー作。星新一に激賞された。
 付録として収録された「『時の門』を開く」は、広瀬正唯一の評論。話が無茶苦茶にこんがらがったタイム・パラドクスものの極北的存在、ロバート・A・ハインラインの「時の門」(ハヤカワ文庫SFの同題の短編集に収録)を徹底的に分析し、ごくわずかな矛盾点を拾い出した、作者のタイムマシンにかける執念が伝わってくるような作品。


コメント(11)

殺そうとした 1961. 2. 『宝石』臨時増刊号 ミステリ短篇 5 註1

もの 1961. 9. 『宇宙塵』48号 SF短篇 6 註2

Once Upon A Time Machine 1961.10. 『宇宙塵』49号 SF短篇 6

記憶消失薬 1961.11. 『宇宙塵』50号 SF短篇 6

鏡 1962. 1. 『宇宙塵』52号 SF短篇 6

発作 1962. 1. 『宇宙塵』52号 SF短篇 6

おうむ 1962. 1. 『宇宙塵』52号 SF短篇 6

計画 1962. 2. 『宇宙塵』53号 SF短篇 6

タイム・セッション 1962. 3. 『宇宙塵』54号 SF短篇 6

あるスキャンダル 1962. 5. 『宇宙塵』55号 SF短篇 6

人形の家 1962. 5. 『サンデー毎日』特別号 SF短篇 6

UMAKUITTARAONAGUSAMI 1962. 6. 『宇宙塵』56号 SF短篇 6

作品が書けないことのお詫び 1962. 9. 『宇宙塵』59号 SF短篇 未収録 註3

化石の街 1962.10. 『宇宙塵』60号 SF短篇 6

おねえさんはあそこに 1963. 1. 『宇宙塵』63号 SF短篇 4

『時の門』を開く 1963. 3. 『宇宙塵』65号 SF評論 6 註4

星の彼方の空遠く 1963. 4. 『ヒッチコック・マガジン』 SF短篇 6

地球のみなさん 1963. 5. 『ヒッチコック・マガジン』 SF短篇 6

タイムマシンはつきるとも 1963. 5. 『宇宙塵』67号 SF短篇 6

にくまれるやつ 1963. 6. 『ヒッチコック・マガジン』 ミステリ短篇 6

オン・ザ・ダブル 1963. 9. 『別冊宝石』 SF短篇 6

みんなで知ろう 1963.10. 『宇宙塵』72号 SF短篇 6

異聞風来山人 1964. 3. 『S-Fマガジン』 SF短篇 6

鷹の子 1964. 5. 『別冊宝石』 ミステリ短篇 6

敵艦見ユ 1964. 6. 『S-Fマガジン』 SF短篇 6

マイナス・ゼロ 1965. 4.-13. 『宇宙塵』90-99号 SF長篇 1 註5

ツィス 1971. 4.25 書き下ろし単行本(河出書房新社) SF長篇 2

二重人格 1971. 8. 『推理』 SF短篇 6

タイムメール 1971.10. 『科学朝日』 SF短篇 6 註6

ザ・タイムマシン 1971.10-11. 『宇宙塵』158-159号 SF短篇 6

遊覧バスは何を見た 1971.12. 『小説宝石』 SF短篇 4

エロス──もう一つの過去 1971. 『週刊読売』(連載) SF長篇 3 註7

鏡の国のアリス 1972. 6.15 書き下ろし単行本(河出書房新社) SF長篇 4

T型フォード殺人事件 1972. 6.20 書き下ろし単行本(講談社) ミステリ長篇 5

立体交差 1977. 6.15 『広瀬正・小説全集5』(河出書房新社) SF短篇 5 註8

フォボスとディモス 1977. 8.26 『広瀬正・小説全集4』(河出書房新社) SF短篇 4 註9


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註
註1 *
デビュー作。


註2 *
1962. 1.『ヒッチコック・マガジン』に転載。


註3 *
「タイムメール」の原形。柴野拓美[編]『宇宙塵傑作選II――日本SFの軌跡』(出版芸術社 1997)に再録。


註4 *
ロバート・A・ハインライン「時の門」 'By His Bootstraps' (『アスタウンディング・サイエンス・フィクション』1941年10月号。『S-Fマガジン』1963年1-2月号に訳載、ハインライン『時の門』(ハヤカワ文庫SF 1985)に収録)の分析。『広瀬正・小説全集』には「付録」として収録されている。


註5 *
連載時の題名は「マイナス0」。改稿の上、1970.10.15 単行本(河出書房新社)として刊行。
なお、最終回の載った『宇宙塵』99号が「1965年13月号」となっているのは、柴野拓美編集長が『マイナス・ゼロ』の連載を「年度内でかっきり終わらせたい、と思ったから」である(『塵も積もれば』)。


註6 *
「作品が書けないことのお詫び」の改稿。


註7 *
1971.11.25 単行本(河出書房新社)。


註8 *
遺作、執筆1971末-72初頃。


註9 *
遺作、執筆1971末-72初頃。
この内容についての書き込みはほとんど無く単行本以外入手不能にちかいものばかりだが紛れも無い広瀬作品です。

多分ほとんどの人は読まれてないものと思われます。
ほとんど食いつきがないなぁ・・・・・
この中で単行本以外で読まれたことのある作品をお教え下さい。勿論うろ覚えでも結構です。
 ありがとうございます m(_ _)m。

 このコミュに参加させていただいて良かったです (^^)/。

 あと、『宇宙塵』 の増刊のパロディ誌、『宇宙鹿』 第3号 (一冊しかないのに第3号) にも執筆されていたかと思います。
 と言うか、ほとんど先生お一人の企画だったような (^^;)。
http://homepage3.nifty.com/boumurou/book/hirose/chronicle.html

「Once Upon A Time Machine」 の映画版は、かつてSF大会の合宿で見せていただいたことがあります。

「パロディ・ギャング」 名義のものも、学研の学年誌から学習記事を抜いたような感じの雑誌でいくつか目にしているはずで、家のどこかに何冊かありそうな気もしますが。
夜帆。@××マスター さん

『宇宙鹿』 第3号これも確かに見たことがあります。当時のSF好きの人はきっと見にしているでしょうが、勿論手元にはありませんが、物事を面白がるという才能は素晴らしいものがあったのでしょうね。

こういう書き込みがあればコミュを存続される意味がおおいにありましたのでまずはこちらからお礼を申し上げます。
(広瀬正コミュニティに書いた話)
 都合により、ずれ込む月もありますが、毎月第4日曜日に「宇宙塵月例会」が開催されています。
 7月は27日(日)となります。
 広瀬正先生の話題で盛り上がりましょう。
 会場は、東京・目黒区の、緑が丘文化会館です。最寄り駅は、東京急行・東横線、大井町線、自由が丘駅です。
 時間は14時頃からです。17時頃から駅前の和風居酒屋に移ります。
  * * *
 ショートショート作家大集合−−
 SFマガジン“パイロット・ショートショート”(選外佳作)
 小説推理編集部(編)
       「ショート・ショート劇場1 SFワールド傑作選」
                           双葉文庫
 小説推理編集部(編)
       「ショート・ショート劇場2 ショートSF傑作選」
                           双葉文庫
 小説推理編集部(編)
       「ショート・ショート劇場3 SFバラエティ」
                           双葉文庫
 小説推理編集部(編)
       「ショート・ショート劇場4 SFアラカルト」
                           双葉文庫
 ショートショート作家
       「ホシ計画」             廣済堂文庫
 推理作家13人会
       「犯人当てミステリー」         二見文庫
 日本推理作家協会(編)
       「ミステリー傑作選特別編4 57人の見知らぬ乗客」
                          講談社文庫
 星新一(編)「ショートショートの広場1」     講談社文庫
 ASAHIネット(編)/筒井康隆・井上ひさし・小林恭二(選)
   「パスカルへの道 第1回パスカル短篇文学新人賞」中公文庫
 −−への寄稿者が一同に会するなんて、多分、ここだけ。
ツィスだけ買わずに読まなかったのですが、その理由はやはり解説を読んでプライオリティを下げたからです。
しかもその解説は司馬遼太郎でしたか?
その頃までには司馬遼太郎の歴史小説の代表作はほとんど読み終わっていたので、
何か皮肉なものを感じます。
集英社文庫コバルトシリーズ、というより、
現在はコバルト文庫と言うべきでしょう。
『タイムトラベルSF傑作選』(星敬編)の中に、
広瀬正「敵艦見ユ」が収録されていました。

実はさっき発見したばかりなんですが。
奥付では1985年6月15日発行。
日本SFの巨匠たちの作品がずらり、というアンソロジーになっています。

まったく確認できていませんが、
広瀬作品の文庫化としては、早いほうの作品集かもしれません?
広瀬正作品「お詫びとお知らせ」の真実:なぜ今、SF名作が販売停止になったのか – とっきーのブログ
http://pickmixjournal.com/2026/09/09/hirose-tadashi-apology-explained/

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