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小林多喜二コミュのノーマ・フィールド『小林多喜二』を読んで

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この1月に岩波新書として刊行されました。読まれた方、感想を交流しませんか?

コメント(9)

僭越ながら、私から。


本書については、岩波新書の新刊予告広告を見た瞬間から、これは絶対に読みたい、読まなければ、と思いました。小林多喜二についてノーマ・フィールド氏に書かせる、岩波書店編集部の企画力は流石です。


著者のノーマ・フィールド氏について、僕は以前から鮮烈な印象を持っていました。彼女が多喜二について書いたもの(語ったもの)を、数年前に岩波の雑誌『世界』で読んだからです。アメリカ人の女性が多喜二を論じるという“組み合わせ”に、まず驚きました。そしてその内容が、多喜二に対してはもちろんですが、日本社会に対しても洞察力に富み、日本共産党に対しても偏見のない態度であることにも驚き、つよい尊敬の気持ちを抱きました。


今回、本書を読み進みながら常に感じていたのは、多喜二を、血の通った人間として、愛すべきひとりの男性として受けとめ、描き出す、著者の優しさと感性のみずみずしさです。とくに、多喜二の数々の作品において(そして彼自身の短い生涯において)、女性という存在がいかに大切であるかということに、深く気付かされ、うなりました。


本書の最も注目と尊敬に値するのは、文学と社会運動、文学と政治、文学と党派性という、多喜二を論じるからには本来避けて通れない問題に対して、けっして逃げずに正面から取り組んで、自分の意見をはっきり表明している誠実さと勇気です。これにもうなりました。著者は「ちょっと乱暴にまとめてみると」とことわった上で、「いま私たちが『文学』と考えているもの」の成立と発展の社会的基盤にまで言及して、多喜二がそこからいかに突き抜けようとしたかを解き明かしています。僕は本書によって、文学というものを読むときに拠って立つべき太い柱を与えてもらいました。


運動や党派の中にいる人間を描くときの多喜二のリアリズムについても、考えさせられました。政治的宣伝や啓蒙の手段に堕すことのないリアリズム。だからこそ読者は(とくに運動と党派の中にいる読者は)、闘争の渦中であるからこそ生じうる矛盾と苦悩を、目をそむけることなく、自分たち自身で乗り越えていく力をつかむことができるのだと思いました。『党生活者』にたいする著者の“解剖”は圧巻です。運動と党派に対する多喜二の信頼と確信、そして覚悟が、半端なものでなかったことを、胸が苦しくなるほど痛く感じました。


そして、もう一度言いますが、その運動と党派と文学に文字通り命をかけた多喜二が、愛情とユーモアにあふれ、いつも周囲の人たちを笑わせ、和ませ、愛された男であったことを、暖かな共感を込めて描き出した本書は、期待に違わぬ魅力的な多喜二論でありました。

「日経新聞」のインタビュー記事に以下の内容がありました。

この本は、多喜二への愛情が込められた一冊だと思います。
そして小林多喜二は愛される資格のある、作家であり、人間だったと思います。
それだけに、もっと彼の作品は読まれてほしい。
そのもっとも正しい、そして豊かな文学案内がこの一冊です。
                目がハート

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


(あとがきのあと「小林多喜二」ノ−マ・フィールド氏 〜恋人への真剣さに驚き)

 〜昭和天皇崩御前後の自粛騒ぎの中で表われた日本人の行動様式と心性を探った「天皇の逝く国で」で知られる米シカゴ在住の日本文学・文化人類研究者。11年前から「蟹工船」の作家、小林多喜二を研究してきた。彼が育った小樽に一年住み、そこで触れた証言・資料を生かして、作家の人間像に迫ったのが本書だ。
”祖母の故郷である小樽を初めて訪ねた1998年に、小樽部文学館で恋人のタキちゃん(田口瀧子)あての手紙を見たのが、多喜二の関心を持つきっかけとなった。(酌婦出身の)彼女に対して、「決して、今後絶対に自分をつまらないものだととか教育がないものだとか、と思って卑下しないこと」と書いている。その真剣さに驚きました。”

 特高による拷問で29才で亡くなったこともあってか、多喜二には陰鬱なイメージがつきまとう。それだけに”先入観を取り払って等身大の姿を伝えたい”と考えた。(多喜二は)学生時代には文学を筆頭に、芝居、映画、音楽、絵画に熱中。銀行マンとなってからはひたむきな恋に生きた。”まさに青春だったと思う”と話す。

 多喜二の作品を丁寧に読んでいくと、それぞれの登場人物を大切にしていることが分かったという。

 ”様々な価値観を大事にして、誰も排除していない。そんな多喜二さんを知れば知るほどひかれていった”だからこそ昨年からの「蟹工船ブーム」を通じて、多喜二の作品が多くの人に読まれることを願っている。

 日本生まれだが、18才で米国に渡った。一冊丸ごと日本語で書いた本は初めて。”へたな日本語で文学作品を論じてはいけないというためらいがあった。格闘があった分、とても愛着のある本になった”と笑う。今後は日本のプロレタリア文学の選集を米国で刊行するため、研究者仲間と翻訳に取り組む。多喜二との縁は切れそうにない。(岩波新書780円)
 
(NORMA FIELD:シカゴ大学教授。1947年東京生まれ。65年に渡米。プリンストン大で博士号を取得。著書に「へんな子じゃないもん」)

私も購入したのですが、諸般の事情でまだ読み切れていません。

元白樺文学館「多喜二ライブラリー」研究員の佐藤三郎氏のブログ
「21世紀の小林多喜二への手紙」に、ノーマ・フィールド著「小林多喜二」に関する興味深い記事が多数掲載せれています。
ご興味のある方はこちらもご覧になって下さい。
http://blog.goo.ne.jp/takiji_2008/e/0be86d62e85290b2ad2744ba9e03ceb9
shozoさん

上記ブログのご紹介、ありがとうございました。さっそく読ませていただきました。真摯で深い論議がなされているのを拝読し、尊敬の念を抱くとともに、胸の深いところから励まされました。

ところで、僕が若い日に、平和と民主主義の大切さを考えるようになったきっかけの一つは、読書を通じて日本の明治期における先覚者たちのたたかいの歴史を知ったことでした。shozoさんのニックネームの起源に当たる(と拝察する)人物も、もちろん、その1人です。
こんごともよろしくご指導ください。
ノーマさんの「小林多喜二」にも登場する「時代を撃て・多喜二」を撮った、多喜二と同郷(秋田県出身)の映画監督池田博穂さんの次の作品が「赤貧洗うがごとき―田中正造と野に叫ぶ人々―」でした。
ひょんなことからその映画の製作にかかわることになり、僭越ながら「Shozo」を名のっています。

池田監督の映画のテーマは「戦争と平和そして人権」だと私は勝手に思っていますが、監督自身、「多喜二を昭和(戦前)・正造を明治期の『平和と人権』の代表的人物と捉えて映画を製作した。」という趣旨のことを語られたことがあります。

私自身は「ご指導」などできる柄ではありませんが、こちらこそ今後ともよろしくお願いします。
情報提供します。

「しんぶん赤旗」日曜版3月22日付に、ノーマ・フィールドさんのインタビューが掲載されるようです。カラーになるようです。楽しみですね。

岩波新書『小林多喜二―21世紀にどう読むか』の著者、ノーマ・フィールド(シカゴ大学教授)が多喜二の生地・秋田を訪ねた記録ビデオです。
他人様の「ブログ」の紹介だけで、我ながら情けないと思いつつも、「未来」さんの下記記事をご覧下さい。

http://f-mirai.at.webry.info/200903/article_28.html
白樺文学館が、千葉県我孫子市に寄贈された。
関連施設だった、白樺文学館多喜二ライブラリーは昨年11月をもって活動を停止したが、そのホームページも2009年3月をもって消えた。

2003年に活動をスタートした同ホームページは、小林多喜二に関係する情報・資料を発掘し、今日の小林多喜二・蟹工船ブームをリードしたきたのだが、その役割を果たしたところで、その姿さえも消すことになった。


しかし、その火は引き継がれることだろう。
次の世代へ。次の時代へ。

多喜二がいだいた<あこがれ>が輝き続けるかぎり。

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