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司馬遼太郎 「人間というもの」コミュの「日露戦争と日本人2」

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「今から思えば実に滑稽なことは、米と絹の他に主要産業のないこの百姓国家の連中が
ヨーロッパ先進国と同じ海軍を持とうとしたことである。 陸軍も同様である。
人口五千ほどの村が一流のプロ野球団をもとうとするようなもので、
財政の成り立つはずがない。
が、そのようにしてともかくも近代国家を作り上げようというのが
もともと維新成立の大目的であったし、維新後の新国民達の少年のような希望であった。
少年どもは食うものも食わずに三十余年をすごしたが、
傍目から見るこの悲惨さを、かれら少年達は自らの不幸としたかどうか」

「政府も小世帯であり、ここに登場する陸海軍もうそのように小さい。
その町工場のように小さい国家の中で、
部分部分の義務と権能を持たされたスタッフ達は世帯が小さいがために思う存分に働き、
そのチームを強くするというただ一つの目的に向かって進み、
その目的を疑う事すら知らなかった。
この時代の明るさは、こういう楽天主義から来ているのであろう」

「この物語は、その日本史上類のない幸福な楽天家達の物語である。
やがて彼らは日露戦争という途方もない大仕事に無我夢中に首を突っ込んでいく。
最終的には、このつまり百姓国家が持った滑稽なほどに楽天的な連中が、
ヨーロッパにおける最も古い大国の一つと対決し、どのように振舞ったかという事を
書こうと思っている」

「楽天家達は、そのような時代人としての体質で、前のみを見つめながらあるく。
のぼってゆく坂の上の青い天にもし一朶の白い雲がかがやいているとすれば、
それのみをみつめて坂をのぼってゆくであろう」

『坂の上の雲 あとがきより』

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